ペットとの車中泊旅&備えに必要なのは「大容量バッテリー」と「クーラー」、ほかに何がある?
ペット旅にほしい車中泊カーの装備を車中泊好きライターが厳選!ペットといっしょに日本各地を巡りたい。そんな夢を叶えてくれるのが車中泊カー&キャンピングカーです。 どんな装備があればペットの健康と安全を守ることができるのでしょうか? 220台以上のキャンピングカー&車中泊カーが集まった「東京キャンピングカーショー2024」(7月20~21日開催)で、ペットとの車中泊にほしい装備を、キャンプ・車中泊好きのライター・大森弘恵さんがピックアップしてくれました。
クーラーと大容量バッテリーはマスト
車載用クーラーはマストアイテム。冬場に備えてFFヒーターもほしいところです
クルマの中で寝泊まりするクルマ旅は、ペットの様子を常にみていられるとペット連れに人気のスタイルです。
どんなクルマでもペットとの旅はできますが、人もペットも健康を損なわず、安心して旅をするために必要な装備とは何でしょうか?
もっとも考慮したいのが車内の暑さ。
過去にJAFが車内温度を計測した「5月ならまだ大丈夫?車内での熱中症の危険(JAFユーザーテスト)」
によると、春(外気温約23℃)であっても車内温度は1時間でおおよそ40℃まで上昇しました。
ペットの熱中症リスクが高まるのは25℃〜と言われていて、日影に駐車して窓を開けるだけでは対応できない可能性大。
サブバッテリーなどでエンジンを止めても稼働できるクーラーの搭載は必須です。冬の寒さ対策はFFヒーター(※)がベストですが、クーラーを使えるバッテリー容量があれば電気毛布で対応することもできます。
※クルマの燃料を利用する燃焼式ヒーター。エンジンを止めても使用できる
車中泊カーとペット旅向きモデルの違いは?
キャンパー鹿児島×オートバックス「Wonder AR」
「Wonder AR」は、キャンパー鹿児島の人気モデル「CK-WILDER」をベースにオートバックスかしわ沼南がプロデュースした、ペットにうれしい機能を装備した車両です。どちらも車載用クーラー付きなのですが、いったいどんな違いが?
「Wonder AR」と「CK-WILDER」を見比べてみましょう。
「Wonder AR」(左)と「CK-WILDER」(右)。もっともわかりやすい違いがテーブルの取り付け方とベッドマットです。「CK-WILDER」は対面になるよう窓枠にテーブルを取り付けますが、「Wonder AR」はカウンターのトビラがテーブルになっています
「Wonder AR」は2列目シートと左側のベンチシート、そして脚付きのベッドマットを組み合わせて自由にレイアウトを変えられる仕様。マットの脚を取り外せば仕切りにもできます。ペットシーツを敷けばペット専用スペースの完成!
車載用クーラー下に注目。「CK-WILDER」はスイッチ類がむき出しですが「Wonder AR」にはカバーがかけられています。リードを付けたまま車内で遊ばせるとき、間違ってスイッチを押してしまうのを防止するためです。ちなみにスイッチカバーの右側面にはコンセントが装備されていて、ペットカメラを稼働させておけるんです。
後部から見ると、左側ベンチ下と右側カウンターの下にも違いが。「Wonder AR」(写真左)のベンチ下にある通気口はペットの毛やホコリが入らないフィルター式。ちなみに「Wonder AR」のスロープは専用装備ではないのですが、これも必須アイテムです
カウンター下は水タンクを収納できるようになっています。散歩の後、ペットの足を拭いたり水をあげたりするのに便利
シートや床は、汚れがつきにくい素材を採用。とはいえツルツルの素材ではペットが滑って危険なので、ちゃんと歩けるよう配慮された素材です
電子レンジやポータブル冷蔵庫もぜひほしいアイテム
Stage21「リゾートデュオ ルクシオ プロⅢ」
「リゾートデュオ ルクシオ プロⅢ」は決してペット旅専用設計ではありません。けれども取り回しやすいサイズ(タウンエース)でありながら充実した標準装備のため、ペットとの旅に指名買いする人が多いモデルです。
車載用クーラーだけでなく、電子レンジ、小型の冷凍冷蔵庫が標準装備。なにもそこまで……と思いますが、電子レンジがあれば旅先で体調が悪くなったペットのためにドッグフードをふやかすのに便利です。また、冷凍冷蔵庫はドッグフードを冷凍保存できるので、こちらもペットとの旅にほしい装備です
180Wの薄型ソーラーパネルも標準装備。3系統充電システム(走行充電60A・外部AC充電40A・ソーラー充電20A)を備えていてクーラーや電子レンジの使用も安心
シンクは車内外、どちらからでも使用OK。蛇口を引き出してシャワーにできます。容量各10Lの給水・排水タンクを外側からセットできるのもうれしい設計
思いのほかかさばるペットカート
パパビルド「F-BOX Square」
ペットとの旅に強いパパビルドには、タウンエースに車載クーラー、200Ahリチウムイオンバッテリー、走行充電システム、シンク、遮熱フィルムを装備した「F-BOX Square」がラインナップされています。
観光地を訪れる予定ならばペットの安全のためにもペットカートを持っていきたいのですが、これが結構かさばる! 「F-BOX Square」はベッド下に余裕があり、ペットカートがすっぽり収まります。見落としがちですが要チェックポイント
フレキシブルに対応するポータブル電源も魅力あり
ATV群馬「RS Doggy」
最近のトレンドはサブバッテリーではなく大容量ポータブル電源の採用です。「RS Doggy」でもポータブル電源「Jackery1000Plus」(オプション)を搭載していて、子機3台まで拡張できるようになっています。
ベンチの下に親機1台と子機2台を収納し、必要なときに子機をもう1台追加するシステム。「RS Doggy」には最大容量400Ah搭載でき、エアコンを10時間使用できるそう。スマホのアプリを使って手元で機器ごとにこまめに操作できるのも特徴です
RVパークやキャンプ場のAC電源を使用すればいいと思えますが、消費電力の大きなクーラーや電子レンジを使えないシーンは多々あり、車内にバッテリーを備えておくほうが安心です。それに災害時は3日以上停電になる場合も。大容量ポータブル電源であれば、クーラーのように冷たい空気は出ませんが扇風機を使うことで非常時にはより長時間ペットを高温から守れます。それにサブバッテリーとは違って車外に持ち出せるので、災害時の自宅避難でも活用できます
ほかにも防音性や照明の明るさ、リードフックの位置なども確認したいところ。災害時の避難場所としても役立つ車中泊カーですから、できるだけペットの個性にあった車両を選びたいですね。
大森弘恵
おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R