江差町イメージ
取材・文=ツレヅレハナコ / 撮影=小林大介 ※人物モデルは編集部スタッフです

生ニシンを求めて、北へ! 北海道・江差町で、江戸と令和の魅力に出会う

ツレヅレハナコがめぐる日本遺産と江差グルメ満喫の旅。江差町のご当地土産のプレゼントも!

函館空港からクルマで1時間半ほど。北海道南西部の日本海沿岸に位置する江差町(えさしちょう)は、江戸時代にニシン漁で「江戸をもしのぐ」と評されるほどに繁栄した港町。交易により人が集まることで発展した豪華な伝統芸能や歴史ある街並み、ニシン漁のきっかけとなった伝説など、今も伝えられる繁栄のストーリーは「日本遺産」として認定されています。(江差町の日本遺産ストーリーはこちらから)
かつての賑わいを体感しながら名物「ニシン料理」を堪能し、「日本の夕陽百選」にも選ばれた絶景を観ながらバーベキュー。情緒あふれる江差町のおいしい旅を、文筆家・料理研究家のツレヅレハナコがご案内します。

目次

かつてニシン漁で栄えた北海道・江差町へ
新名物のニシンサンドはどんなお味?

ニシンサンドの弾麺

ぎっしりと具が挟まった「ニシンサンド」900円、地元でとれる果実「アロニア」を使った「Horizoんシェイク(アロニア)」550円

包み紙もかわいらしい江差町の新名物、ニシンサンド

ニシンサンドは、キャロットラペとのコントラストが見た目にも美しい

卵入りのニシン親子丼

プチプチとした数の子がアクセントになっている「にしん親子丼(数の子入り)」1,150円

りんご飴が丸ごと乗ったパフェ

驚きの丸ごと1個のりんごを使用。パリパリとした飴とジューシーな果肉のコントラストが楽しい「りんご飴パフェ」900円

ぎっしりと具が挟まった「ニシンサンド」900円、地元でとれる果実「アロニア」を使った「Horizoんシェイク(アロニア)」550円

ニシンサンドは、キャロットラペとのコントラストが見た目にも美しい

プチプチとした数の子がアクセントになっている「にしん親子丼(数の子入り)」1,150円

驚きの丸ごと1個のりんごを使用。パリパリとした飴とジューシーな果肉のコントラストが楽しい「りんご飴パフェ」900円

江戸時代前期から明治初期にかけて、ニシン漁とその加工品の交易によって繁栄した江差町。クルマを降りると、かつてはさぞ賑わいを見せたであろう港とおだやかな海が広がります。
まずは、今も食文化として残るニシン料理をお目当てに、海沿いの「お土産・お食事Horizoん」へ。こちらでは定番の「ニシンそば」のほか、オリジナルの「ニシン親子サンド」が新名物として人気を集めているのだとか。
地元出身であるフレンチの藤谷圭介シェフによる考案で、ニシンの甘露煮とニシンの卵である数の子を挟んだサンドイッチ。数の子のコリコリとした食感がアクセントになっています。一緒にはさまれたキャロットラペはホワイトソースで和えてあり、ニシンの産卵(群来=くき)の様子をイメージしてあるのだそう。意外な組み合わせに驚きつつ、地元で栽培された果物「アロニア」を使ったシェイクや、「りんご飴パフェ」までペロリと完食!

お土産にぴったりのニシン甘露煮

店内には江差のお土産品コーナーがある。名物であるニシンの甘露煮や昆布巻き、にんにく七味なども人気

お土産・お食事Horizoん(ほらいずん)

お土産・お食事Horizoん(ほらいずん) /江差町字中歌町193-3 Tel. 0139-56-1505

江差に繁栄をもたらしたニシン
歴史をたどっていにしえ街道を歩く

江差町いにしえ街道

姥神町から中歌町にまたがる約1kmの旧国道「いにしえ街道」。大切に保存された建物をじっくり眺めながら歩きたい

街並みの美しさもいにしえ街道の楽しみ

いにしえ街道に面して建つ旧中村家住宅。越前石を積み上げた土台にヒバを主材料にした商家建築の代表的な造り

江差町いにしえ街道の旧中村家内部

建物の内部は見学ができる(入館料300円)。旧中村家住宅の主屋。商家らしく立派な囲炉裏がある

江差町いにしえ街道、旧中村家の蔵で、北前船交易の文化を学ぶ

旧中村家住宅の主屋とつながる文庫蔵には、北前船交易で得た交易品が収められている

姥神町から中歌町にまたがる約1kmの旧国道「いにしえ街道」。大切に保存された建物をじっくり眺めながら歩きたい

いにしえ街道に面して建つ旧中村家住宅。越前石を積み上げた土台にヒバを主材料にした商家建築の代表的な造り

建物の内部は見学ができる(入館料300円)。旧中村家住宅の主屋。商家らしく立派な囲炉裏がある

旧中村家住宅の主屋とつながる文庫蔵には、北前船交易で得た交易品が収められている

外観も美しい、江差町いにしえ街道の旧檜山爾志郡役所庁舎

小高い丘の上にある旧檜山爾志(ひやまにし)郡役所庁舎へ。明治時代に建てられた北海道庁の出先機関でモダンな洋風建築が残されている

江差町いにしえ街道の旧檜山爾志郡役所庁舎階段。趣ある内観も楽しい

旧檜山爾志郡役所庁舎のなかにある廻り階段。急角度に曲がった設計からは明治時代の職人が苦心して造ったものだと想像できる

江差町いにしえ街道の旧檜山爾志郡役所庁舎バルコニー。かもめ島を望む

バルコニーからは江差町の港とかもめ島が一望できる。潮風を受けながら、江戸時代の活気ある風景を想像したい

商家が建ち並ぶいにしえ街道をそぞろ歩くモデル

いにしえ街道の両側には商家が建ち並び、独特の景観を創り出している。商店になっている建物も多く、お買い物も楽しい

江差町の名物、家印、屋号

壁や暖簾などにその家の屋号を掲げるのも江差らしい景観のひとつ。地元の人は、今でも名字ではなく屋号で呼ぶこともあるのだとか

小高い丘の上にある旧檜山爾志(ひやまにし)郡役所庁舎へ。明治時代に建てられた北海道庁の出先機関でモダンな洋風建築が残されている

旧檜山爾志郡役所庁舎のなかにある廻り階段。急角度に曲がった設計からは明治時代の職人が苦心して造ったものだと想像できる

バルコニーからは江差町の港とかもめ島が一望できる。潮風を受けながら、江戸時代の活気ある風景を想像したい

いにしえ街道の両側には商家が建ち並び、独特の景観を創り出している。商店になっている建物も多く、お買い物も楽しい

壁や暖簾などにその家の屋号を掲げるのも江差らしい景観のひとつ。地元の人は、今でも名字ではなく屋号で呼ぶこともあるのだとか

いにしえ街道 /Tel.0139-52-6716(江差町役場 追分観光課 観光係)

ニシン漁と加工を終えた江差の町に、品物を求めて北前船などの交易船や人々が訪れた旧暦5月。その活気ある町の様子は「江差の五月は江戸にもない」と謳われたそう。
海岸線に沿ったなだらかな段丘に立ち並んだ切妻屋根の建物は、ニシンで商売をする人々に合わせて作られていった街並み。壁や看板には、商家の屋号を示す独自の記号「家印(いえじるし)」が刻まれています。もっとも海側にある蔵は「ハネダシ」と呼ばれ、その壁にはひときわ大きく描かれた「家印」が。これを観れば、海に浮かぶ船からでも目当ての取引先がわかったのだとか。
現在でも町の中心にある旧国道「いにしえ街道」を歩くと、歴史ある建物群を見学できます。商家建築の代表的な造りを残す「旧中村家住宅」や、北海道庁の出先機関だった「旧檜山爾志郡役所庁舎」の美しい洋館建築は必見。当時の趣を残す内装や展示物をじっくりと見学を。

ニシン漁師たちが歌った江差追分
チャンピオン直伝で習得す!

江差町山車会館内部。華やかな山車が美しい

江差山車会館には2台の山車(やま)が展示されている。夏に開催される姥神大神宮渡御祭のときには、この山車が町内を練り歩くのだそう

山車の上には、加藤清正公や武田信玄公など歴史上の人物を模した実物大の人形が

山車の上には、加藤清正公や武田信玄公など歴史上の人物を模した実物大の人形が据えられているのが特徴

龍や獅子の見事な彫刻が施された山車の側面

龍や獅子の見事な彫刻が施された山車の側面。年に一度、13台の山車から2台を選び展示されている

江差追分の指導を受けることができる江差追分会館

江差追分会館では江差追分の指導・実演を観賞することができる。名人の先生の後について発声練習からスタート

江差追分は独特の音調でかなり難易度が高い

独特の音調でかなり難易度の高い唄。特に息継ぎのタイミングが難しい!

江差山車会館には2台の山車(やま)が展示されている。夏に開催される姥神大神宮渡御祭のときには、この山車が町内を練り歩くのだそう

山車の上には、加藤清正公や武田信玄公など歴史上の人物を模した実物大の人形が据えられているのが特徴

龍や獅子の見事な彫刻が施された山車の側面。年に一度、13台の山車から2台を選び展示されている

江差追分会館では江差追分の指導・実演を観賞することができる。名人の先生の後について発声練習からスタート

独特の音調でかなり難易度の高い唄。特に息継ぎのタイミングが難しい!

江差追分会館・江差山車会館 /江差町中歌町193-3/Tel. 0139-52-0920 (入館料500円)

ニシン加工品を求めて江差にやってきた北前船の乗組員は、食品だけでなくさまざまな文化をもたらしました。そのひとつが民謡の「江差追分」です。
江戸時代に信州・中仙道で唄われた馬子唄をルーツとする民謡で、陸路や海路を経て江差に伝わり、風土に適したスタイルを確立。独特の音調を持つ節は難易度も高く、今年で第61回を数える全国大会でも白熱の審査が行われています。
また、ニシンの豊漁を神に感謝する北海道最古の祭り「姥神大神宮渡御祭(うばがみだいじんぐうとぎょさい)」は、豪華な13台の山車が祇園囃子(ぎおんばやし)の調べにのって町内を練り歩く行事。毎年8月9日~11日に開催され、町を出た人々も、この祭りのために帰ってくるという人が多いのだそう。
「江差追分会館・江差山車会館」は、この追分と祭りの歴史を知ることができるスポット。達人の先生に歌い方を直接指導してもらえる実演講座もあります。出だしの「♪かもめ~」だけでも、息継ぎなしで歌いきるのは至難の業! 私も挑戦しましたが「節の途中で息を切ると失格」と聞き、その難易度を体感しました。
天井まで届きそうな巨大な山車の展示も圧巻。併設のスクリーンでは祭りの様子を観ることもでき、豪華絢爛な13台の山車がいきいきと映し出されます。「江差の子供は、物心ついた頃から祭りのための太鼓などを練習し始めるんですよ」というスタッフの方の言葉通り、この町にとって祭りがいかに重要な行事なのかが伝わります。

江差の端っこ!
かもめ島マリンピング&夕陽の絶景スポットへ

かもめ島マリンピングドーム。

かもめが羽を広げたような形のかもめ島。マリンピングドームの位置からは、羽先のような半島を見渡すことができる

江差町かもめ島マリンピングドームの内観

マリンピングのドーム室内からの景色。目の前に広がる海の景色は、何時間でも観ていられるほどの贅沢!

江差町かもめ島マリンピングドームではブランコも楽しめる

ドームのテラスに設置されたブランコ。海にせり出しているため、ちょっとドキドキ!

江差町かもめ島。整えられた芝生の広場

美しく芝生が整備されたかもめ島内を散策。かわいい灯台がいまも現役で稼働している

かもめが羽を広げたような形のかもめ島。マリンピングドームの位置からは、羽先のような半島を見渡すことができる

マリンピングのドーム室内からの景色。目の前に広がる海の景色は、何時間でも観ていられるほどの贅沢!

ドームのテラスに設置されたブランコ。海にせり出しているため、ちょっとドキドキ!

美しく芝生が整備されたかもめ島内を散策。かわいい灯台がいまも現役で稼働している

かもめ島のグランピング施設で、夕日を待ちながらのバーベキュー

夕食はBBQ。江差産の魚介類、肉、野菜などがおどろくほどたっぷり味わえる!

かもめ島グランピングでの豪華なBBQ食材。北海道が丸ごと堪能できる

地元の方々との連携で、新鮮な野菜や貝類を提供していただけるのだとか

かもめ島での贅沢なバーベキュー。ラムチョップにホタテ、アワビ、トウモロコシ

現在、かもめ島での宿泊は1日限定8組まで。沈みゆく夕日を眺めつつ、最高に贅沢なBBQを満喫できます

夕食はBBQ。江差産の魚介類、肉、野菜などがおどろくほどたっぷり味わえる!

地元の方々との連携で、新鮮な野菜や貝類を提供していただけるのだとか

現在、かもめ島での宿泊は1日限定8組まで。沈みゆく夕日を眺めつつ、最高に贅沢なBBQを満喫できます

かもめ島の見事な夕日

いよいよ日没の時。対岸に見える奥尻島、海面へと沈んでいく夕陽。さすが「日本の夕陽百選」に選出された絶景!

かもめ島マリンピング /江差町鴎島10 Tel. 050ー5799ー8516

江差町の海沿いに突き出た「かもめ島」は、周囲約2.6㎞の小島。島にある1615年建立の厳島神社が400年を迎えたことを記念し建てられた真っ赤な鳥居が、入り口の海上で出迎えてくれます。
この鳥居の奥にあるのが「瓶子(へいし)岩」。その昔、江差にひとりの姥(うば)がおり、この地である翁(おきな)から小さな瓶を受け取って海に投げたところニシンの大群が来るようになった。その落とした瓶が岩として海上に姿を現した……という伝説とともに伝えられる岩です。
岩の脇を通って階段を上がると、そこはパノラマで広がる芝生の丘。「日本の夕陽百選」にも選ばれた夕日スポットであるとともに、「かもめ島マリンピング」で手ぶらキャンプも楽しめます。
私が宿泊したのは大型のドーム型テント。ゆったりとした室内にはベッドが4台設置されています。日中はSUPやカニ釣りなどの海洋体験を楽しむもよし、グラスホイールやカイトで遊ぶもよし……。絶景の夕日を眺めた後は、お楽しみのバーベキューで夕食を。
ウッドテラスに用意されるのは、「これぞ北海道!」な魚介や肉類などのバーベキュー食材。徐々に暮れていく広大な景色を眺めながら、日頃のあわただしさを忘れてのんびり。夜には、まるでプラネタリウムのような贅沢な星空を楽しめますよ。

かもめ島グランピングではアクティビティも充実。グラスホイールを堪能

マリンピングの敷地内にあるグラスホイールを体験。芝生の上をローリングするのでなかなかの運動になる

かもめ島グランピングのマリンカイト。コツを指導してもらえるので初心者でも安心

無料で貸し出してくれるマリンカイトを飛ばして遊ぶのも楽しい。江差の風の強さを肌で感じられる

かもめ島の入り口付近にある瓶子岩。ニシン豊漁の伝説があり、江差町を象徴する

かもめ島の脇にある海上に浮かぶ巨大な瓶子(へいし)岩。朱い鳥居もあり、映えるフォトスポットに

マリンピングの敷地内にあるグラスホイールを体験。芝生の上をローリングするのでなかなかの運動になる

無料で貸し出してくれるマリンカイトを飛ばして遊ぶのも楽しい。江差の風の強さを肌で感じられる

かもめ島の脇にある海上に浮かぶ巨大な瓶子(へいし)岩。朱い鳥居もあり、映えるフォトスポットに

江差町の観光情報を
ぷらっと江差でゲット

ドライブ車両と幕末の軍艦、開陽丸

江差沿岸は、年間を通じて良風が吹くことから、クルージングやマリンスポーツが楽しめるスポットとしても有名なのだとか

開陽丸の内部は資料館にも

幕末の軍艦「開陽丸」を原寸大で復元。幕末ファンがひっきりなしに訪れる人気スポット

隣接する「ぷらっと江差」では、開陽丸の全体像を見ることができる

「開陽丸」の全体像が見られる模型。ほかにも、開陽丸記念館では航海した時代の解説パネルや約3,000点の引き揚げられた資料を展示

江差沿岸は、年間を通じて良風が吹くことから、クルージングやマリンスポーツが楽しめるスポットとしても有名幕末の軍艦「開陽丸」を原寸大で復元。幕末ファンがひっきりなしに訪れる人気スポットなのだとか

幕末の軍艦「開陽丸」を原寸大で復元。幕末ファンがひっきりなしに訪れる人気スポット

「開陽丸」の全体像が見られる模型。ほかにも、開陽丸記念館では航海した時代の解説パネルや約3,000点の引き揚げられた資料を展示

かもめ島の丘を降りると、港には巨大な軍艦「開陽丸」が停泊しているように見える資料館「開陽丸記念館」がありました。この船は幕末当時、旧幕府軍によって江差沖に到着したものの暴風雨により沈没。1990年に原寸大で復元され、現在は隣接する「開陽丸青少年センター」とともに観光スポットとなっています。
館内にはアンテナショップ「ぷらっと江差」も併設。地場産の野菜や海産物、町の銘菓などが取りそろえられています。

ぷらっと江差内観。定番土産のほかにも、季節の地元産食材も多い

店内には定番の土産物のほか、季節によっては地元の海産物やとれたて野菜なども並ぶ

見た目もかわいらしい「ぷらっと江差」外観

ぷらっと江差 /江差町字姥神町1-10 開陽丸青少年センター内 Tel. 0139-52-1377

江差の老舗和菓子店
五勝手屋本舗でお土産購入

五勝手屋本舗の名物、丸缶羊羹

五勝手屋の丸缶羊羹378円

輪切りにした羊羹を「ご勝手に」もなかに挟んで食べられる大人気商品

「ご勝手に(丸缶羊羹と最中セット)」864円。最中の上下で挟むのもよし、片側だけにはめ込むもよし……ご勝手にどうぞ!

五勝手屋本舗は、ここでしか買えない季節の和菓子も多数

季節の生菓子が買えるのは本店のみ。奥から「にしん黄金」378円、右は「リラ冷え」378円、手前は「回」 1個432円

五勝手屋の丸缶羊羹378円

「ご勝手に(丸缶羊羹と最中セット)」864円。最中の上下で挟むのもよし、片側だけにはめ込むもよし……ご勝手にどうぞ!

季節の生菓子が買えるのは本店のみ。奥から「にしん黄金」378円、右は「リラ冷え」378円、手前は「回」 1個432円

知る人ぞ知る、五勝手屋本舗の新名物「通好み」

丸缶羊羹のあたまに砂糖をまぶしたシャリシャリの部分だけを集めたもの。その名も「通好み」432円

五勝手屋本舗の歴史と趣を感じる菓子の木型

伝統的に使用されているお菓子の木型。2階へ続く階段の踊り場に展示されている

ご勝手屋羊羹外観。江差町内外の方々から深く愛されている

地元民に愛される和菓子店。贈答用はもちろん、自宅で楽しむお茶菓子を買いに来る人も多いそう

丸缶羊羹のあたまに砂糖をまぶしたシャリシャリの部分だけを集めたもの。その名も「通好み」432円

伝統的に使用されているお菓子の木型。2階へ続く階段の踊り場に展示されている

地元民に愛される和菓子店。贈答用はもちろん、自宅で楽しむお茶菓子を買いに来る人も多いそう

五勝手屋本舗 /江差町本町38 Tel. 0139-52-0022

江差町を代表する和菓子店として知られるのが「五勝手屋本舗」。
江戸時代から続く老舗で、当時は北前船で日本海を渡って運ばれてきた砂糖と寒天を使って菓子を作っていたのだそう。
数ある商品の中でも、銘菓として知られるのが「丸缶羊羹」。レトロな赤いパッケージが目を引きますが、こちらは現存する「糸式羊羹」の最古参商品。丸い筒型の容器の底から羊羹を押し出し、付属の糸で切ることで手を汚さず食べることができます。
また、一般的な羊羹には小豆が使われますが、こちらでは金時豆を使用。コクがありながらもさっぱりとした後味で、いくらでも食べられてしまいそう。
私のイチ推しは、「丸缶羊羹」にミニ最中がついた商品「ご勝手に」。糸で切った羊羹を最中にのせていただくと、ねっとり甘い羊羹とパリパリの最中の組み合わせがクセになります。商品名は、店名に沿いつつ「ご勝手に(お好きに)どうぞ」という意味なのだとか。さっそくお土産にも購入しましたが、どなたからも大うけでした!
そのほか季節の生菓子や、ワインにぴったりのドライいちじくを使ったお菓子など気になるものもいろいろと……江差町の本店でしか味わえない銘菓を楽しみました。

※本編に登場した「五勝手屋本舗」からプレゼントがあります! どうぞ最後までご覧ください。

ニシン料理の王道
ニシン蕎麦をローカルな定食屋で味わう

江差町の定番名物、にしんそば。ほろりと煮込まれたニシンが美味

ニシン蕎麦1,050円

人気の塩ラーメンには、北海道ならではの具材「お麩」がポイント

創業時から変わらない味として人気の「塩ラーメン」800円。具にお麩がのっているのがポイント

つるみ食堂外観

江差町の方々に愛される老舗店。訪れた日、入り口の足元にはすずらんの花が咲いていました

ニシン蕎麦1,050円

創業時から変わらない味として人気の「塩ラーメン」800円。具にお麩がのっているのがポイント

江差町の方々に愛される老舗店。訪れた日、入り口の足元にはすずらんの花が咲いていました

つるみ食堂 /江差町橋本町62 Tel.0139-52-0345

江差町に来たからには、王道のニシンそばを味わいたい! 
訪れたのは、創業70年の「つるみ食堂」。地元民に絶大な人気を誇る老舗店で、丼物、定食、麺類などメニューも豊富です。
お目当ての「ニシンそば」を注文すると、コシのある日本そばの上に甘露煮の身欠きにしんがドーンと。さらにはたっぷりの海藻がのっています。京都のニシンそばとも違う、しっかりとした甘めのつゆが江差町ならではの美味。この町に来てから北前船のことを考える機会が増えましたが、まさに全国の食文化をつないだ象徴のようなメニューですよね。
また、函館が近いこともあり「塩ラーメン」も人気の一品。創業当時から変わらぬ味だそうで、澄んだスープが絶品! 思わず飲み干してしまうほどでした。

ついに会えた! 生ニシン
ニシン&江差グルメフルコース

ニシンの刺身、炙りニシン。食感が全く違うのがおもしろい

手前はニシンのお刺身、奥は炙りニシン。ニシンは鮮度を保つのが難しいため、刺身を食べられるのは地元ならでは

細かく包丁が入ったニシンの刺身

「ニシンのお刺身 」600円。シャキシャキとした食感で、噛むほどに身の甘みが広がる

とろけるような食感の「炙りニシン」

「ニシンの炙り」 600円。脂がのったニシンは、炙ることでとろりとした食感に。半生加減が絶妙

ニシンのカルパッチョ。江差産の野菜がうれしい

「ニシンのカルパッチョ」 690円。たっぷりの地元野菜を添え、特製のソースでいただく

手前はニシンのお刺身、奥は炙りニシン。ニシンは鮮度を保つのが難しいため、刺身を食べられるのは地元ならでは

「ニシンのお刺身 」600円。シャキシャキとした食感で、噛むほどに身の甘みが広がる

「ニシンの炙り」 600円。脂がのったニシンは、炙ることでとろりとした食感に。半生加減が絶妙

「ニシンのカルパッチョ」 690円。たっぷりの地元野菜を添え、特製のソースでいただく

江差町では古くから食べられてきたニシン。
さらに、新たなニシンメニューがそろうお店が「レストランSatomi」です。
地元だからこそ味わえる生のニシン料理は、お刺身、炙り、カルパッチョで。香ばしく炙られたお刺身は、脂がとろけて絶品! シャキシャキの歯ごたえが楽しめるカルパッチョも初めていただくお味でした。
これぞと思う地元の生産者から直接仕入れる、地場食材を使ったメニューも豊富。紅ズワイ蟹をたっぷり巻いた生春巻きや、珍しい「ひらいも」の磯部揚げなど季節によって出会えるメニューも異なります。シェフのイチ押しである「ガサ海老」も鮮度が命で、港が近い地元にしか流通しづらい食材なのだそう。
さらに、このエリアでは古くから食べられている天然岩海苔をたっぷり使った棒寿司も必食。一口いただくと磯の香りが口いっぱいに広がり、忘れられないおいしさです。
ご家族で経営されているお店で、お嬢さんはデザートも担当。北海道文化である「締めパフェ」も楽しめます。グラスには季節のフルーツや自家製のブラウニーがたっぷりと盛り込まれ、こちらを目当てに訪れるファンも多いのだとか。

紅ズワイ蟹の生春巻き

「紅ズワイ蟹の生春巻き」 690円。江差町はズワイ蟹がよくとれることでも知られる

ガサ海老の天ぷら、ひらいもの磯辺揚げ

手前は「ガサ海老の天ぷら」 670円。ねっとりとした甘い身がたまらない。奥は「ひらいもの磯辺揚げ」 500円。強い粘りとふわふわ感が魅力

天然岩海苔の棒めし

貴重な天然岩海苔は高級品。肉厚で磯の香りがふわっと広がる「天然岩海苔の棒めし」690円

「紅ズワイ蟹の生春巻き」 690円。江差町はズワイ蟹がよくとれることでも知られる

手前は「ガサ海老の天ぷら」 670円。ねっとりとした甘い身がたまらない。奥は「ひらいもの磯辺揚げ」 500円。強い粘りとふわふわ感が魅力

貴重な天然岩海苔は高級品。肉厚で磯の香りがふわっと広がる「天然岩海苔の棒めし」690円

江差町「さと水」の季節のフルーツパフェ

季節のフルーツや自家製の焼き菓子を組み合わせる「季節の締めパフェ」 1,050円

レストランSatomiのご主人とご家族

レストランSatomiのご主人、佐藤伸喜さん(中央)と奥様、娘さん。3人でお店を切り盛りしている

レストランSatomi外観

江差追分会館・江差山車会館から近く、観光客も多く訪れるのだそう

季節のフルーツや自家製の焼き菓子を組み合わせる「季節の締めパフェ」 1,050円

レストランSatomiのご主人、佐藤伸喜さん(中央)と奥様、娘さん。3人でお店を切り盛りしている

江差追分会館・江差山車会館から近く、観光客も多く訪れるのだそう

レストランSatomi /江差町中歌町4-2 Tel. 0139-52-5514

江戸時代に思いを馳せる
今も守られる日本遺産の旅

海岸線に沿って細長く続く江差町の街並み。
クルマで高台を走ると、この町が繫栄した江戸時代のにぎやかな風景を想像することができます。
眼下に広がる建物群は、ニシン漁に合わせて立ち並んだもの。浜にすぐ出ていけるよう、海につながる小路がいくつも伸び、漁船が着くと皆で坂を駆け下りたんだろうな。
伝説の姥を祀る小さな神社は盛大なお祭りの要であり、日常の小さなことをお願いする拠り所でもあったことでしょう。
明治時代にニシン漁が終わり、人々の暮らしは変わったかもしれないけれど、受け継がれた文化を大切に守る地元の人々がいる。
伝統の民謡をのびやかに披露していただきながら、良いときも悪いときも、みんなで唄い続けてきたその景色を思い浮かべるのでした。
「ニシンそば」くらいしか食べたことがなかったニシン料理を、バラエティ豊かにいただけたのも江差町の良い思い出。
サンドイッチ、カルパッチョ、炙り、刺身……、その味わいは印象的なものばかり。中でも脂がのったニシンの炙りは、とろけるような忘れられないおいしさでした。
函館からは、車で1時間半ほどのショートトリップ。
江戸時代に思いを馳せつつ、日本遺産を堪能する旅に出かけてみませんか?

江差町を一望できる位置からの走行シーン

江差町の日本遺産ストーリーはこちらから!

日本遺産とは、文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通して、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定する制度です。
今回訪れた北海道江差町の日本遺産ストーリーは、こちらよりご覧ください。

JAF会員限定! 「五勝手屋本舗」の羊羹詰め合わせをプレゼント

五勝手屋本舗商品イメージ

五勝手屋羊羹詰め合わせ

本文中にも登場した、江戸時代から続く老舗和菓子店「五勝手屋本舗」 の「五勝手屋羊羹詰め合わせ」を抽選で3名様にプレゼントいたします。十勝産金時豆を使用した、同店ならではの上品な味わいは随一。なめらかな流し羊羹と、同店を代表する人気商品の丸缶羊羹をどちらも堪能できる詰め合わせセットです。

※ウェブ応募のみとなります。
※応募は1名様1回のみ可能。応募後の応募内容の変更はできません。
・応募方法:上記応募フォームをクリックしてログインIDとパスワードを入力。
※応募にあたってはJAFマイページと同じID・パスワードでのログインが必要です。
・当選者数:3名(当選者には、9月中旬までに賞品を発送いたします)
・応募締切:2025年8月31日(日)

ツレヅレハナコ

つれづれはなこ/文筆家、料理研究家。食と酒と旅を愛し、雑誌・書籍・WEBなどでレシピやエッセイを発表。揚げもの専用鍋やアルミ丸バットなど、オリジナル調理器具のプロデュースも手掛ける。著書に『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコの南の島へ呑みに行こうよ!』(光文社)、『ツレヅレハナコのおいしい名店旅行記』(世界文化社)、『ツレヅレハナコのホムパにおいでよ!』(小学館)、『ツレヅレハナコのからだ整え丼』(Gakken)など多数。

Instagram @turehana1

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