車内でクルマ酔い解消のツボ押しをする人
監修=田中友也 / 文=釼持陽子 / イラスト=平松 慶

車酔いに効く手のツボ3選。吐き気・胃もたれ・だるさを和らげる即効ケア

車酔いは治せる! 酔ったときのツボ押しケアを専門家が伝授
田中友也

クルマで出かける夏のレジャーや旅行は楽しみな一方で、車酔いしやすい人にとっては乗車前から憂うつなもの。乗り物が苦手な人が覚えておくと安心なのが、東洋医学の「ツボ押し」です。鍼灸師の田中友也さんに、乗り物酔いに効く手のツボを教えてもらいました。気分が悪くなってきたかも……と思ったら、すぐ試してみましょう。

目次

車酔い予防に効くツボを教えてくれたのは
鍼灸師の田中友也先生

たなか・ともや 鍼灸師(しんきゅうし)、国際中医専門員(国際中医師)、国際中医薬膳管理師、日本中医薬研究会会員。兵庫県神戸市の漢方相談薬局「CoCo美漢方(びかんぽう)」で、健康相談に応ずる傍ら、鍼灸師として施術も行う。季節ごとの健康的な過ごし方や、心身の不調を改善する方法を、Xで発信。フォロワーは15.8万人以上。『心と体を整えるおいしい漢方〜季節の食養生で不調を改善』(扶桑社)など、著書多数。
X(CoCo美漢方 田中 友也)
CoCo美漢方

体に余分な水分や汚れがたまると車酔いしやすくなる

車酔いは、耳や目、体で感じる情報により自律神経が乱れることで起こります。東洋医学では、胃腸が弱い体質の人は車酔いしやすくなると考えられています。胃腸は、食べ物を消化吸収してエネルギーを全身に運ぶ働きのほか、「水」(東洋医学では津液=しんえき)を全身に分配する働きがあります。

しかし、暴飲暴食が続いたり、冷たいものばかり食べたりすると胃腸が弱り、本来の働きが低下。水の停滞が起こり、体のあちこちに「痰湿(たんしつ)」といわれる、余分な水分や汚れがたまります。痰湿が頭のほうにたまると、その影響でフラフラ、ふわふわとしためまいが起こりやすくなり、クルマに乗ったときに吐き気や胃のムカムカ、倦怠感などの車酔いの症状を引き起こします。

胃弱体質以外にも、疲労が蓄積して睡眠不足が続いたり、ストレスがたまっている人も、外から受ける刺激に弱くなり、車酔いにつながります。体質を改善するには、胃腸を労る食生活を心がけましょう。

また、車酔いの緩和・予防にはツボ押しがおすすめ。ツボは、WHO(世界保健機関)でも医学的な有効性が認められています。乗車中に気分が悪くなりはじめたら試してみてください。ツボ押しには即効性もあります。

紹介するツボ押しの秒数や回数は目安です。自分が心地いいと感じる秒数・回数で問題ありません。自分でできない子供には、大人がツボを押してあげましょう。

吐き気・胃の不快感をスッキリ…「気持ち悪さ」を和らげるツボ

内関(ないかん)

内関の指示イラスト

車酔いに効く代表的なツボが手首の内側にある「内関」。吐き気や胃のムカムカなど、気持ち悪さを和らげる効果があります。妊婦さんのつわり緩和にも使われるほど、胃の不快感に効果を発揮。

【ツボの位置】手のひら側で、手首を曲げる部分の太いシワの中央から、指3本分下のところ。手首の2本の腱の間。
【押し方】手首を握り、親指の腹で軽く押しながら深呼吸を繰り返す。「5秒押す→離す」×5回を目安に。左右両方の手首で続けてツボを押す。

ずーんとした頭の重さを緩和…「頭痛・だるさ」に効くツボ

外関(がいかん)

外関の指示イラスト

「内関」の真裏あたりにある「外関」は、車酔いで起こる頭部のさまざまな不調に効き目大。特に効果的なのは頭痛で、それ以外にもだるい、ボーッとするなど、頭に重さを感じたら押してみましょう。

【ツボの位置】手の甲側で、手首の中央から、指3本分下のところ。「内関」の真裏あたり。
【押し方】手首を握り、親指の腹で軽く押しながら深呼吸を繰り返す。「5秒押す→離す」×5回を目安に。左右両方の手首で続けてツボを押す。

ガチガチの体をリラックス…「首・肩のこわばり」に効くツボ

翳風(えいふう)

翳風の指示イラスト

車酔いになると、首や肩まわりがガチガチに緊張することがあります。そんな首・肩のこわばりには耳の後ろにある「翳風」を。血流を改善して体をリラックスさせ、車酔いの症状を和らげます。

【ツボの位置】耳たぶの後ろで耳の付け根あたりにあるへこんでいるところ。
【押し方】左右同時に、人差し指もしくは中指の腹で、真っすぐツボのほうに押しながら深呼吸を繰り返す。「5秒押す→離す」×5回を目安に。

「ばんそうこう+お米」をツボに貼るだけの手作り酔い止めパッチ

酔い止めパッチ

酔い止め防止策としておすすめなのが、ツボに貼る手作りの酔いパッチです。お米ひと粒を手首のツボの「内関」に置き、上からばんそうこうを貼って固定。乗車中ずっとツボ押し効果が持続するので、車酔い防止効果が期待できます。「これを貼ったから大丈夫」という精神的な安心にもつながります。できれば気分が悪くなる前から貼って、車でのお出かけに備えましょう。

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