驚異の持続性とバランスを実現した精密独楽
~大人の工場見学「ミツミ製作所」編~精巧で、長く愛用できるメイド・イン・ジャパンの製品。その裏では、熟練の職人たちが知恵と経験と技を総動員し、日々研鑽を積んでいる。見えないところにまで手間をかけ、より高いクオリティを目指して心血を注ぐ匠たちの静かな矜持。この<匠The日本>では、モノづくりの神髄を感じさせる製品とつくり手にフォーカスする。
精密独楽の魅力は、美しさ、精密さ、回転時間の長さ
幼い頃に興じた懐かしい玩具、独楽(コマ)。令和の時代に大人を魅了するのは、科学と技術の粋を結集した精密独楽だ。ヨーヨーの元世界チャンピオンがプロデュースし、回転の命であるベアリングのトップメーカーがベアリングを供給。それを高い旋盤加工技術でつくったボディに組み上げていく町工場のコラボレーションは、世界各地で人気を博している。精密機械のようなハイスペック独楽「Yen Spin」と「ご縁独楽」を製造する現場を訪ねた。
高い技術で独楽のボディを組み上げるミツミ製作所
今回訪問したのは、80年以上にわたり金属部品の加工を手掛けるミツミ製作所(東京都葛飾区)。医療機器や自動車の部品など0.001ミリを追う精密なモノづくりに定評がある金属加工町工場だ。究極の独楽づくりの発端は、工場長の武田秀明さん(左)とヨーヨー元世界チャンピオンの長谷川貴彦さん(右)の出会いだった。
- ヨーヨーマスターが独楽をプロデュース
株式会社そろはむ代表取締役の長谷川さんは、ヨーヨー世界大会AP(アーティスティックパフォーマンス)部門で3回にわたって1位を獲得。日本人初のヨーヨーマスターの称号を得ている。幼少期から回るという動作に並々ならぬ興味を抱き、遊びを追究してきた。スキルトイ分野の高い知見を持つ長谷川さんのこだわりを具現化したのが、精密独楽だ。
アイデアを形にするミクロン単位での旋盤加工
熟練の技術者が旋盤加工機を前に、アール(曲面)の形状をどうするか微調整を重ねる。高い精度を要求される切削から表面処理は、ベテランの経験に基づく勘が物を言う。寸分違わない精密なボディだからこそ、ベアリングとの相性も抜群。長谷川さんはミツミ製作所の削り出し技術の素晴らしさと、ブレのない加工精度の高さに惚れ込んだという。一方の武田さんは、普段の業務とは異なる自由なモノづくりにおけるラリーを享受した。
遊びながら科学を楽しく学べるのも魅力
「Yen Spin」はベアリングのサイズやボディの素材・形状を変え10種類以上試作を重ねた。軸が独立して回る構造で、ジャイロ効果でバランスを保ちペン先などでも長く回転する。「ご縁独楽」はアルミ製で軽快な回りだしが特徴。5円玉を乗せると回転時間が伸びる。2つの独楽の回り方の違いなどを体感すると、科学や物理に興味を持つきっかけにも。指先を使って遊ぶので脳の活性化も期待できそうだ。進化した大人の独楽を楽しみたい。
町工場が作った2種類の精密独楽セット
軸を捻らずにボディを擦って回転させる「Yen Spin」(左)。軸受に世界トップクラスの国産ベアリングを内蔵し、独楽本体と軸を独立させることで回転持続性を高めている。今回は5円玉をピタッとはめ込める縁起物「ご縁独楽」(右)と専用スタンドをセットにしてお届け。美しい削り出し加工のスタンドの上で長時間バランスよく回り続ける独楽は、いくら眺めていても飽きることがない。※5円玉はセットに含まれておりません。
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