クルマ酔い対策をする人のイラスト
監修=坂田英明 / 文=釼持陽子 / イラスト=平松 慶

医師直伝。車酔いを防ぐ10の対策! 朝食・酔い止め・座る位置…乗り物酔いしないコツまとめ

車酔いは治せる! もう酔わないための方法を医師が伝授
坂田英明

耳や目、体などから受ける刺激から脳が混乱して起こる車酔い。耳鼻科専門医の坂田先生が、車酔いを予防する10の方法を教えます。最新の研究結果を踏まえた車酔い対策と気持ち悪くなってしまった後でもできる対策まで、乗り物酔いに悩む人に役立つ情報をまとめました。

車酔いについて教えてくれたのは
耳鼻科専門医の坂田英明先生

坂田英明医師

さかた・ひであき 川越耳科学クリニック院長。埼玉医科大学客員教授。小児から高齢者までのめまい・耳鳴り・難聴に徹底的に挑む耳鼻科専門医。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会専門医。埼玉県立小児医療センター副部長、目白大学保健医療学部教授を経て、2015年より現職。著書に『乗り物酔い撃墜ブック』(マキノ出版)、『フワフワするめまいを治す最強の食事術』(徳間書店)など多数。
川越耳科学クリニック

医師が教える車酔いを防ぐ10の対策

【1. 前日】前日は睡眠を十分に取り自律神経を整える

自律神経には、活動モードのときに働く「交感神経」と、リラックスしているときに働く「副交感神経」があります。よく眠れず睡眠不足のまま出かけると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、吐き気やめまい、おう吐など、車酔いの症状があらわれやすくなります。前日は早めに就寝して、十分な睡眠を取ると体調が安定します。

【2. 乗車前】空腹でも満腹でもダメ。朝食は軽めに

「吐くかもしれない」と思うと朝食を控えたくなりますが、空腹すぎても満腹すぎても車酔いにはよくありません。酔わないためには、自律神経をバランスよく働かせることが大事。そのために、朝食は軽めに取りましょう。長時間の移動で、目的地に着くまでに途中で昼食をとる際も、食べ過ぎないように注意。

【3. 乗車前】酔い止めはクルマに乗る1時間前に飲む

酔い止めは、酔う前に飲むこと。乗車1時間前に飲んでおくのがベストタイミングです。市販の酔い止めに多いのが、吐き気やめまいを抑える効果のある抗ヒスタミン薬。車酔いは、「クルマに乗ったらまた酔うかも」という心理的な要因も大きく関係しています。酔い止めを服用すると、薬の効き目だけでなく、「飲んだから大丈夫」という安心感も得られます。

酔い止め薬を飲む人

【4. 乗車前】ゆったりした服装で出かける

クルマに乗るときは、おなかを圧迫するようなきつい服装を避けて、ゆったりとした服装を選びます。過緊張状態は、車酔いを誘発します。乗車中はいかにリラックスできるかがポイントです。ベルトやネクタイは外し、タイトすぎるボトムはやめてワンピースなどの締め付けのない服ででかけましょう。クルマの中では、靴や靴下を脱いでもOK。

【5. 乗車前】「酔わない! 」と自分に暗示をかける

乗り物が苦手な人ほど、過去の車酔いの経験を思い出してしまいがち。すると、記憶に引きずられるように体調が悪くなることがあります。クルマに乗る前に、「私は酔わない!」と自己暗示をかけましょう。家族などの周りの人も「酔わないようにね」「具合が悪くなったら言ってね」なとど、乗る前から酔うことを前提とした忠告をしないことも大事。

【6. 乗車中】酔いにくいのは助手席

車酔いは、「自らの運転=能動的な動き」だと酔いづらく、「他人の運転=自分の意思ではなく他から与えられた受動的な動き」だと酔いやすくなります。そのため運転手になるのが一番いいのですが、難しい場合は、運転手と同じ視点でクルマの動きが見える助手席に乗車を。後部座席に乗るときは、同乗者とおしゃべりすると気が紛れて酔いづらくなります。

【7. 乗車中】運転手以外の大人なら少量のアルコールを飲む

運転手以外に限った方法ですが、大人なら少量のお酒を飲むことで、緊張がとれてリラックスできます。アルコールの作用で、外から受ける刺激にほどよく鈍感になるので、車酔いしにくくなります。飲んで眠くなったら、そのまま寝てしまえば、不安な移動時間が短くなって一石二鳥です。ただし、飲み過ぎは厳禁。

※酔い止めの薬とお酒は一緒に飲んではいけません。

【8. 乗車中】ガムを噛んで唾液を分泌する

緊張すると、口が乾いて交感神経が優位に。すると生つばが出てきたり、おう吐反射が起こりやすくなります。リラックス効果が高く手軽なのがガムを噛むこと。ガムは唾液の分泌を促して口の中を潤わせ、副交感神経を優位にさせます。ガムが苦手な子供は、気持ちが落ち着くお気に入りのお菓子でもOKです。

【9. 乗車中】スマホの使用はNG! 酔いを誘発

クルマの揺れ、スピードを感じる状態のまま手元でスマホを見ると、文字や画面がちらつき、酔いを助長します。スマホは現代人にとって必需品となりましたが、車酔いしやすい人にとって、乗車時の操作は最悪。窓の外を眺めるなど、スマホから離れてリラックスを。クルマに乗っているときの読書やパソコンの操作も同様です。

【10. 乗車中】頭を動かさずに進行方向を見る

耳の「三半規管(さんはんきかん)」にはリンパ液が入っていて、頭の揺れが大きいと過剰に刺激され車酔いを引き起こします。リンパ液の不規則な乱れを防ぐために、クルマの中ではあごをひいて極力頭を動かさず、窓から遠くの景色を眺めるのがポイント。座席シートを倒すなど、自分がリラックスしやすい姿勢で過ごしましょう。

車窓を眺める人

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