国産デニム発祥の地・児島で生まれたきれいめジーンズBetty Smith〈DENIM WORKS〉
~大人の工場見学「セルビッチデニムジーンズ」編~精巧で、長く愛用できる日本製の商品。その裏では、熟練の職人たちが知恵と経験と技を総動員し、日々研鑽を積んでいる。見えないところにまで手間をかけ、より高いクオリティを目指して心血を注ぐ匠たちの静かな矜持。この<匠The日本>では、モノづくりの神髄を感じさせる商品とつくり手にフォーカスする。
大人に寄り添う上質な国産ジーンズ
年齢とともに体型が変わり、好きだったジーンズから遠ざかっている方も多いのではないだろうか。そんな大人におススメしたいのが、〈DENIM WORKS〉セルビッチデニムジーンズ。国内外で人気を誇るジーンズの産地・岡山県倉敷市児島の株式会社Betty Smithがつくっている、知る人ぞ知る名品だ。上質な素材を用い、美しいシルエットとはき心地のよさを追求したジーンズは、1度はいたら手放せなくなる。
歴史と技術力に裏付けされた理想のシルエット
「たとえば同窓会で久しぶりに会った同級生からカッコいいと言われるような、きれいなジーンズをつくりたかったんです」と語る株式会社Betty Smithの大島康弘社長。東京・恵比寿の工房で、はき慣れたセルビッチデニム姿で出迎えてくれた。同社は繊維のまち・児島で1962年に創業。日本初のレディース専門ジーンズメーカーとして長い歴史を持つ。特筆すべきは、ウエストラインに合わせて曲線を描くカーブベルトの開発だ。腰周りにフィットする美しいジーンズを高い技術力で生産し続けている。なかでも〈DENIM WORKS〉ブランドの大人向けジーンズはロングセラー。「オーダージーンズの経験から行き着いたベストなシルエットです」。快適にはけてビンテージの要素も散りばめられ、気分を高揚させてくれる。
15,000人以上のオーダーから生まれた独自のパターン
〈DENIM WORKS〉が愛され続ける最大の理由。それは業界初のオーダージーンズの実績から生まれた独自のパターンにある。きっかけは、2000年にかかってきた1本の電話だった。「現在の体型にマッチしたジーンズを」という50代男性のリクエストを叶えるべく、オーダーメイドの1本をつくり上げた。1本1本パターンからデザインを起こすハンドメイドのジーンズは人気を博す。2014年には、それまでの15,000人以上のオーダーで発見した「大人世代が心地よくきれいにはけるパターンの共通点」を活かしたオリジナルモデルが誕生。それがこのセルビッチデニムジーンズだ。長年培った技術で、ジャケットにも似合う美しいシルエットを具現化している。
オーダージーンズのために用意された膨大な数のパターン。セルビッチデニムジーンズのはきやすさと美しいシルエットは、長年にわたるオーダージーンズで培った技術と経験の結晶だ。
セルビッチデニムジーンズの細部のこだわり
生地は表情豊かな質感を重視し、力織機を使用したセルビッチ(赤耳)デニムを採用。オーダージーンズで培われたマスターパターンのシルエットと、こだわりのディテールを高い縫製技術で実現している。写真は左上から時計回りにカーブベルト、アメリカ製の古いミシンでカタカタと縫い上げるチェーンステッチ、味わい深い波打つ裾仕上げとセルビッチ、ポケット裏の見えない部分を補強する隠しリベット。
Betty Smithの強みは、近年入社が増えている若き職人たち。「繊維マイスター技能評価検定」をパスした高度な技術とジーンズへの情熱で縫製・加工を手掛ける。
厚いデニムを縫える国産ミシンがなかった1960年代にアメリカから輸入した「ユニオンスペシャル」。味のある仕上がりはビンテージミシンならではだ。
立体的でパーツの多いジーンズは優れた縫製技術が必要となる。とくに難しいバックヨーク(ウエストバンド下の切替部分)の巻き縫いなど、細部に熟練の技が光る。
国産ジーンズ発祥の地・児島
児島は江戸時代から綿花栽培が盛んで、真田紐や足袋を生産してきた繊維のまち。かつては綿織学生服のシェアをほぼ独占していたが、合成繊維の登場で苦境に。そこで目をつけたのがジーンズだった。輸入したジーンズを分解して研究を重ねるゼロからのスタートで、1965年に初の国産ジーンズが誕生。日本製ならではのクオリティと高い技術力が評価され、今や世界中から注文を集めている。近年は、職人の手技をガラス越しに見学できる日本最古のジーンズ工場をはじめ、博物館やジーンズ作り体験工場まであるBetty Smithジーンズミュージアム&ヴィレッジや、直売店が軒を連ねるジーンズストリートなど、観光スポットとしても人気を博している。
〈DENIM WORKS〉セルビッチデニム14オンスとストレッチの2種
今回は14オンスの「セルビッチデニムジーンズ」と12オンスの「ストレッチセルビッチデニムジーンズ」の2タイプをご紹介。いずれもカーブベルトによってウエスト周りがすっきり。ヒップと腿にゆとりがあり、裾にかけてテーパードのシルエットでスタイルアップ効果が。厚地の14オンスは美しい色落ちを楽しめるスタンダードな1本。薄手のストレッチタイプは動きやすいので旅行などにも。季節やシーンに応じて、素材を変えてはき分けるのもよいだろう。
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