日本海追分ソーランライン
函館から小樽をつなぐ日本海追分ソーランラインを走る
写真・構成=高橋祐介/文=編集部

北海道最北端から積丹ブルーへ。宗谷岬から始まる絶景&グルメ車中泊旅【3日目】

2泊3日総走行距離1,223kmの締めくくりは、神威岬の積丹ブルーと無添加ウニ丼で!

2泊3日、レンタルキャンピングカー(キャブコン)で巡る北海道車中泊旅もいよいよ最終日。宗谷岬で目標達成したはずが、帰るには惜しい絶景とグルメがまだあった! 雨の中スタートした最終日は、積丹(しゃこたん)ブルーが広がる神威岬(かむいみさき)と、地元でしか味わえない無添加ウニ丼を目指すルートへと急展開。走行距離1,223kmを駆け抜けた、車中泊旅の締めくくりとは──。

目次

日本最北端から踵を返し、積丹ブルーとウニを目指す!

日本海ソーランラインの景色

余市ICを降りて、日本海追分ソーランラインから神威岬を目指す!

北海道旅3日目の朝は、無情の土砂降りから始まった。
この日は新千歳空港に戻る大移動日。セイコーマートの朝6時開店と同時に朝食を調達し、日本海オロロンラインを南へ向かう。

2泊3日のレンタルキャブコン旅。2日目には最大の目的地・宗谷岬に到達し、「あとは帰るだけ」では旅の締めくくりとして少々味気ない。そんな時、ふと視界に映った利尻富士が背中を押してきた。

「……積丹ブルー、見に行くか。ウニ丼も食いたいし」

「なんで積丹? 利尻島に渡らないの?」という声が聞こえてきそうだが、キャブコンの返却と帰りのフライトを考えると、島に渡る余裕はない。その条件で導き出したのが、積丹半島・神威岬だった。新千歳方面へ戻るルート上にあり、絶景あり、ウニあり。申し分なし。こういった適当な発想でルートが決められるのもレンタルキャブコン旅の美点なのかも?

宿泊地から神威岬まではおよそ300km。距離感を例えるなら、東名高速の東京ICから豊田JCTくらい。北海道だと不思議と「問題なし」と思わせる距離だ。

日本海オロロンラインを積丹半島方面にひたすら走り続けるルートも考えたが、以前「ごきげんロードトリップ」(北海道・新篠津村~増毛町編)でたっぷり紹介しているため、今回は留萌(るもい)から高速道路を利用し、余市ICまで一気に走り抜けた。

積丹半島までの道中1

積丹半島までの道中2

積丹半島までの道中3

深川留萌自動車道から深川ICで道央自動車道へ入り、札樽自動車道で余市へ向かう

ワイパーで拭いても拭いても油膜が消えない!?
原因は…フロントガラスにびっしり付着した“虫の死骸”だった!

フロントガラスに虫がついている

※写真はイメージです

車中泊旅の途中、雨がパラついたタイミングでワイパーを作動。すると──なぜか予想外にフロントガラスの視界が悪化! 原因は、道中で付着した虫の死骸による“油膜汚れ”だった。

視界をクリアにしようとウォッシャー液&ワイパーで何度もこすったものの、汚れが広がるばかりで逆効果。実はこの汚れ、乾いた虫の死骸と水が混ざるとヌルつきが発生するようで、拭き伸ばしてしまう行為がNGなのだ。

おすすめは、クルマを安全な場所に停めてから、水で湿らせたスポンジや専用のクリーナーシートなどでやさしく除去する方法だ。

ちなみに今回は、3日目の土砂降りの雨のおかげで、フロントガラスの油膜汚れが一掃されて難を逃れたけれど、あくまでラッキー。虫の多い季節の北海道ドライブでは、“虫対策グッズ”もマスト装備といえる。

海岸沿いは奇岩が多い1

海岸沿いは奇岩が多い2

海岸沿いは奇岩が多い3

後志自動車道の余市ICを降り、日本海追分ソーランラインを走り神威岬を目指す道中

積丹ブルーは曇天でも裏切らない。神威岬で絶景に遭遇!

岬前景

よく目にする神威岬の写真って必ずこの位置なのだが、現地に行ってみると、遊歩道の作り的にここが唯一無二のベストポジションだった

道中の豪雨は、余市に差し掛かる頃にはすっかりやみ、積丹半島では時おり薄日も差す曇天に。松前・函館方面まで続く「日本海追分ソーランライン」を走り、ついに神威岬に到着した。

ただし、現地は強風&肌寒さが強烈である。薄手のダウンを羽織って遊歩道に向かうと、Tシャツ短パンの若者たちが気合いで突き進んでいた。20分の道のりと聞いて一瞬ためらったが、「女人禁制の門」(今は禁制ではない)をくぐった先に見える岬の先端を見て気持ちは前向きに。

遊歩道はアップダウンする階段が続くが、整備はされており、歩きやすい靴さえあれば問題ない。岬の先端では、荒れ模様の空をも跳ね返すような鮮やかな“積丹ブルー”が眼下に広がっていた。

入り口

風邪の強さ

函館方面の陸地

灯台

小樽方面の陸地

神威岬の遊歩道から岬の先端へ向かう景色。当日は体ごと飛ばされそうな強風だった

積丹産じゃなかったけど…絶品ウニ丼で心は満たされた

二色のウニ丼

黄色はムラサキウニ、オレンジがかっているのはバフンウニでハーフ丼を注文

神威岬からキャブコンへ戻った頃には、空腹が最高潮に。向かったのは岬近くの「食堂うしお」。ここでは地元・積丹産の無添加ウニが楽しめる……はずだった。

だが、まさかの展開。なんとこの日がウニ漁の「解禁初日」だったため、まだ積丹産のウニが入荷していなかったのだ!

しかし落胆する間もなく、余市産のムラサキウニと枝幸(えさし)産のバフンウニが用意されており、どっちも食べたいので、ここはムラサキウニとバフンウニのハーフ丼を注文することに。

余市はここからご近所だが、ところで枝幸ってどこ? と調べてみると、なんと宗谷岬からわずか90kmほどの町(注:北海道の感覚だとわずか)。つまり私は……宗谷岬から約450km以上かけて食堂うしおに赴き、宗谷岬から約90km先にある枝幸産のウニをはるばる食べにきたわけである。こういった不条理も旅の醍醐味?

だが運ばれてきたハーフ丼の美しさを前に、そんな距離もルートもすべてどうでもよくなった。オレンジ色がかった粒のバフンウニと、淡く黄味がかったムラサキウニ。どちらも無添加で、醤油なしでも旨みが際立つ。

この記事が公開される7月は、まさに積丹産ウニの旬。「食堂うしお」ではうしおのウェブサイト Instagram で最新入荷情報を発信しているので、ここをチェックしておけば私のような痛恨のミスは回避できるはず。なお、積丹産のバフンウニは流通量が極めて少なく“幻”とのこと。出会えたら迷わず注文……と言いたいが、値段もそれなりとのこと。財布との相談は必須かも。

食堂うしお1

ウニ丼のうまさにしばし固まる。ムラサキウニも旨いが、バフンウニはさらに濃厚。食べ比べるとその差がよくわかる

食堂うしお2

ムラサキウニとバフンウニのハーフ丼。今回のムラサキウニは余市産、バフンウニは枝幸産

食堂うしお3

うしお丼スペシャルは、厳選された海鮮を中心に、甘えび、生ウニ、いくら、ほたて、かにを贅沢に使った一品

ウニ丼のうまさにしばし固まる。ムラサキウニも旨いが、バフンウニはさらに濃厚。食べ比べるとその差がよくわかる

ムラサキウニとバフンウニのハーフ丼。今回のムラサキウニは余市産、バフンウニは枝幸産

うしお丼スペシャルは、厳選された海鮮を中心に、甘えび、生ウニ、いくら、ほたて、かにを贅沢に使った一品

食堂うしお

食堂うしお外観

〒046-0321北海道積丹郡積丹町神岬町9-1
【営業時間】
4月上旬〜11月上旬:8:30〜14:00前後
食堂うしおウェブサイト
instagram

日本海追分ソーランラインを走り、神威岬に近い立地の食堂うしお。ウニの入荷情報は上記のウェブサイト、インスタグラムでチェックを。なお、ウニの価格は時価となっている。

北海道らしいお土産で締め! そしてキャブコン返却へ

積丹ブルーとウニを堪能したあと、気づけばキャブコン返却までのリミットが迫っていた。本来はすぐに出発すべきなのだが、残された時間で悪あがきともいえるお土産探しへ。余市蒸溜所は時間がなく見学できなかったが、物販コーナーで蒸留所限定というミニボトルのウイスキーセットをゲット。次の車中泊旅で味わおう。

さらに、高速道路に乗って途中の金山PAに立ち寄ると、セイコーマートで「セコマTシャツ」と「ホットシェフTシャツ」に遭遇。公式サイトでも注文でき、本州配送も可能だが、受け取れる店舗が少ないだけに現地での出会いは運命。迷わず購入し、旅の達成感とともにキャブコンの返却に向かった。

余市蒸溜所限定ミニボトル3本セット

余市蒸溜所限定ミニボトル3本セット

オリジナルアイテムとなるセイコーマートとホットシェフのTシャツ

オリジナルアイテムとなるセイコーマートとホットシェフのTシャツ

余市蒸溜所限定ミニボトル3本セット

オリジナルアイテムとなるセイコーマートとホットシェフのTシャツ

札幌市内を通過する頃、ビルの風景が旅の終わりを告げる。北広島ICで降りてエスコンフィールド北海道に寄る案も浮かんだが、その日はファイターズとタイガースの交流戦真っただ中。球場周辺の混雑とキャブコン返却時間&帰りのフライトを天秤にかけて断念した。

新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターでキャブコンを返却

新千歳空港キャンピングカーレンタルセンターでキャブコンを返却

レンタルキャブコンのオドメーターを返却後にチェックすると、3日間の走行距離は1,223kmだった。けれど、北海道でこの距離はそれほどの負担にならない。特にレンタルキャブコンならなおのこと。3日間走った北海道は広くて、走っていて気持ちよくて、絶景も美味もたっぷりと詰まっていた。

「次は知床半島まで行ってみるか」──そんな思いを胸に、新千歳空港で最後の北海道グルメとお土産探しへ向かった。

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