ドライバーのお悩み解決! 菰田潔の運転レッスン

「車がギクシャクするんです…」。スムースに操作できない原因を知ろう!

菰田 潔(モータージャーナリスト)
2022.03.15

撮影=柴田直行

2022.03.15

撮影=柴田直行

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1年点検を受けると、だれにでもチャンス

安全運転は基本から。「セーフティ」「エコロジー」「エコノミー」を満たす運転、「スムースドライビング」について学んでいきましょう。講師はモータージャーナリストの菰田潔さん、生徒は土屋怜果さんです。

車が思い通りに動かない!?
理由はブレーキ、アクセル操作かも

車がガクッと止まる「カックンブレーキ」になったり、ラフにアクセルを踏んで思いがけず急発進·急加速してしまうなど、いわゆる車体が「ギクシャク」する運転に悩む方はいませんか? このような運転は同乗者を不快にするだけでなく、周囲の車にも不安感を与えてしまいがちです。
車の動きがギクシャクしてしまうのは、アクセルとブレーキをうまくコントロールできていないことに原因があることが多いようです。今回はブレーキ操作とアクセル操作の基本を練習してみましょう。

初心者もベテランも
「アリさんブレーキ」をマスターしよう!

「アリさんブレーキ」とは、その名の通りアリが歩くような速度で車を進めること。一般的なAT車には、ブレーキペダルから足を離すと車がゆっくり動き出す「クリープ現象」があります。このクリープ現象を押さえるようにブレーキペダルをそっと操作し、アクセルは使わず、極低速で車をコントロールするのです。アリさんブレーキができるようになると、微妙なブレーキペダルの踏み加減を調節できるようになり、停止時のカックンブレーキを防ぐことができます。

0km/hのスピードメーター

ブレーキの基本「アリさんブレーキ」で
車速をコントロール

かかとを床につけたブレーキ例

かかとが床から離れたブレーキ例

ブレーキの説明をする講師

「アリさんブレーキ」は、「カックンブレーキ」を防ぐことができるほか、車庫入れや縦列駐車など、車をゆっくりと動かすシーンでとても役立ちます。ハイスピードドライビングでも、微妙なブレーキ操作で車を曲がりやすくコントロールすることができる重要なテクニック。ベテランドライバーもぜひ練習することをおすすめします。

不快なギクシャク運転や
危険な急発進を防ぐアクセル操作を身に付ける

速度を一定に保てなかったり、なぜか急発進気味になってしまうという人は、アクセルペダルをどのくらい踏むとどのくらいの速度が出るのか、ということがわかっていない場合が多いようです。
この感覚を身に付けるには、次の2つのレッスンが有効です。いずれのレッスンも車を停止させた状態で行いますが、行う場合は万一に備えて周囲に人などがいない安全な場所を選ぶとともに、セレクターレバーがPレンジに入っていて動力が伝わっていないこと、パーキングブレーキがしっかりかけられていることを確認してから行いましょう。

1アクセルの限界を知る

「アクセルをどのくらい踏んでいいかわからない」「アクセルを踏むのが怖い……」という人は、セレクターレバーがPレンジの状態で、限界までアクセルを踏み込む体験をしてみましょう。「0%⇔100%」の踏み込み加減(=アクセル開度)を体感することで、普段の運転でも「今、何%程度踏んでいるか」がわかるようになります。近年のエンジンはコンピューターで制御されているため、レッドゾーン近辺まで回転数を上げるとレブリミッターが働き、それ以上は回転が上がらないようになっています。あくまで数秒程度の体験にとどめましょう。

アクセルを怖がる生徒

2アクセル開度を知る

次に、普段の運転で使用するアクセルペダルの踏み込みを体験しましょう。アクセルペダルを、発進時に強く踏んで加速し、スピードが出たら全部戻すという「ON/OFFスイッチ」のように使用している人は、ベテランドライバーでも少なくありません。アクセルも前出のブレーキ同様、丁寧に踏み込み、一定のスピードになったら微調整で維持するという操作を行うと、発進時の揺れも少なく、乗り心地のよい状態となります。通常の運転時に必要なのは2000回転程度。かかとをフロアに付けた状態で「アイドリング⇔2000回転」を繰り返す練習で、2000回転キープの時にアクセルを踏んでいる足首の角度がどうなっているかを覚えましょう。こちらの練習も必ずPレンジのまま、周囲の環境に配慮を。

2000回転を指しているアクセルメーター

ブレーキとアクセルの踏み替え

かつてのクルマはブレーキの利きが悪かったため、ペダルを強く踏み込む必要がありましたが、現在のクルマは軽い力で十分にブレーキを利かせることができます。私はかかとを付けたままの方が踏み替えやすいと考えていますが、アクセルとの踏み間違いを防ぐためにも、足の小さな方、そのやり方が難しい方は一度持ち上げて踏み替える方が良いでしょう。
いずれにせよ、ペダルの微妙なコントロールはフロアにかかとを付けている方が、クルマが揺れても確実に行うことができます。

アクセルペダルを踏む足

ブレーキペダルを踏む足

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菰田 潔

こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。

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