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慣れないレンタカーはここに注意! 車種別、事故の傾向と対策

レンタカーの安全な乗り方【後編】

2022.06.24

イラスト=若林 夏 取材協力=(一社)全国レンタカー協会、日産レンタカー

2022.06.24

イラスト=若林 夏 取材協力=(一社)全国レンタカー協会、日産レンタカー

レジャーでもビジネスでもシーンに応じて便利に使えるレンタカー。車を選べる楽しみもあり、最近ではマイカーのある・なしにかかわらず、“密”を避けた手軽な移動手段として注目を集めています。気軽に使えることで運転初心者にも人気のレンタカーですが、どの車を選ぶかによって、走り方の特徴も異なってくるため、「普段からマイカーに乗っているから」「何度か行ったことのある場所だから」などと思っても油断は禁物。そんなレンタカーを運転するときの注意点を、前・後編にわたりご紹介しているこの企画。後編では、レンタカー会社に聞いた車種別の注意点をお伝えします。

レンタカー会社に聞く、車種別の注意点

実はレンタカーの事故では、コンパクトカーやミニバンなど、車種によってそれぞれ傾向があるとのこと。後編では、そうしたレンタカーの車種別の注意点について、日産レンタカーに話を聞きました。それぞれの対策については、モータージャーナリストの菰田潔(こもだ きよし)さんのアドバイスもご紹介します。

コンパクトカー

コンパクトカーのイラスト

小回りのきくコンパクトカーですが、実は駐車場内でのバックや出庫の際、縁石やポールなどの障害物に接触する事故が多く発生しています。

菰田さんアドバイス

コンパクトカーといっても、最近のものは昔と比べてかなり大きくなっています。またボディが丸くなっていて、車両感覚がつかみにくい車もあるので、小さいからと油断せずに慎重に運転することが大事です。特に駐車の際は、ミラーやバックモニター、目視での確認を怠らないようにしましょう。

セダン

セダンのイラスト

セダンは車幅が広いので、狭い道路でのすれ違いや細い道で右左折をする際に、壁や対向車と接触する事故が多いです。

菰田さんアドバイス

セダンは背は低いですが、居住性や衝突安全性を確保するために全幅が広くなっています。たとえば通常のタクシーは幅が1.7m以下ですが、最近のセダンは1.8mを超える車も珍しくはありません。すれ違いや右左折時にはスピードをしっかりと落として運転することが、こすらない・ぶつけないコツです。

ミニバン

ミニバンのイラスト

初心者にも人気のミニバンでは、バックと右左折の際に死角にある障害物と接触する事故が起きやすいです。

菰田さんアドバイス

ミニバンはドライバーのアイポイントが高いので視界が良いと思われがちですが、意外と車体が大きいので、実はその分死角も多くなります。目視では確認しきれないので、左右のミラーとカメラで映し出されたモニター画面も有効に使って安全を確認しましょう。

SUV

SUVのイラスト

4WDのSUVは雪道や悪路での利用が多いため、「4WDだから大丈夫」と油断することで、スリップや側溝に脱輪するといった事故が起きやすいです。

菰田さんアドバイス

冬道でスリップしたり、脱輪したりしてしまうのは、4WDだとアクセルペダルを踏んだときに簡単に加速するからです。その威力で2WDのように滑ることなく発進できますが、止まるときには2WDと同じブレーキしか利きません。しかもSUVはボディが大きく重量があり、慣性力が大きくなってしまうので、運転に慣れないうちに無理をするとカーブで曲がり切れずにはみ出し、かつブレーキの制動距離が長いため、障害物にもぶつかってしまいがちです。発進が楽だからといって止まる性能まで過信してはいけません。これは雪や雨で路面が濡れていないときも同じですので注意しましょう。

1BOX、トラック

トラックのイラスト

1BOX、トラックは車高が高いので、看板や屋根などに接触する事故が多く発生しています。バック時に気づかないまま障害物に接触したり巻き込んだりと、安全確認不足による事故も多いです。

菰田さんアドバイス

最近のレンタカーにはパネルトラックもあり、ほろ(風雨や砂ぼこりなどを防ぐために車両などを覆うための防水布)を掛けなくても雨に濡れずに運べるので便利です。しかしパネルの上端は他の車種よりはるかに高いので、道路脇の樹木や標識、看板などにも注意を払わなくてはなりません。高さ制限がある駐車場も多いので、自分が運転している車の全高が何mなのか、しっかり把握しましょう。また車高が高い分、橋の上やトンネルを出たところや大型車を追い抜いた直後には、横風に吹かれて不安定になることもあるので、スピードには注意が必要です。

レンタカーの保険・補償の範囲も確認しよう

このほか、車種によっては自動ブレーキなどの先進安全装置が搭載された車もあるので、レンタカー選びの参考にしてみてください。加えて、レンタカーを借りる際には保険や補償の範囲をしっかりと確認しましょう。多くの一般的なレンタカー会社では、レンタカー料金に含まれる基本的な対人・対物補償のほかに、追加料金を払うことで自己負担分の金額が免除されたり、事故に伴うレンタカーの休業補償が免除されたりといった補償内容の拡大が可能です。借り受け時に免許証を提出するなど運転者登録をしていないと補償の対象外になる場合もあるので、あらかじめ運転を交代する可能性なども考えておきましょう。

知っておくと便利!最新レンタカー事情

スマホひとつでレンタル可能なサービスが登場

スマートフォンアプリを使えば、出発・返却の手続きや精算をスマートフォン上で完結。店頭での手続きがなくてもレンタカーに乗ることができます。解錠・施錠もスマートフォンでOK。

片道限定格安プラン

レンタカーを片道だけ利用する場合、通常なら利用料金に加えて乗り捨て料金がかかって割高になることが多いですが、出発・到着店舗と日付が指定される代わりに、料金が格安になるプランもあります。

短時間レンタル

これまでレンタカーは最低6時間~12時間、24時間といった単位で料金が設定されているケースが多かったですが、最近では3時間だけ格安にレンタルできるプランや、カーシェアなどで短時間利用することもできます。

新たなサービスが次々と登場するレンタカーサービスの便利さは高まるばかり。最近では輸入車や高級車のレンタカーも登場するなど、さらに利用機会が広がっています。こうした多種多様なレンタカーを使って安全で楽しくドライブをするために、今回の記事をぜひ活用してください。

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