クラウンFCEVタクシー大量導入! 官民連携で「TOKYO H2」を始動|自動車交通トピックス
文=萩原文博/写真=トヨタ自動車

2035年までに1万台の水素モビリティ普及へ! クラウンセダンFCEVが描く未来の都市交通

東京都が燃料電池タクシーを大量導入! 「TOKYO H2」で水素社会へ加速する官民連携プロジェクト始動

東京都は全国初の燃料電池タクシーとしてトヨタ・クラウンセダンを都内へ大量導入すると2025年9月3日に発表。同時に燃料電池商用モビリティをはじめとした「水素を使う」アクションを加速させる官民連携プロジェクト「TOKYO H2」を始動させた。

目次

燃料電池商用モビリティの普及がインフラ整備への近道

2025年9月3日、東京都は「TOKYO H2」という新プロジェクト発表会を開催した。この「TOKYO H2」は、燃料電池商用モビリティをはじめとした「水素を使う」アクションを官民連携で加速させることを目的としたプロジェクトのこと。

東京都は燃料電池車をはじめとした燃料電池商用モビリティの普及目標として、2035年度に約1万台を掲げている。この「TOKYO H2」により、全国初の取り組みである燃料電池タクシーの大量導入をきっかけに、運輸物流分野も含めた燃料電池商用モビリティの導入を促進し、エネルギーの安定供給や脱炭素化の切り札ともいえる水素を様々な分野で積極的に利用する仲間を増やす取り組みを官民連携で進めていく。

また、水素の普及を街中で“見える化”すべく、「TOKYO H2」のロゴやデザインで統一された各種コミュニケーションを展開することで、社会全体での理解と関心を高めていく予定だ。燃料電池商用モビリティが東京都だけでなく、全国で採用していけば水素ステーションの設置も進み、水素をエネルギーとしたモビリティの普及が加速するだろう。

小池都知事をはじめ関係代表者の集合写真

プロジェクト始動に合わせて行われた発表会には、小池百合子東京都知事をはじめ、佐藤恒治トヨタ自動車代表取締役社長、川鍋一朗東京ハイヤー・タクシー協会会長が出席した。「H」に水素だけでなく、人や希望など複数の意味をもたせ、様々なモノとつながり未来に向かって進んで行くことをイメージしたロゴマークを採用(写真提供=東京都)

「ニューフォーマル」コンセプトのクラウンタクシーを導入

このプロジェクトでは、燃料電池タクシー普及拡大の皮切りとしてトヨタ・クラウンセダンが導入される予定。2023年11月に登場したクラウンセダンは、快適な乗り心地と上質な走りとともに、ショーファーニーズを満たすくつろぎの空間を創出しているモデルだ。正統派セダンを再定義する新スタイルで、パーソナルにもビジネスにも応える「ニューフォーマル」という新たな価値観に挑戦し、「セダン再発見」を感じさせるクルマに仕上げている。

「ニューフォーマル」とは、快適な乗り心地と上質な走りで、パーソナルにもビジネスにも使用できること。ショーファーニーズを満たす後席空間。ロングホイールベースとボディのワイド化により、後席のゆとりや優れた乗降性を実現していること。そして、広々とした室内空間や癒しを感じる間接照明など、大人の感性を満たすインテリアを備えていることを指す。

搭載されている高性能FCEVシステムは水素を燃料として、走行中にCO2を一切排出しない電動車。静粛性や環境配慮面でのショーファーカーとしての価値に加え、FCEVならではの加速性能で走りの楽しさを実現している。高性能FCスタックシステムは、3本の高圧水素タンクと燃料電池などを搭載し、1回あたり約3分の水素充填で約820km走行可能。アクセルを踏んだ瞬間からトルクが立ち上がり、スムーズに伸びるFCEVらしいパワーと、モーター駆動による静粛性や乗り心地を実現しており、タクシーとしてのポテンシャルは十分以上と言える。

クラウンセダンをベースとした燃料電池タクシーの外観

ホイールベースが3mもあり、後席に座る人を重視したショーファーカーらしくリアシートの居住性は抜群。1回あたり約3分の水素充填で約820km走行可能

走行時に水しか排出しないFCEVを増やすことは、環境負荷を軽減するだけではなく、化石燃料に頼らないエネルギーの安定供給、さらには災害への対応力が向上するなど、一般ユーザーに与える影響は意外に大きい。

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