モデル=土屋怜果

恐怖! 「片手12時ハンドル」に潜む危険とは? 安全な運転姿勢はこちら!

片手12時ハンドルのデメリットと安全なドライビングポジションを解説
菰田 潔(モータージャーナリスト)

「スムースドライビング」について、動画でお伝えする運転レッスン。今回のテーマは「片手12時ハンドルの危険性について」。シートを倒し、ハンドルの上部のみを片手で持って操作する運転は、体をシートにもたせかけているため一見楽なように見えますが、長時間の運転では疲れやすく、運転にも支障が出るなど、さまざまな弊害があります。安全な運転姿勢で、快適なドライビングを目指しましょう。講師はモータージャーナリストの菰田潔さん、生徒は土屋怜果さんです。

シートを倒すと楽?
実は疲れやすく、危険もいっぱい!

土屋さんの友人がしていたという、片手でハンドルの12時の位置を持ち、ハンドルにぶら下がるようにのけぞってシートにもたれかかった姿勢での運転……。菰田さんからは「それでは安全運転に支障をきたします」と注意されてしまいました。安全な運転姿勢について、改めて学びましょう。

良くない運転姿勢を再現するモデル

片手12時ハンドルを実演する土屋さん。

危険な運転姿勢・安全な運転姿勢を動画で解説

不安定、緊急回避に支障…
「片手12時ハンドル」のデメリット

片手でハンドルの12時の位置を持つ運転では「ハンドルに力がきちんと伝わらない」「安定性が損なわれ、スムースな操作に支障がある」「緊急時の回避行動がとれない」など多くのデメリットがあります。さらに、衝突時にエアバッグが展開した際、エアバッグが腕に当たって大きなけがにつながる危険性も。また、腕が伸び切っていたり、ハンドルにぶら下がるように操作しているということは、シートの位置が正しくありません。その場合は腕に隠れてメーターが見えない、正しいシートベルトの効果が損なわれる……など、さらに多くの危険をはらんだ状態で運転していることになります。

腕で計器が隠れる様子

腕で計器が隠れてしまい、正確なスピード等が把握できません。

しっかり操作できる位置が大原則
安全な運転姿勢は動画をチェック

安全な運転姿勢は公開中の運転レッスン「『久しぶりの運転、できるかなぁ…』。走り出す前の基本を確認しよう!」で詳しく解説しています。ドライビングポジションのポイントは「ハンドル、ペダルがしっかり操作できること」。まずシートに深く腰掛け、シートバックに背中をつけた状態に。シートの前後は左足をフットレストに乗せて、強く踏ん張ってもひざが曲がっている状態に調整すると、ペダル操作の際に正しく力が伝わります。リクライニングは背中をシートにぐっと押し付け、ハンドルの12時の位置を片手で持ったときに肩がシートから離れず、肘が少し曲がった状態がベストです。この状態で、ハンドルの9時と3時の位置を前に押すように持ち、切るときは押し上げるように操作します。

正しい姿勢をレクチャーする様子

普段、腕を伸ばした運転姿勢に慣れている方には、窮屈に感じるかもしれませんが、それもすぐに慣れるでしょう。ハンドルと体が近い適性なドライビングポジションでハンドルを回してみると、丁寧で細かい操作がしやすくなるのがわかると思います。加えて、手を持ち替えずに深くハンドルを切ることができるので、余計なハンドル操作が減って車体の挙動が安定したり、両手で握ったハンドルを通じて路面の状態やタイヤの接地感覚を知る「ステアリング・インフォメーション」を読み取れるなど、多くのメリットを体感できるはずです。

  • この企画で紹介しているのは、菰田潔さんの運転メソッドです。JAFの見解とは異なる場合があります。

JAFでは、交通安全とエコドライブの普及・啓発のためにさまざまな講習会を行っています。また、ウェブを活用した交通安全トレーニングや調査・実験データなど情報を提供しています。ぜひご覧ください。

菰田 潔

こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。

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