運転中のヒヤリハット

想定外がペダルの踏み間違いを呼ぶ

「危なかった!」を事故防止に生かす
2022.11.09

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

2022.11.09

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

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1年点検を受けると、だれにでもチャンス

突発的なことやミスにヒヤリとしたり、ハッとする心理が「ヒヤリハット」。一件の交通事故の裏には数多くのヒヤリハットがあるとされ、そんなヒヤリハットを認識・共有しておくことが、事故防止には大切だ。このコラムでは、交通安全に詳しい専門家が自身の経験や事故事例からヒヤリハットを紹介。安全運転に役立ててほしい。

「安全」と思いバックしたら…

コンビニの駐車場を出る際にハッとする場面があった。前向き駐車をしていたが、右隣には瓦礫(がれき)を積んだ小型トラックが停まっていた。自分の車を出すためにエンジンをかけて、後方の様子をうかがう、何も危険はない。

隣のトラックは、エンジンをかけたままドライバーが車内でゆっくり休憩中だった。遮るものは何もなく、安全だと思いバックを始めると、トラック運転手の仲間が店から出て来ていたらしく、こちらの車の後ろに回り込んでいた。

まだゆっくりとしたスピードだったので、しっかりブレーキを踏めたが、正直、驚き、慌てた。この作業者はトラックの積み荷を気にしての回り込みだったようだ。

コンビニの駐車場などでは出入りする人や自転車、車が多く、思わぬ動きをすることもある。油断ならないといつも注意しているつもりながら、このようなヒヤリが起こる。駐車場を出るまで、超ゆっくりスピードの厳守が必須だ。

交通事故総合分析センターが発行する『イタルダインフォメーションNo.139』にペダルの踏み間違い事故に関する詳細データが紹介されていた。車両単独、車両相互の事故と比べると人対車の事故ではバック時の死傷事故比率が増える傾向があるとのことだ。

つまりは、バック時は思わぬ人の出現に驚き、ペダルの踏み間違いを起こしやすく、結果、人を傷つける事故になる確率が上がるということ。バックでの発進時には、常に胸に刻んでおきたい。

イタルダインフォメーションNo.139
『ペダル踏み間違いによる事故 ~事故統計分析から多重衝突の実相に迫る~』

指をさす男性

バック時は極低速と安全の再確認を!

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