リチウムイオン電池の発火事故が急増中!? |自動車交通トピックス
文=萩原文博

夏の車内温度は70℃超えのため車内放置NG! リチウムイオン電池の発火事故が急増中

群馬県で41.8℃を記録した2025年の猛暑、スマホやモバイルバッテリーの発火事故に注意!?

2025年の日本の夏は、国内の最高気温更新が何度も起きる記録的な暑さが続いている。外気温が高くなると、高速道路のSA・PAで休憩する短時間でも車内の温度は上昇する。スマートフォンやモバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池搭載製品による事故も増える季節なので注意が必要だ。

目次

クルマから離れる際はリチウムイオン電池搭載品を車内に放置しない!

群馬県伊勢崎市で41.8℃を記録(2025年8月5日)し、国内の最高気温を一週間で塗り替えるほど災害的な暑さが続いている。気温が高くなるのに比例して、車内の温度の上昇するスピードも早くなり熱中症などに注意が必要だ。

JAFが行ったテストでは、気温35℃の真夏の12時から4時間炎天下に駐車し車内温度を測定すると、車内の最高温度は52~57℃まで高くなり、最も熱くなるダッシュボードの最高温度は74~79℃に達した。

車内温度に関する情報はこちらをチェック!

帰省などで外出する機会が多い季節。炎天下に休憩のため高速道路のSA・PAなどを利用するために駐車することも多い。エアコンを作動させているときの車内は快適だが、エアコン停止からわずか15分で熱中症指数(WBGT)が31を超えて、野外でも運動や作業は原則中止となる危険レベルに達する。当然、最も直射日光が当たるダッシュボードの温度も急上昇していく。

使用する人が多い携帯用扇風機も発火事故が発生している!

リチウムイオンバッテリーと携帯用扇風機

携帯用扇風機やモバイルバッテリーは落下などで衝撃を与えてしまった場合は、内部が破損している場合があるため使用しないこと。そして、高速道路などで休憩する場合は、リチウムイオン搭載製品を車内に放置せず持ち歩くように

昨今、スマートフォンやタブレットなどの電子機器を使用するため、モバイルバッテリーを利用する人も多い。また、涼しい風を浴びるために携帯用扇風機を持ち歩く人を街で多く見かける。こういった機器には、リチウムイオンバッテリーを搭載していることが多く、高温となることで発煙・発火の恐れがある。

繰り返し充電して使える「リチウムイオン電池搭載製品」は私たちの生活に欠かせない存在となっている。しかし発煙・発火を伴う事故は年々増加しており、特に夏場に増加する傾向がある。独立行政法人製品評価技術基盤機構「NITE(ナイト)」は、本格的な夏を迎える前に「リチウムイオン電池搭載製品」の火災事故を防ぐため警鐘を鳴らしている。

2020年から2024年までの5年間にNITEに通知された製品事故情報では、「リチウムイオン電池搭載製品」の事故は1,860件あった。その事故の約85%(1,860件中1,587件)が火災事故に発展し、事故発生件数は春から夏にかけて気温の上昇とともに増加する傾向にあり、6~8月にかけてピークを迎えるというのだ。

リチウムイオン電池には可燃性の電解液が含まれているため、大きな火災事故につながるおそれがある。火災事故を防ぐための下記に紹介する3つのポイントを確認して、夏バテ(夏のバッテリー)には十分注意して過ごしてもらいたい。

リチウムイオン電池について知っておきたい3つのポイント

1.正しく購入する
・連絡先が確かなメーカーや販売店から購入する。
・リコール対象ではないことを確認して購入し、購入後も常に最新の情報をチェックする。
・安価な「非純正バッテリー」が抱えるリスクについて理解する。

2.正しく使用する
・高温下に放置するなどして熱を与えない。
・強い衝撃を与えない。

3.正しく対処する
・充電・使用時は時々様子を見て、異常を感じたらすぐに充電・使用を中止する。
・万が一発火した場合は大量の水で消火し、可能な限り水没させた状態で、119番通報する。

モバイルバッテリー発火の注意喚起ポスター

モバイルバッテリーやスマートフォンが膨らんでいたら発火するサインだ

リチウムイオンバッテリーに関する情報はこちらもチェック!

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