賢いギア選びと収納テクニックキービジュアル
文=霜田奈緒(ライトキャンパースタイル編集長)/ 構成=ダズ

荷物はできるだけコンパクトにしたい! 賢いギア選びと収納テクニック

車中泊の基本から応用テク、マナー・ルールまで、最小限の準備で始める手軽なクルマ旅をレクチャー

長く続いた暑い季節が終わり、車中泊やキャンプのベストシーズンがやってきました。今回は車中泊に持っていく荷物をできるだけコンパクトに収めるためのテクニックを紹介します。指南役は車中泊の専門家であるライトキャンパースタイル編集長の霜田奈緒さんです。

目次

必要なギアはコンパクトに、収納は用途別に

収納スペース

車中泊旅は、着替えやタオルなど旅の必需品に加えて、就寝するための道具、車内で使う照明器具、テーブル、場合によっては調理器具やポータブル電源など、多くのアイテムが必要になります。車種によっては荷物でいっぱいになってしまうこともあり、それら荷物を車内に積んだ状態で十分な就寝スペースを確保するのは、結構難しいのです。

オートキャンプ場で車中泊する場合は、荷物を外に出して就寝スペースを確保することができますが、車中泊用の駐車場では、そうはいきません。また、自由に動きにくい車内で荷物を移動させたりするのはかなりの手間がかかります。ちゃんと整頓していないと、パズルのように右から左へと荷物を入れ替えるような無駄な作業に追われることも……。必要なものがどこにあるのか、わかりやすく、取り出しやすく、また使用するタイミング別に整理しておきましょう。

そこで必要なのが、大きく分けて2つの事前準備です。

車中泊向きの賢い「ギア選び」

1つ目の事前準備は「ギア選び」です。車中泊は、通常の旅とは違って、車内で快適に過ごす・就寝するためのギアも必要となります。ほとんどはキャンプで使えるギアとなりますが、車中泊で使用するギアは、未使用時にできる限りコンパクトになり軽量なものを選ぶのがポイントです。

たとえば寝袋。寝袋は内包する素材が化学繊維かダウンかによって特徴が異なりますが、車中泊向きなのは、ダウンを使ったものです。ダウンは、軽量で収納時のサイズがとてもコンパクトにまとまります。化学繊維に比べると高価なものが多いですが、収納サイズにかなりの違いが出るので、ここは奮発して良いモノを購入しておくことをおすすめします。
それ以外にも、枕はエアを入れて膨らませるタイプに、テーブルは平板を使った組み立て式に、LEDランタンは小さくても光が広がるタイプにと、使用時の利便性に加え、収納時の容量を考えてギア選びをすると、かなりコンパクトにまとめることができます。

何だか荷物が多いなぁと思っている人は、一度自分が使っているギアを見直してみることも必要です。

化学繊維のシュラフとダウンシュラフ

右が化学繊維のシュラフ、左がダウンのシュラフ。収納時の大きさはダウンシュラフのほうが1/3程度の大きさです。メーカーやダウン量などによっても変わりますが、おおむねこのくらいの違いがあります

ミニテーブル

車内の限られたスペースでテーブルを使いたい場合は、平板を組み合わせてテーブルになるタイプがおすすめです。収納時は写真左上のように外した板を重ねて袋に入れるだけなので、まったくかさばりません

キャンプマット

就寝スペースの段差を解消するためのキャンプマットは、折りたたみ式が便利です。収納作業が簡単な上に、コンパクト。2つ以上必要な場合は、同じ製品で揃えると収納しやすくなります

エアマット

エアを入れて膨らますタイプのキャンプマットは、より快適な寝床を作るためには必要ですが、エアを抜いてくるくると丸めても意外とスペースを取ります。どうしても必要な場合は、しっかりとエアを抜き切ってから収納しましょう

キャンプ用枕

キャンプ用枕はエアタイプとクッションタイプがありますが、収納時の容量は、エアタイプのほうがややコンパクトです。ですが、あまり大きな差ではないので、クッションタイプのほうが好きという方はあえてエアタイプを選ぶ必要はないでしょう

LEDランタン

クルマのルームランプを付けっぱなしにすることはできないので、LEDランタンも必須ですが、車内で使う程度なので、外で使うような光量が大きなものは必要ありません。十分な明るさで光が広がるもの、省スペースをポイントに選びましょう

ポータブル電源とクーラーボックス

ポータブル電源やクーラーボックスは便利ですが、かなりのスペースを必要とします。旅の期間と必要なシチュエーションを想像して、必要十分な容量のものを用意しましょう。クーラーボックスは未使用時にたためるソフトケースも便利です

車内装備を活用すれば、その分荷物は減らせる!

最近のクルマは車内装備が充実していて、車中泊の際に便利なものもあります。それらを活用すれば車内に持ち込む荷物を減らすことができ、準備も楽になります。

たとえば後席ガラスに備わるサンシェード。車中泊用カーテンや後付けサンシェードもありますが、純正装備で足りるなら無理に用意する必要はありません。他にも車内で食事をしないなら、テーブルは要らないでしょう。後席用のドリンクホルダーがあれば、ドリンクやスマホなどを置いておくことができます。

純正のサンシェード

ミニバンや軽のハイトワゴンに多い後席用サンシェードは、車中泊にも便利です。窓にぴったりとはまるタイプではないですが、隙間が気にならないならこれで十分です

後席用ドリンクホルダー

クルマによって異なるので一概には言えませんが、後席用ドリンクホルダーは実はかなり便利です。ドリンクはもちろんスマホやLEDランタンの置き場としても使えます。

車中泊ギアは用途別に収納ボックスを活用

2つ目の事前準備は「収納ボックスの活用」です。車中泊旅に必要なものは、用途や使うタイミング別でいくつかにグループ分けして収納することをおすすめします。

たとえば、寝具(寝袋、枕、キャンプマット)、調理器具(皿、コップ、カトラリー、クッカー)、その他小物(テーブル、LEDランタン、カーテン)、旅の必需品(着替え、タオル、歯ブラシなど)といった具合です。これらのグループ別にボックスを用意して収納しておけば、そのボックス内にあるものは、すべて同じタイミングで必要となるため、効率良く出し入れができるというわけです。

ここでポイントとなるのが、収納ボックスの大きさや種類です。カー用品店やキャンプ用品店、ホームセンターに行くと、さまざまな収納ボックスが販売されています。購入する前に、置き場所のサイズと収納する荷物の容量を把握しておきましょう。必要以上に大きなボックスは、就寝スペースを圧迫してしまいます。グループ分けした荷物にぴったりなボックスを用意しましょう。

収納ボックスの種類は、樹脂製、アルミ製、布製がありますが、どれを使っても基本的に違いはありません。ですが、就寝時に収納ボックス内が空になる寝具やその他小物を入れるボックスは、折りたためるものにしておくと、限りある車内スペースをより有効に使えます。

着替えやタオルは、掃除機を必要としない圧縮袋に入れ、普段の旅行カバンなどに入れておくと便利です。とくに着替えは1日分ずつに上下一式を入れておけば、服を選ぶ際の手間も省けます。

さまざまなサイズの収納ボックス

収納ボックスはさまざまな種類やサイズがあります。できるだけ同じシリーズで揃えるとスタッキングができるなど、利便性が上がります

樹脂製の収納ボックス

最も種類が多くリーズナブルなのは樹脂製の収納ボックスです。奥行きや幅だけではなく高さも含めてボックスの大きさを選びましょう

カラトリーなどの収納

写真はお皿やクッカー、カトラリーなど調理関連の道具をまとめた状態です。用途別にまとめておけば、どの収納ボックスに入れたかな? と迷うこともありません

折りたためる収納ボックス

寝具など、就寝スペースを作る際に収納ボックス内が空になる場合は、折りたためるものを使えば、空箱にスペースを取られることもありません

圧縮袋に着替えを収納

冬場はとくに着替え類もかさばる荷物のひとつです。掃除機を使わずに圧縮できる袋に1日分の着替えをまとめておくと便利です

車内の空きスペースを有効活用して賢く収納

室内高が高いクルマのルーフやミニバンの3列目シート下など、ちょっとした空きスペースも荷物置き場として有効活用すれば、就寝スペースを犠牲にすることなく、快適な車中泊空間を作れます。旅に出掛ける前や収納ボックスを購入する前に、就寝時のレイアウトを作ってみて、どこに空きスペースがあるかを検討してみましょう。意外なシンデレラフィットに快感を得られるかもしれませんよ。

ルーフラック

室内の高さに余裕があるミニバンや軽ハイトワゴンは、オプションとして車内のルーフラックが設定されているクルマもあります。車内でくつろぐ際によく使うものなどは、こういった収納も便利です

ミニバン3列目シート下に収納

ミニバンでの車中泊は、3列目までリクライニングすることが多いですが、シート下のスペースは長尺物を入れられたりと意外と便利です。しかし、荷物が取り出しにくいので、頻繁に使わないものを入れておきましょう

今回は、車内のスペースを効率良く使うためのギア選びと収納方法をご紹介しました。一番大切なのは旅に出掛ける前にすべて準備をしておくことです。旅の最中に荷物を整理し直したり、あの道具どこに入れたっけ? というような無駄な時間は使いたくないですよね。愛車のサイズと自分の車中泊スタイルに合った収納方法を見つけて、ストレスのない車中泊をエンジョイしましょう!

霜田奈緒

しもだ・なお 2001年から、月刊誌を中心に、300冊以上の編集に携わってきた自動車専門誌の編集者。子供の頃から車好きで、親が乗っていたボルボ240の音を聞き分け、親の帰宅を察知し勉強を始めていた。好物はジャンル・時代問わずの車のカスタム・チューニング。近年はキャンプにハマり、愛車もアウトドア仕様。ギャラン、レグナム、GTO、アストロ、ボルボC70、トゥーラン、XC70と、とりとめのない愛車遍歴。

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