“凍る轍”でハンドルが取られる! 雪道運転の危険
「危なかった!」を事故防止に生かす交通安全に詳しい専門家が自身の経験や事故事例からヒヤリハットを紹介する、このコラム。今回は、雪道でのすれ違い時、凍った轍(わだち)でハンドルを取られてヒヤッとした話。たとえ速度を抑えていても、轍の凸凹で車の進路が乱される危険があることを知っておき、慌てずに対応したい。
トラックとのすれ違い時、前輪が滑る!
慣れない雪国での夕暮れどき、雪と氷がまだらに現れる直線路を慎重に走っていた。タイヤはもちろんスタッドレスタイヤだ。この道、両側に側溝があり、そちらにタイヤが流されそうな気がして、対向車がいないときはどうしても中央寄りを走ってしまう。
前方からこちらに向かってくる大型トラックが遠くに見える。少し左に寄せ気味に走らないと、すれ違いができないかと思い、ハンドルをゆっくりと左に切る。その瞬間、何か氷の山のようなものに乗り上げた感じがあり、ツルっと前輪が滑り出した。
まずい! もうハンドルが利かない。さほどスピードは出ていないのだが、いったん滑り出してしまうと、ABSや横滑り防止装置 (ESC)も万能ではなく、コントロールが難しい。このとき、「ハンドルを慌てて回し過ぎず、ブレーキ力が回復するまで待つしかない」とのアドバイスを思い出し、じっと耐える。
ほんの1、2秒だったと思うが、運よく側溝に落ちることなく、車は止まってくれた。氷の山の正体は轍の両側にできた凍りついた雪の塊(かたまり)だった。日の当たる昼はシャーベット状で、滑ることもないが、夕刻の急速な温度低下で、凍っていたらしい。雪道の運転では、“急ブレーキ、急加速、急ハンドルは禁物”とは雪国のドライバーならずとも耳タコの話ながら、この言葉だけでは伝わらない「雪道運転の難しさ」を思い知った。
雪道の路面状態の違いによるノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの制動距離の比較テストをJAFが行っている。雪道に関する情報のアップデートのためにも見てほしい。雪道でのノーマルタイヤの無力さを実感できる。
- 今回のワンポイント
雪道では、進路を乱す轍の存在にも注意!
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