その運転、周囲のドライバーをいらだたせているかも? 「あおられない」マナー運転を考えよう
あおり運転を誘発しないマナーポイント6選「愛車で走行中、後続車にあおり運転をされてしまったんです!」と震えながら恐怖体験を語る、土屋怜果さん。講師の菰田潔さんは、土屋さんを慰めつつも「そのとき、土屋さんはどんな運転をしていたか」が気になっているようです。
2020年、あおり運転(妨害運転)に対する罰則が創設され、通行妨害目的で車間距離不保持や急ブレーキ禁止違反等をした場合、取り締まり対象となり、最大で懲役3年もしくは罰金50万円以下が科せられることが公示されました。
もちろん、あおり運転は人の命を危険にさらす、決して行ってはいけない悪質な行為。ですが、JAF Mateが「運転中にイライラする状況は?」というアンケートを実施した際には、「ウインカーを出さずに進路変更される」「強引に割り込まれる」「前車の速度が遅い」などの行為に多くの票が入り、「周囲のドライバーをいらだたせる側が、マナー違反をしている場合もある」という側面が見えてきました。無用なトラブルを避けるためにも、今回は「周囲のドライバーにストレスをかけない、マナー運転」について考えてみましょう。
あおられない運転を動画で解説
周囲のドライバーをイライラさせる
「あおられ運転」とは?
JAF Mateのアンケートでは、回答した約7割のドライバーが「運転中にイライラすることがある」と回答しています。後続ドライバーをイライラさせたり、不安を感じさせるような運転は、周囲への配慮に欠けた、自分本位な操作をしているケースがあります。スムーズに走行できていない場合、後続車の追突事故を誘発する危険性も。追突されない、あおられない運転のポイントは次の6つです。
1. 「急」のつく運転、波状運転を避ける。
周囲の車の流れを考えずに「急にスピードを上げる」「急にスピードを下げる」を繰り返す、いわゆる波状運転。これは後続ドライバーのスムーズな運転を妨げ、ストレスを与えるだけでなく、追突されてしまうリスクも大。同乗者が車酔いをする一因にもなります。周囲の流れを乱さず、なるべく一定の速度での走行を心がけましょう。
2. ウインカーは早めに点灯し、早めの意思表示を。
車線変更や合流では、その3秒前にウインカーを点灯するのが基本です。前もって意思表示をすることで、周囲のドライバーもこちらの次の動きを予測して備えてくれます。一方、ハンドルを切るのと同時にウインカーを出したり、そもそもウインカーを出さなかったりした場合、後続車にとっては「急に割り込まれた!」という印象になります。こういった行為は法律にも違反しますし、大変危険です。特に高速道路などでは、交通の流れが速い分、危険も増します。早めの点灯を心がけましょう。
わずかな時間のウインカー点灯では、後続車をとまどわせてしまいます
3. 走行中は「キープレフト」が基本。
2車線以上の道路の場合、左側車線を走行する「キープレフト」が基本。追越車線を走り続けることは道路交通法違反になります。また、追越車線を低速で走ることは後続車の進行を妨げることにも。特に、高速道路やバイパスなど、速度域が高い道路で極端に遅い速度で走行することは、周囲のドライバーをいらだたせる原因にも。周囲のスピードから逸脱せず、また必要な場合は登坂車線に移って後続車に道を譲るなど、自分のスピードに合った車線を走行するとよいでしょう。
4. 短い距離で車線変更を繰り返さない。
急いでいる場合など「少しでも空(す)いている車線に行こう」と、何度も車線変更を繰り返す運転。これは、周囲の走行を妨げます。時間にはゆとりを持って、安定した走行を心がけましょう。
5. 不必要なホーン(警笛)を鳴らさない。
正義感などから、周囲が不適切な運転をした際に「教えてあげる」という気持ちでホーンを鳴らす方がいるようですが、鳴らされた側は不快感を覚えることも。実際に、あおり運転などのトラブルはホーンが発端だったことも少なくありません。危険回避以外のホーンは法律で禁止されています。むやみなホーンの使用は避けましょう。
6. ふらつかず、集中して運転を。
走行中にナビを設定したり、スマホを見たりと運転に集中していないドライバーの車は、ふらふらと進路が安定せず、周囲のドライバーにも不安を与え大変危険です。運転前にナビ設定や車内温度設定を完了し、運転に集中できる環境を整えてから出発しましょう。必要に応じて初心者マークや高齢者運転マークを付けると、周囲のドライバーの理解を得ることにつながります。
あおり運転NGは大前提。
周囲への配慮ある運転を
誰しも、あおり運転をしないことは大前提。そのうえで「あおられない運転」、つまり後続車のドライバーや周囲への配慮ある運転を心がけることが大切です。自身の運転操作を周囲のドライバーがどのように感じるかも意識しつつ、スムーズな運転を心がけましょう。
- ※この企画で紹介しているのは、菰田潔さんの運転メソッドです。JAFの見解とは異なる場合があります。
危険運転についての記事はこちら
JAFでは、交通安全とエコドライブの普及・啓発のためにさまざまな講習会を行っています。また、ウェブを活用した交通安全トレーニングや調査・実験データなど情報を提供しています。ぜひご覧ください。
PR
「JAFトレ」ことJAF交通安全トレーニングでは、交通安全教育の教材をeラーニング形式で提供します。
従業員の皆様の学習結果を蓄積・管理することで、企業・団体の安全運転管理をお手伝いいたします。
菰田 潔
こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。