ポップアップルーフ付き車中泊カー
写真・文=大森弘恵

日常使いOKでゆとりのある車中泊カーに早変わり! 車中泊好きライターが選んだ最新ポップアップルーフ付き車5選

フェーズフリーにも対応! 荷物を載せたまま楽々就寝準備ができるポップアップルーフ

テントの設営や撤収がなく、キャンプよりゆとりが生まれる車中泊カー。クルマの屋根が持ち上がるポップアップルーフ付きなら、大切なギアを車内に積んだまま眠る準備ができます。
7月20−21日、東京・有明「東京ビッグサイト」で開催された「東京キャンピングカーショー2024」で日常的にも使いやすいポップアップルーフ付き車中泊カーを、キャンプ・車中泊好きのライター・大森弘恵さんがピックアップしてくれました。

目次

車中泊も日常的にも使いたい…だったらポップアップはいかが?

ポップアップルーフ

ポップアップルーフ車内

日本RV協会の発表によると、2023年度の国内キャンピングカー販売売り上げ総額は1054.5億円、累積保有台数も155000台と過去最高を記録したそうです。
売り上げ額、生産台数の内訳を見ると、2023年度に大躍進したのが8ナンバー以外の車中泊カー。
もともと扱いやすい8ナンバーのバンコン(※)がトップを独走してきたのですが、2023年度には車中泊カーがバンコンに肉薄したのですから。
※バンをベースにしたキャンピングカー(バンコンバージョン)

8ナンバーのバンコンと車中泊カーの違いですが、ベース車は同じでもバンコンは決められた人数が寝られるベッドのほか水道やコンロを備え、調理台の高さによって室内高も定められています。
一方、車中泊カーは車内で眠るためのクルマ。
水道やコンロを備えているモデルもありますが、広々としたベッドをもつのが特徴で、水回りの装備がない(またはコンパクトな)分、荷室を広く確保できて日常的にも使いやすいモデルが主流です。
つまり、ときどき車中泊を楽しみたいライトユーザーにぴったり。備えない防災「フェーズフリー」にも対応します。

なかでもポップアップルーフ付きなら、ソロやデュオであれば大切な荷物を車内に保管したまま屋根を持ち上げて就寝スペースを作れます。それに車内も就寝スペースにするならば、ハイエースよりもコンパクトな車両であっても家族みんながのびのび眠れると注目されているのです。

日産のバッテリー技術を応用したセレナ車中泊カー

セレナP-SV

ピーズフィールドクラフト「日産・セレナ P-SV」

日産の新型車をキャンピングカーに仕上げる日産ピーズフィールドクラフトでは、キャラバンはもちろん家族にちょうどいい大きさの「セレナ P-SV」を用意しています。
キッチンなどの水回りがなく、車中泊カーとしての装備は必要最小ですがこの潔さはかえって日常使いしやすい! それにゆったり眠れるのに屋根を閉じれば2WDモデルなら走行時の全高1980mm、4WDでも全高2005mmと都市部での駐車場探しがかなり楽。

セレナ車内

屋根の上に後付するルーフトップテントに似ていますが、ポップアップルーフは車内から行き来OK

写真のアンダーベッド(オプション)を取り付け、家族が上下に分かれて寝てもコミュニケーションを取れます。何よりも雨の日も安全にアクセスできるし、高さが生まれる分だけ開放感あり。立ち上がって着替えられるほどです。

セレナのバッテリー

後部にFFヒーターとサブバッテリー(ともにオプション)を取り付ければスキー場での仮眠も苦になりません

セレナのバックドア窓

セレナはバックドアの窓ガラスのみ開閉OK。すぐ後ろに立木が迫るキャンプサイトや狭いスーパーの駐車場で重宝します

セレナの電圧計、ソケット

3列目シートの脇にオプションの電圧計や2連ソケット、コンセントなどがまとめられています。スマホの充電、電気毛布や扇風機の利用はこちらから

悪路走行も可能な三菱・デリカで快眠を提供

デリカD:5 Camper Edition

ケイワークス「デリカD:5 Camper Edition」

釣りやスキーなどアクティブに楽しむ人にぴったりなのが、唯一無二の走破性を誇る三菱・デリカD:5ベースの車中泊カー。
ノーマルルーフの設定もありますが、ポップアップルーフを選べばこだわりぬいたアクティビティのギアを積載したまま休憩できます。

デリカのポップアップルーフ

大人2人が眠れる広さ。車内はハイエースほど広くないのでデリカD:5 用のポップアップルーフは後開きのみ。バックドアにラダーを搭載し、車内を通ることなく出入りすることを想定しています

デリカ車内

車内のベッドスペース。2列目はオリジナルREVOシートで後ろ向きにセットでき、家族や仲間と集まるときはコの字型リビングにもなります

デリカのクーラー

右側にはDC12Vクーラーを設置OK。ペットとの車中泊を予定しているなら、クーラーだけでなくFFヒーターもセレクトしたいところ(いずれもオプション)

デリカのスイッチ類

左側にまとめられているのはコンセントや12Vソケット、USBポート。もちろん、インバーター(1500W)とサブバッテリーも装備されています

料理好きなら引き出し式ギャレーも魅力

リフターキャンパー

ホワイトハウスキャンパー「リフターキャンパー」

ポップアップルーフ搭載の車中泊カーは、コンパクトなボディでもゆったり眠れるのが自慢。でも、なかには炊事装備だって譲れないという人もいるでしょう。
それならプジョーのリフター7人乗りをベースとした「リフターキャンパー」はいかが?

リフターのアウトギャレー

スペシャルオプションのスライド式アウトギャレー。引き出すだけでフラットバーナーやシンクを備えた調理台をセットできるし、そのままアウトドアランチをするもよし

リフターのベッドキット

後部にたたまれているベッドキットを広げて大人2名分のベッドに。ベッドキットを積載していても5名乗車できます

エレベーティングは開放感がハンパない

ケイワークス「ラギッドバン」

ケイワークス「ラギッドバン」

片側を持ち上げるポップアップルーフは楽に高く持ち上げられますが、就寝時の頭の向きを変えられない問題が! キャンプサイトの形とオーニングの向きによっては、微妙に足が上がって斜めになっても駐車位置を変えられず、なんだか落ち着かないなんてことも。
「ラギッドバン」がオプションで用意したエレベーティングルーフであれば、片側を持ち上げるタイプに比べて全体は低いけれど、就寝時にどちらを頭にしてもいいんです。このフレキシブルさは何物にも代えられない魅力。それに「ラギッドバン」には縞鋼板や外まで伸ばせるシャワーなどアクティブ派にうれしい装備が盛りだくさんです。

ラギッドバンのエレベーティングルーフ

片側を上げるのではなく、全体に水平に持ち上げるエレベーティングルーフを採用

ラギッドバンの車内

全体的に天井が高くなるので開放感を得られます

ラギッドバンの縞鋼板

オプションの縞鋼板を貼れば、濡れた遊び道具や泥に汚れたブーツの置き場所を確保できます。このラフさがかっこいいんです

ラギッドバンの車内後部

対面ではないけれどL型リビングで4人がくつろげます。ベンチシートを跳ね上げるだけで自転車も入る大型ラゲッジにも。右側には小さいながらシンクがあり、シャワーを引き出して車外で洗い物ができるのでアクティブ派も満足

発売が待ち遠しい! 5ドアジムニー用電動ポップアップルーフ

ポップアップルーフを搭載したジムニー

ホワイトハウス「ジムニーシエラ5ドアモデル専用ポップアップルーフ」

「東京キャンピングカーショー2024」では、ポップアップルーフのパイオニア、ホワイトハウスが日本未発売のジムニーシエラ5ドアモデル専用の電動ポップアップルーフを発表しました。
5ドアなら屋根が約40cm伸びるので屋根上での就寝が可能となるそうです。

ジムニーのポップアップルーフ内

テント内は長さ186cm、幅102cmで大人ふたりが就寝可能。※参考展示のため発売時は仕様変更の場合あり

ジムニーシエラ5ドアモデルの場合、シートをたたんでも段差が生まれるので車中泊をしようにも工夫が必要なのですが、専用ポップアップルーフを搭載すればこの不満を解決できるというわけ。ホワイトハウスによると、ジムニーシエラ5ドアモデルが国内で発売されればすぐにでも発売開始するとのこと。楽しみです。

ジムニーのポップアップルーフ

電動なので、他のことをしながらポップアップルーフが開閉します。※参考展示のため発売時は仕様変更の場合あり

最新ポップアップルーフ付き車5選いかがでしたでしょうか?
遮音性や保温性、防水性は車内就寝に軍配が上がるのですが、防水カバーや防寒インナーの設定があればある程度対策できます。網戸にしても中をのぞかれにくいし、ポップアップすると効率よく車内を換気できることもメリット。決してイイことばかりではありませんが、手軽に居住スペースを広げられるポップアップルーフはバンや軽での車中泊を助けてくれる魅惑の装備です。

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

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