白い道を走るレンタルキャンピングカー
宗谷岬から案内看板通りに進むと、突然、アスファルトから「白い道」へと変わる!
写真・構成=高橋祐介/文=編集部

レンタルキャンピングカーで行く北海道最北端ドライブ! 宗谷岬・白い道・天然ホタテの絶景旅【2日目】

エサヌカ線に天然ホタテ丼! 500kmを走ってたどり着いた宗谷岬と、“その先”の絶景とは?

レンタルキャンピングカー(キャブコン)を駆って、北海道の最北端・宗谷岬を目指す2泊3日の車中泊旅。旅の2日目は憧れだった直線道路「エサヌカ線」や、涙目必至の山わさびのおにぎり、天然ホタテ丼など、北海道ならではの魅力が次々と登場。全行程500km超、風に煽られ、涙にむせび、グルメに満たされる濃密な“2日目”がここに。

目次

あえてホクレンで給油。晴天の宗谷岬へ、北海道旅DAY2出発!

道中のホクレンで給油1

道中のホクレンで給油1

道中のホクレンで給油1

アプリが使えて便利なエネオスが近くにあったが、最初の給油はあえてホクレンで。ツーリングライダーがホクレンで給油するとオリジナルフラッグとステッカーがもらえるが、キャンピングカードライバーは当然もらえなかった……

2日目の朝は吸い込まれるような青い空。旅の3日間の天気予報は曇り→晴れ→雨だったため、クライマックスの宗谷岬に向かうこの日が晴天というのは、まさに僥倖だった。

初日にキャブコン(3.0Lディーゼルターボ)を借りてから300km以上を走破し、現在地は和寒(わっさむ)町。アクセルを深く踏まずともトルクでぐいぐい進み、燃費は想定以上。満タンなら500km以上走れそうで、北海道の長距離移動において安心感は抜群だ。

朝イチは便利なアプリを持っているエネオスではなく、挨拶代わりにホクレンで給油。ステッカーやフラッグを集めるツーリングライダーの定番スポットでもある。

パッと済ませたい朝食はもちろんセイコーマート。購入したのは、山わさび醤油おにぎりとコーン茶。レジで「おにぎりを温めますか?」と聞かれ、思わず「温めるんだ」と新鮮な驚き。
そして、温めた山わさびのおにぎりを頬張ると……予想以上の山わさびの量と刺激に、むせる。しかし、おいしい……でも食べるとむせる……だが旨い……を繰り返し、涙目になりながらの出発となった。

本日の目的地は宗谷岬。和寒ICから道央自動車道を北上し、オホーツク海沿いの絶景ルート「エサヌカ線」へと向かう。

最北端の料金所を通過

農耕エリア

放牧エリア

函岳を望む

道央道の端っこまで走ると日本最北の料金所である士別剣淵本線料金所を通過。ここからエサヌカ線まではたっぷり150kmあり、北海道らしいのどかな景観を楽しんだ

公園内に戦闘機

SLの展示

浜頓別寿公園

エサヌカ線の手前にある中頓別町の寿公園には、なぜか戦闘機とSLが展示されており、無駄に立ち寄る。当然、キャブコンのリビングで軽くお仕事もこなしてからリスタート

風と空だけ。絶景直線路「エサヌカ線」を走る

エサヌカ線1

エサヌカ線2

エサヌカ線3

遮るものがない、エサヌカ線の鮮やかな景観

和寒を出て約150km、ついに猿払(さるふつ)村道・エサヌカ線に到着。牧草地を貫く全長約16kmの一直線路は、写真で見た以上にスケールが大きい。三国峠と同じく「走ってみたい絶景道」のひとつだったが、現地で感じるスケールと開放感は格別だ。

交通量はほとんどゼロ。抜けるような空と、どこまでも続く緑とのコントラストに心が洗われる、そんな絶景だった。

直線道路を宗谷岬方面に進み、クランクを曲がるとエサヌカ線がより海辺に

直線道路を宗谷岬方面に進み、クランクを曲がるとエサヌカ線がより海辺に近づく

宗谷岬への道中には、海底ケーブル送電線の石碑が

宗谷岬への道中には、海底ケーブル送電線の石碑が

エサヌカ線を抜け、国道238号を北上。オホーツク海を右手に、海風が車体を揺らす。このあたりから風が一気に強まり、キャブコンのようなボディの大きい車両では横風に注意が必要だ。こんな特に、片手運転、それも「片手12時ハンドル」などはもってのほか。速度も控えめに、両手でしっかりハンドルを握ってキャブコンを走らせた。

……なんてドライビングTipsを語ってはいるものの、早朝に和寒を出発してからお昼は優に過ぎており、空腹は限界に。このまま宗谷岬に進んでは確実に昼飯を逃すし、北海道の貴重なお食事タイムを削ってはならない。たしか猿払といえば天然ホタテが名物だったはず……そう思案しているうちに、宗谷岬まであと30km(北海道的には「目前」ってことで……)の地点で「道の駅さるふつ公園」に立ち寄ることにした。

北海道旅2日目にしてありつけた海鮮丼は天然ほたてがたっぷり!

猿払産の生ホタテたっぷりの「ほたて丼」

猿払産の生ホタテたっぷりの「ほたて丼」

空腹の私を吸い寄せたのは、「さるふつまるごと館」。地元の小松水産が運営するお店で、生の天然ホタテやホタテフライ定食、ホタテカレーなどのメニューが並ぶ。ホタテフライ定食やホタテフライカレーなど腕白なメニューにも心惹かれたが、その中から選んだのは「ほたて丼」(1,870円)。北海道に来たなら、やっぱり生だろうと。

猿払のホタテは、稚貝を海に放して自然に育てる「地撒き式」の天然ホタテ。垂下式養殖とは違い、身が締まり、貝柱の食感と旨みが絶妙だ。旅の2日目にしてようやく出会えた北海道の海の幸。確かな幸福感に包まれながら、宗谷岬を目指す後半戦へ。

猿払は酪農も盛ん。さるふつまるごと館で販売されているさるふつ牛乳をいただいたが、低温殺菌なので、中の脂肪分が固まらないようよく振って飲むとびっくりするほどクリーミー!

猿払は酪農も盛ん。さるふつまるごと館で販売されているさるふつ牛乳をいただいたが、低温殺菌なので、中の脂肪分が固まらないようよく振って飲むとびっくりするほどクリーミー!

さるふつまるごと館

さるふつまるごと館の店内には活ホタテが! しっかり砂抜きされた生のホタテがいただける。活ホタテやお土産の購入も可能

さるふつまるごと館の店内には活ホタテが! しっかり砂抜きされた生のホタテがいただける。活ホタテやお土産の購入も可能

さるふつまるごと館の外観

さるふつまるごと館は観光客だけでなく、地元の方にも愛されているお店

道の駅さるふつ公園の駐車場は広く、キャブコンでも駐車しやすい

道の駅さるふつ公園の駐車場は広く、キャブコンでも駐車しやすい

さるふつまるごと館の店内には活ホタテが! しっかり砂抜きされた生のホタテがいただける。活ホタテやお土産の購入も可能

さるふつまるごと館は観光客だけでなく、地元の方にも愛されているお店

道の駅さるふつ公園の駐車場は広く、キャブコンでも駐車しやすい

〒098-6222 北海道宗谷郡猿払村浜鬼志別214−7 道の駅さるふつ公園 
TEL01635‐4‐7780
【営業時間】
4月〜11月:9:00〜17:30
12月〜3月:10:00〜17:30
【定休日】
5月〜11月 不定休
12月〜4月 毎週水曜日
さるふつまるごと館ウェブサイト

道の駅さるふつ公園内に、ほたて丼が人気の「さるふつまるごと館」が併設されている。また、キャンプ場やバンガロー、さらにはホテルも併設されているため、旅の宿泊地としても利用できて便利だ。

海岸沿いを進むと、宗谷方面には広大な自然が待っていた!1

海岸沿いを進むと、宗谷方面には広大な自然が待っていた!2

海岸沿いを進むと、宗谷方面には広大な自然が待っていた!3

猿払から宗谷岬までの道中。日本の最北端・宗谷岬はもう目と鼻の先!

新千歳から500km超。ついに日本最北端・宗谷岬へ!

宗谷岬碑

写真や雑誌で見た宗谷岬碑を前に、日本の最果てに到達した達成感に浸るが、キャブコンの快適さのおかげで、さして頑張っては……いない……

宗谷岬には多くの観光客やツーリングライダーが訪れていた

初夏の気持ちのよい北海道。宗谷岬には多くの観光客やツーリングライダーが訪れていた

写真や雑誌で見た宗谷岬碑を前に、日本の最果てに到達した達成感に浸るが、キャブコンの快適さのおかげで、さして頑張っては……いない……

初夏の気持ちのよい北海道。宗谷岬には多くの観光客やツーリングライダーが訪れていた

いよいよ今回の旅のハイライト、日本最北端・宗谷岬に到着。観光客やツーリングライダーが行き交い、思っていたよりにぎやか。
雑誌で見たあの宗谷岬碑を前に、「遠くまで来たな」と感慨深い。初夏の季節に宗谷岬を訪れるのは快適そのものだが、冬にはここで年越しキャンプをする猛者もいるらしい……。確か、スパイクタイヤのカブで、厳冬の宗谷岬を目指す記事を読んだことがあったような。冬に強いレンタルキャブコンでも、私は厳冬の北海道でそこまで攻められそうにない……。

宗谷岬周辺の町並みは平日のため穏やか1

宗谷岬周辺の町並みは平日のため穏やか2

宗谷岬周辺の町並みは平日のため穏やか3

宗谷岬周辺の町並みは平日のため穏やか4

最北端のガソリンスタンドなど、宗谷岬周辺の景色

真のクライマックスは「宗谷丘陵」と「白い道」

宗谷丘陵

日本とは思えない雄大な景色が広がる「宗谷丘陵」

宗谷岬に来たもうひとつの目的が、「宗谷丘陵」と「白い道」。ホタテの貝殻が敷き詰められた真っ白な未舗装路は、ツーリング愛好家にも人気のスポットだ。

写真では細く見える道幅に不安を感じ、まずは宗谷岬展望台内の観光案内所へ。話を聞くと、「白い道」は一方通行になっており、キャブコンでも問題ないとのこと。

そんなワケで、キャブコンを駆って宗谷丘陵へ。宗谷丘陵へは宗谷岬展望台横にある急坂を上らねばならなかったが、そこは3.0Lディーゼルターボ&フルタイム四駆が威力を発揮。スムーズに急坂を駆け上がってくれた。

急坂を上りきると、目の前に広がっていたのは、まるでポストカードのような美しい牧草地。思わず「ニュージーランドっぽい!」と叫びたくなる。でも、ニュージーランドの壮大な丘陵なんて見たことないがないので、あくまでも脳内イメージでの叫びである。

実際にはニュージーランドのほうが北海道の約3倍も広いという現実……。その事実を知った瞬間に感動が目減りする……わけもなく、むしろそんな雑念も吹き飛ぶほど、この宗谷丘陵のスケールは圧巻だった。ここまで来たという達成感と、最北端ならではの風景が、満足度をぐいぐい押し上げてくれた。

雑誌やウェブだと白い道のほうが取り扱い頻度が高く、宗谷丘陵はサブ的な扱いの印象を個人的に受けていたが、ここはまごうことなき主役級だった。

ちなみに白い道へのコースは、宗谷丘陵内に進行方向を示す看板がこれでもかっていうほど立てられているので、ルートを間違えることはまずないので安心。

白い道への道中は1本道1

白い道への道中は1本道2

白い道への道中は1本道3

白い道へ向かう途中の宗谷丘陵の景観。ここまでの道中、北海道の景色に飽きた方でも感動すること請け合い!

レンタルキャブコンで「白い道」に進入!

白い道

レンタルキャブコンで走り抜ける白い道は格別!

宗谷丘陵を抜けて白い道へ。実はエサヌカ線から猿払あたりの道すがらにもホタテの貝殻が敷かれた「プチ白い道」は点在していたが、本物はまるで別世界だった。スカッと晴れた空と真っ白な道。差し込む光に照らされた路面は、まばゆいほど。

ラストは海へと続く直線路。キャブコンの高いアイポイントから見下ろす絶景に、言葉を失う。

新千歳から走ってきた500km超の旅。快適なキャブコンの車内と、時に手強い風と、絶品のホタテ丼に刺激たっぷりの山わさびのおにぎり……。北海道の奥行きとスケールを、ちょっぴり体で感じる旅だった。

白い道はこまかく砕かれた貝殻のため、タイヤも真っ白になるほどだ1

白い道はこまかく砕かれた貝殻のため、タイヤも真っ白になるほどだ2

白い道はこまかく砕かれた貝殻のため、タイヤも真っ白になるほどだ3

白い道はこまかく砕かれた貝殻のため、タイヤも真っ白になるほどだ4

白い道をレンタルキャブコンで走った風景。白い道はこまかく砕かれた貝殻のため、タイヤも真っ白になるほどだ

到達証明書をもらうために稚内駅へ1

到達証明書をもらうために稚内駅へ2

到達証明書をもらうために稚内駅へ3

到達証明書をもらうために稚内駅へ4

宗谷岬から稚内駅まで走らせるとそこは最北端スポットのオンパレード。日本最北端のマクドナルドで小休止した後、日本最北端の稚内駅で、日本最北端到達証明書(日本本土四極最北端出発・訪問・到達証明書)をいただいた

利尻島を眺めて

2泊3日の北海道最北端を目指す旅。最北端の後にどうするか、あまり深く考えていなかったので、しばし、利尻島を眺めて呆けた頭をリフレッシュ

こうして2日目にして、当初の最大目標・宗谷岬に到達し、白い道も制覇し、胃袋も心も満たされた……が、まだ最終日が残っている! 利尻富士を眺めながら、利尻島に渡るわけにも行かず、3日目はレンタルキャブコンを返却するだけ? 新千歳への帰路で宗谷岬を超える感動を模索しつつ、北の大地の端っこで、最終章が静かに始まろうとしていた──のか?

レンタルキャブコン車中泊旅1日目の模様はこちら!

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