国道273号三国峠(北海道)。原生林が残る大樹海を望むルート
絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
原生林が残る大樹海を望む、国道273号三国峠(北海道)ルートを走ります。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。
広大な原生林を一望できる一本道
北海道の中央部に広がる日本最大の国立公園である大雪山(たいせつざん、だいせつざん)国立公園は、自然の美しさや多様性など見どころ満載の場所。この東側を走り抜けるのが国道273号で糠平(ぬかびら)国道とも呼ばれる。今回紹介するのはこの中の、峡谷美もあり道内有数の温泉地である層雲峡(そううんきょう)温泉から、山奥の閑静な温泉街として知られる糠平温泉までの区間で三国峠を越える大自然の中を走るルートだ。野生動物とも出会えるだろう。
写真2 道沿いのシラカバやトドマツ、エゾマツなどの樹海に囲まれた道はまさに別世界だ(撮影エリアは地図2を参照)
国道273号は国道39号の大雪湖から分岐する。この大雪湖の水位が下がった時期に行くと、湖底を歩くエゾシカの群れなどを見ることができる。渓谷に沿って森の中を進むとやがてトンネルがあり、これを出ると目の前に原生林が広がる。ここが三国峠展望台で眼下には信じられないくらい広い樹海や雄大な山々を見渡すことができ、大自然の神々しさに圧倒される。
旧国鉄の士幌線の廃線跡に北海道の歴史を見る
ここから道は下っていくが、すぐに樹海に架かる松見大橋がある。長さ約330mの美しいカーブを描く赤い橋は、北海道ならではの壮大な風景を見せてくれる。見どころはまだまだある。道を下りると今度はシラカバ林の直線が続く圧巻の眺めが楽しめる。十勝三股を過ぎて道はほぼ直線の森林のルートとなる。ここからは旧国鉄の士幌線の廃線跡に沿って走るので古いアーチ橋をいくつも見ることができる。中でも有名なのが「タウシュベツ川橋梁」で展望台から湖の向こうに美しい姿を眺められる。
国道273号三国峠(北海道)データ
北海道帯広市から紋別市までをつなぐ国道273号は、総距離235kmほどの路線。北海道の国道の中で1,139mと最も標高が高い所を通る。帯広市から士幌(しほろ)町までは国道241号との重複区間である。松見大橋から約2.3kmの場所に三国峠展望台があり、カフェなどを休憩所として利用できる。
本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

須藤英一
1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape
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