三国峠を走るレンタルキャンピングカー
北海道レンタルキャンピングカーの旅。初日のクライマックスとなるのが三国峠だ
写真・構成=高橋祐介/文=編集部

北海道最北端へ! レンタルキャンピングカーで宗谷岬を目指す2泊3日の車中泊旅

レンタカーはキャンピングカー! 旅と仕事を両立したい50代の理想旅!?

初夏になると恋しくなる、広大な北海道の風景。今回の旅は50代の編集者が「一度は行きたい」と思い続けていた最北端・宗谷岬を目指す2泊3日のロードトリップ。相棒は、トヨタ・カムロードベースのキャンピングカー(キャブコン)だ。新千歳空港からの出発で、三国峠や然別湖(しかりべつこ)を経由しながら、自由と快適さを兼ね備えた“移動する部屋”で走る北の大地。旅の途中で仕事もこなすという、50代の現実とロマンが詰まった旅の記録をお届けします。

目次

突発的に出かけたくなった北海道旅
最北端「宗谷岬」をレンタルキャブコンで目指す

レンタルキャブコン出発シーン

新千歳空港にほど近い新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターで、トヨタ・カムロードベースのキャブコンを借りて、いざ出発!

初夏になると、どうにも北海道が恋しくなる。50代を迎えた多くのおじさん世代にとって、「日本最北端」宗谷岬への到達は、人生の中で一度は果たしておきたい冒険のひとつだと思う。

もちろん、稚内(わっかない)空港まで飛んでしまえばあっさり到達できる。でも、それでは味気ない。やはり、時間と手間をかけてたどり着くからこそ、旅の達成感は増すもの。とはいえ、大洗港からフェリーに乗って苫小牧(とまこまい)へ……なんてフルドライブ旅は、仕事や家庭の事情で現実的ではない。

そこで今回は、新千歳空港まで空路で飛び、そこからレンタルキャンピングカーで宗谷岬を目指す、2泊3日のコンパクトプランを決行した。

本当はバイク旅にも憧れがある。大型自動二輪免許も持っているし、自由気ままに北の大地を駆け抜けるなんて最高だ。でも現実はというと「荷物が多いのはイヤ」「暑いの寒いのは勘弁」……我慢を知らない50代には、ちょっとハードルが高い。

というわけで、今回選んだのはレンタルキャンピングカー。なかでも、トラックベースで部屋のように使えるキャブコン(キャブコンバージョン)は、思い付きでルート変更でき、疲れたら車内で休憩できて、宿泊地の融通がきくという、まさに理想の旅の相棒だった。

トヨタ・カムロードベースのキャブコンをレンタル!
普通乗用車とは違うポイントをしっかりチェック

キャブコンの幅がわかる写真

普通車に比べて幅が広いキャブコン。特に左折時などに注意したい

キャブコンの後方の写真

キャブコンはリアタイヤから後ろが長いので、駐車場に止める際に、場所によっては車止めにタイヤが当たる前に、壁などにぶつかる可能性がある

キャブコンの高さ

普通車を運転しているとあまり気にしないが、キャブコンで特に注意したいのがその高さ。高さ制限のある駐車場などに結構出くわす。フロントガラスには「高さ注意!キャンピングカーは3m」のステッカーが写り込んでおり、ドライバーに注意を促していた

普通車に比べて幅が広いキャブコン。特に左折時などに注意したい

キャブコンはリアタイヤから後ろが長いので、駐車場に止める際に、場所によっては車止めにタイヤが当たる前に、壁などにぶつかる可能性がある

普通車を運転しているとあまり気にしないが、キャブコンで特に注意したいのがその高さ。高さ制限のある駐車場などに結構出くわす。フロントガラスには「高さ注意!キャンピングカーは3m」のステッカーが写り込んでおり、ドライバーに注意を促していた

今回借りたのは、キャンピングカー専用に設計されたトヨタ・カムロードがベースのキャブコン。基本はトラックなので、普通乗用車とは感覚が異なる。全幅・全長・全高すべてが大きく、運転には独特の注意点が多い。

ただし、レンタル時には新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターで、操作方法や運転のポイントをスタッフが丁寧に教えてくれるで、通常のレンタカーの説明よりも真剣に聞いておきたい。初めてのキャブコンでも安心して出発できる体制が整っている。

キャブコンのミラー

幅の広いキャブコンであるが、ベース車のカムロードのサイドミラーが非常に見やすく安心

キャブコンのバンク

キャブコンのバンク部分の張り出し。コインパーキングの料金所で一部だけ屋根がある場合など、この部分が当たらないように注意を!

キャブコンのガソリンタンク

給油時に慌てないよう、キャブコンの給油方法はしっかりチェックしておこう

幅の広いキャブコンであるが、ベース車のカムロードのサイドミラーが非常に見やすく安心

キャブコンのバンク部分の張り出し。コインパーキングの料金所で一部だけ屋根がある場合など、この部分が当たらないように注意を!

給油時に慌てないよう、キャブコンの給油方法はしっかりチェックしておこう

マックスファン

車内の換気に活躍するマックスファン。マックスファンを使用する際はカバーを上げるのだが、走行中は必ず閉じるように注意。そのレバーが折れやすいので操作は優しく

キャブコンの窓

キャブコンの窓にはシェードや網戸がついている。こちらも乱暴に扱うと破損する可能性があるので上げ下げは丁寧に

外部電源

初日の宿泊先は電源付きサイトなので、給電方法をチェック

車内の換気に活躍するマックスファン。マックスファンを使用する際はカバーを上げるのだが、走行中は必ず閉じるように注意。そのレバーが折れやすいので操作は優しく

キャブコンの窓にはシェードや網戸がついている。こちらも乱暴に扱うと破損する可能性があるので上げ下げは丁寧に

初日の宿泊先は電源付きサイトなので、給電方法をチェック

北海道旅のスタートで浮かれすぎないように!
まずはドライビングポジションを調整しよう

ドライビングポジションの調整

ドライビングポジションの調整

旅先でレンタカーを借りると、テンションが上がってすぐに走り出したくなる気持ちはよくわかる。だが、普段乗り慣れないクルマだからこそ、最初にやっておきたいのがドライビングポジションの調整だ。

特にキャブコンは視界や運転姿勢が乗用車と大きく異なるため、正しいポジションが安全運転のカギになる。詳しい調整方法はJAF Mate Onlineで公開中の記事と動画でチェックできる。モータージャーナリストでありドライビングインストラクターである菰田潔さん監修記事なので安心!

新千歳空港キャンピングカーレンタルセンター

新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターの外観と店内1

新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターの外観と店内2

〒066-0012 北海道千歳市美々758‐209
TEL050‐4560‐1265
【営業時間】
4~9月:8:00~19:00
10月~3月:9:00~18:00
新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターウェブサイト

キャンピングカーを借りたのは、レンタルバイクを扱う「レンタル819」も併設されている「新千歳空港キャンピングカーレンタルセンター」。寝袋やチェア、ランタンなどキャンプ用品は事前予約でレンタル可能。ゴミ袋45L分のゴミを330円で処理してくれるのは、キャンピングカーをレンタルするにあたって嬉しいサービス。

3.0Lディーゼルターボのキャブコンは意外に快適!
でもスピードは控えめに

道中までの様子1

道中までの様子2

道中までの様子3

道中までの様子4

道中は北海道らしい広大な景色が広がっていた

宗谷岬へ向かうルートといえば、日本海オロロンラインを北上するのが王道かもしれないが、今回は初日のハイライトとして「三国峠」を目指すことに。大樹海を貫く松見大橋の絶景を一目見たくて、道東自動車道・十勝清水IC方面へ向かってキャブコンを走らせた。

レンタル車は3.0Lディーゼルターボ&フルタイム四駆。道東道では想像以上に安定して走ってくれた。ただし、ハンドルには「巡航速度80km/hまで」との注意書き。横風に弱いキャブコンでは、スピードの出し過ぎ厳禁。高速道路では80km/hをキープしつつ、安全第一で走行した。

キャブコンの運転シーン

3.0Lディーゼルターボの恩恵もあり高速巡行は非常に楽だが、スピードの出し過ぎに注意!

メロンソフトを食べるシーン

パーキングエリアに立ち寄ると、いすゞ・Be-camベースのキャブコンに遭遇。ACC搭載で北海道旅は特に楽なんだろうな……などと羨ましがりつつ、北海道グルメの第1弾としてメロンソフト(MIX)を食す

道東道・十勝清水ICから市街地へ。今回レンタルした車両は装備がシンプルだったこともあり、大きなボディの割には車重を感じず、ブレーキも扱いやすかった。ただし、家庭用エアコン(室外機も)やサブバッテリー、ソーラーパネルなど快適装備が充実している車両だとさらに重くなり、制動距離が延びると思われる。

そんな時に参考にしたいのが、菰田潔さん直伝の運転テクニック。「ありさんブレーキ」「じわっとペダル」の記事では、キャブコン運転時に大切なペダルタッチが学べるので事前にチェックしておくと役に立つはず。

さらに「先読み運転」も欠かせない。信号の変わり際やブラインドコーナーでの動物の飛び出しなど、常に次を予測して急ブレーキを踏む必要がないよう心がけたい。「ガソリン代を節約したい! 低燃費運転の重要ポイント7選」という記事の動画で、先読み運転のポイントが紹介されているので、こちらもぜひチェックを。

道中1

道中1

道中1

道中1

道中1

レンタルの際に「野生動物に注意して」と言われてはいたものの、道中では鹿やキツネなどかなり多くの野生動物と遭遇した

休憩も仕事もキャブコンでこなす
移動オフィスのような頼れる空間

キャブコンのリビングで仕事シーン

普通車の車内でお仕事なんてかなり厳しいが、キャブコンのリビングスペースなら落ち着いて仕事に励むことが可能!

2泊3日とコンパクトな旅程とした北海道旅。出発前に奇麗さっぱり仕事を終わらせて、自由の身で3日間北海道を満喫する……ワケではない。

がっつり仕事を残した身で北海道へ渡った状況でも旅を実現できたのは、キャブコンのおかげ。休憩のたびにリビングスペースで、原稿をチェックしたり、企画を承認したりとメンションされた業務を淡々とこなすなど、移動しながらでもキャブコンのリビングがあれば仕事もスムーズに進められる。「旅先でも業務を止めない」ことで、次回の北海道旅のチャンスをつぶさない! そんな現実と妄想を両立させるには、キャブコンという選択がぴったりだった。

直線路に飽きた頃、大雪山国立公園のワインディングへ

士別湖までの道中1

士別湖までの道中2

士別湖までの道中3

然別湖周辺の景色

北海道に来たばかりの頃は、どこまでも続く直線道路にテンションが上がる。けれど2時間も走れば、その感動は薄れ、次第に運転は単調に。

そんな頃、大雪山国立公園に入り、然別湖に近づくと峠道が現れる。全高のあるキャブコンでのカーブ走行は慎重さが求められるが、「ハンドルの遊びを使った曲がり方」を実践すると、車体のロールも少なくスムーズに走れた。これは高速道路のランプウェイなどでも役に立つのでお試しを。

然別湖湖畔では峠道はさらに狭く、悪路に。対向車が来たら若干不安になる狭さではあったが、幸いすれ違ったのは乗用車1台のみ。カムロードはボディの見切りがとてもよく、サイドミラーも大きくて左に寄せやすかったので助かった。

ちなみに然別湖には「湖底線路」というフォトジェニックなスポットがあるのだが、その存在を知ったのは帰京後、この原稿を書いているときなのであった……。残念!

然別湖のフォトスポットである「湖底線路」

然別湖のフォトスポットである「湖底線路」

廃線跡は北海道にも多く存在する1

廃線跡は北海道にも多く存在する2

廃線跡は北海道にも多く存在する3

1987(昭和62)年に廃線になった旧国鉄士幌線。その跡は現在は遊歩道として整備されている。糠平湖(ぬかびらこ)の三の沢橋梁は沢を渡るためのコンクリートアーチ形状が残っている

日が沈む前に三国峠で出会った、写真のままの絶景

三国峠の写真

北海道の大樹海にかかる松見大橋がまさにアイキャッチ的な存在

新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターを出発して約200km。昼食はセイコーマートでサクッと済ませ、途中の休憩は業務と兼ねたおかげで、仕事しつつもなんとか日没前に三国峠に到着。三国峠展望台手前に駐車場があり、そこから徒歩で松見大橋を一望できるスポットへ。写真で見ていたあの景色が、目の前に広がる感動は格別だった。

キャンピングカーの走行シーン

結構な上り坂となった三国峠周辺のワインディングだったが、3.0Lディーゼルターボのカムロードだったので快適に走れた

三国峠道中1

三国峠道中2

三国峠道中3

三国峠道中4

三国峠展望台からの景色。スマホの電波が一切入らなかったので、ここでのお仕事は見合わせた

和寒のRVパークで初日を終える

RVパーク「わっさむふれあいのもり」の電源サイト

「RVパークわっさむふれあいのもり」の電源サイト

初日の宿泊地は、和寒(わっさむ)町の「RVパークわっさむふれあいのもり」を予約していたが、三国峠を出たのが16時、チェックインは17時……。でも三国峠付近は圏外のエリアでスマホが使えず冷や汗……。運よく、施設スタッフが19時まで滞在予定だったため無事にチェックインできたが、旅のスケジュールには余裕を持つのが大切だと痛感した。

なお、北海道ではRVパークや道の駅が多く、くるま旅クラブ で情報収集できる。道内には格安&無料キャンプ場も多いので、車中泊派には魅力的な環境だ。

RVパークわっさむふれあいのもり

RVパークわっさむふれあいのもり

晩ごはんはホクレンマートのお惣菜を購入

晩ごはんはホクレンマートのお惣菜を購入

ホクレンマートの近くにあるセイコーマートで、北海道民が旨いとオススメしてくれたワインG7を購入。小瓶タイプは飲みすぎなくて済むので車中泊に最適なサイズ

ホクレンマートの近くにあるセイコーマートで、北海道民が旨いとオススメしてくれたワインG7を購入。小瓶タイプは飲みすぎなくて済むので車中泊に最適なサイズ

RVパークわっさむふれあいのもり

晩ごはんはホクレンマートのお惣菜を購入

ホクレンマートの近くにあるセイコーマートで、北海道民が旨いとオススメしてくれたワインG7を購入。小瓶タイプは飲みすぎなくて済むので車中泊に最適なサイズ

RVパークわっさむふれあいのもり

ふれあいのもりのキャンプ場の外観と店内1

ふれあいのもりのキャンプ場の外観と店内2

〒098-0111 北海道上川郡和寒町三笠103
TEL0165‐32‐4470
RVパークわっさむふれあいのもりウェブサイト

初日の宿泊地とした場所は、和寒町のふれあいの森キャンプ場に併設されたRVパーク。テントサイトの併用もでき、キャブコンを水平にするための簡易スロープも貸し出している。バーベキュースペースやステージも併設しイベントなどにも利用されている。和寒町市街地から近く、食材などの買い出しにも便利だ。

旅の初日の締めくくりはホクレンマートで買ったお惣菜と、セイコーマートの小瓶ワイン「G7」で乾杯。翌日は北海道らしさたっぷりの海鮮丼などをいただけることを願い、エサヌカ線を抜けて宗谷岬へ向かう予定。北海道旅、まだまだ続く!

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