下写真/車専用のカーサイドタープを装着。車中泊を楽しむなら、今回紹介する基本グッズに加えて、自分のスタイルに合わせてアイテムを増やしていくのが楽しい。
構成=ダズ/撮影=渡部竜征

車中泊に最低限必要なアイテムと守るべきルール&マナー

アウトドアを手軽に満喫! 車中泊の始め方3
目次

人気の車中泊を、今すぐ始めるための基本テクニックを4回にわたってご紹介している本特集。第3回となる今回は、車中泊のマストアイテムとルール&マナーを紹介します。前回快適な就寝スペースの確保のためのグッズが登場しましたが、それ以外にも必要な基本的アイテムがあります。また、車を駐(と)めているだけだからといって、どこででも車中泊をしてよいわけではありません。引き続き、雑誌『ライトキャンパースタイル』編集長の霜田奈緒さんをガイドに、車中泊をする前に知っておくべき事柄をお聞きました。

車中泊のマストアイテム5選

これから車中泊を始めるにあたって、最低限そろえておきたいアイテムは5つ。どのアイテムも、アウトドアショップやカー用品店などで簡単に手に入るものなので、車中泊旅に出かける前にそろえておきましょう。

1.マット

エアマット

エアマットは就寝スペース作りの仕上げに使うと、快適な睡眠が実現できる。

折り畳み式マット

折り畳み式マットは、厚みを調整しながら使えるので、段差や隙間を埋めるのに便利。

前回記事でも紹介したとおり、快適な睡眠を得るためにマットは必須。どのマットがよいかは、車種やインテリアによって異なるので、シートの段差や隙間具合を確認した上で用意しましょう。使いやすいのは段差修正の高さ調節がしやすい折り畳みタイプと、そこに重ねて使うエアマット(空気を入れて膨らませるタイプ)です。

2.寝袋

封筒型の寝袋

封筒型の寝袋は開いて掛け布団にできるし、2枚をつなげて広く使うこともできる。

厚みのある寝袋のアップ

寝袋を購入する際は、使用温度をしっかりと確認して、季節に合ったものを選ぶこと。

車内での快適な睡眠のためには寝袋も必要。寝袋には使用温度や快適温度が記されていて、使用する場所・季節の最低気温よりもマイナス5℃を目安に選ぶのが良いとされています。快適温度とは別に、限界温度や下限温度と書かれている数値は、寒さを感じるが使えるという意味合いなので注意が必要。メーカーによって表記の仕方や呼び名が違うので、購入時にはしっかりと調べましょう。時期に合わせて数種類持っていると便利です。

3.まくら

キャンプ用まくら

キャンプ用まくらは家庭用よりもサイズがコンパクトなものが多い。購入時には肌触りなどにもこだわって選ぼう。

お気に入りのまくらがあれば、車中泊の快眠度もアップします。キャンプ用のまくらは、空気を入れて膨らませるタイプやクッションタイプがあり、前者は収納時のコンパクトさがメリットで、後者は快適性を重視しています。就寝の際に、頭の位置に硬い素材があたるなら、硬さを和らげるようなクッション性が高い素材や大きさのものを選びましょう。

4.シェード

車種専用シェード

車種専用品は、窓の形状にぴったりとフィットし、昼間でも真っ暗になるくらい遮光してくれる。

フロントガラスと前席サイドガラス用のシェード

後席サイドとリアガラスがプライバシーガラスなら、まずはフロントと前席サイドだけでもOK。

車中泊をする場所によっては、車外からの視線や朝の日差しが気になる場合があるので、窓を覆うシェードを持っていると便利。日よけだけではなく、断熱効果があるものを選べば、夏の暑さ、冬の寒さを軽減してくれます。窓の形状に合わせた車種専用品ならば窓を隙間なくカバーできるので効果的です。

5.LEDランタン

アシストグリップに引っ掛けたLEDランタン

S字フックを持っていけば、アシストグリップに引っ掛けることも可能。

暖色系LEDランタン

おすすめは暖色系LEDのランタン。温かみのある光で、家にいるような感覚で心地よく眠れる。

車のルームランプを使うとバッテリーが上がってしまう危険性があるので、車中泊時は車のルームランプはオフにしておきましょう。代わりに、電池やバッテリー駆動のLEDランタンをひとつ用意しておくと便利。スポット的に明るいものではなく、全体に明かりが広がるようなもので、光量調整ができると常夜灯として使いやすいです。

こんなアイテムもあると便利

上記5つのマストアイテム以外にもこんなものがあると、車中泊がより快適になります。ミニバンなど車内でくつろぐような広さがある場合にはミニテーブルなどを持っておくのも便利です。

ポータブル電源

あると便利なポータブル電源

ポータブル電源を一つ持っていると車中泊の幅は大きく広がります。スマートフォンの充電ができるのはもちろん、電気毛布や扇風機などの寒暑対策にも使えます。また、炊飯器や電気ケトルなども使えるので、調理をこなすこともできます。使用する機器の消費電力と使用時間を考えてポータブル電源の容量を選びましょう。

ルーフキャリア

あると便利なルーフキャリア

車中泊では、できる限り荷物をコンパクトにしたいもの。就寝スペースを出発時から空けておくことができれば、荷物の積み降ろしの手間も省けます。それでも荷物が増えてしまう場合は、ルーフキャリアを付けておくと便利。車内に置く荷物を減らせるし、汚れ物をキャリアに載せてしまえば、車内が汚れる心配もありません。


車中泊の超基本! 手間が省ける積載テクニック

効率良い積載方法

クーラーボックスなど車外に降ろすものは就寝スペースに積んでおく。車内が汚れないよう下にシートを敷くと良い。

車中泊をするときは、就寝スペースを確保するために、荷物を車外に出す必要があります。それを見越して計画的に荷物を積載しておくのもポイントです。就寝スペースとなる場所には、クーラーボックスや椅子、テーブルなど、そもそも「外で使うもの」を積載しておくと、就寝スペース作りの際に荷物を片付ける手間が省けます。車外に荷物を出せない場所で車中泊をする場合は、荷物を載せたままでも寝られるか、出発前に試しておきましょう。SUVやステーションワゴンなど、ラゲッジのフロアを就寝スペースとする場合は、荷物を載せる前にシートを敷いておくとフロアが汚れず、寝るときに快適です。

快適車中泊のための車の駐め方

車中泊にベストな駐車方法

車中泊スポットに着いたら、まずは駐車場所、駐車の向きをチェック。寝るときに後悔しないよう、日の向きや人の流れを把握しよう。

車中泊をする際は、車の駐め方にもこだわりましょう。まずは傾斜のないフラットな場所に駐めることが大前提。たとえば就寝時に頭の位置が下がるような傾斜があるところに駐めると、非常に寝づらくなります。ちょっとした傾斜でも寝ると気になるので、できる限り平らな場所を探しましょう。次に人の目や日差しを避けるように駐めること。周囲を人が通るオートキャンプサイトなどでは、通路を背にして車を駐めると人の目が気になりにくいです。また朝の日差しを避けるならば、木陰や西向きに車を駐めると良いでしょう。


車中泊のルールやマナーを守ることが大切

RVパーク

車中泊が可能なRVパーク。

ゴミは持ち帰る

日常生活と同じようにマナーやルールを守ることは当然。

車中泊が人気になるにつれ、一部の人のルール破りやマナー違反によるトラブルも表面化してきています。やはり車中泊をするにあたってもすべてが自由というわけではなく、ルールやマナーが存在するのは当り前のことです。とはいっても難しいことは一切なく、気を付けるのは日常生活においてもごく当たり前のことだけ。基本的には「他人に迷惑をかけない」こと。それを大前提に行動すれば車中泊を安心して楽しめます。以下に記した内容を覚えておきましょう。

車中泊がOKな場所を選ぶ

車中泊はオートキャンプサイト、RVパーク(車中泊公認の駐車場施設)など、車中泊が許可されている場所で行うこと。場所によっては道の駅も車中泊を認めていますが、事前に一度問い合わせておきましょう。高速道路のSAやPAは道路利用者の休憩所であって、仮眠程度は認められていますが、車中泊目的で利用するのはNGです。

自分で出したゴミは持ち帰る

これも当たり前ですが、車中泊をして出たゴミは持ち帰りましょう。昨今キャンプや車中泊でアウトドアを楽しんだ際のゴミを放置したり、近隣のコンビニに捨てるなどの行為が問題視されています。オートキャンプ場やRVパークでは、有料でゴミ処理をしてもらえる場所もあるので事前に確認を。

車中泊時はエンジンを切る

オートキャンプ場やRVパークに限らず、基本的に停止時は車のエンジンはオフ。大気汚染や地球温暖化への影響というのもありますが、騒音などで周囲に迷惑がかかります。車の冷暖房に頼らなくて済むよう、暑さ・寒さ対策を万全にしてから車中泊にのぞみましょう。

車中泊スポットのルールを守る

オートキャンプ場やRVパークなど車中泊可能な場所に泊まるとしても、それぞれのスポットでルールが異なるので、事前に確認した上でルールを守りましょう。基本的なところで言えば、RVパークは駐車場施設なので、たき火や車外調理などができません。キャンプを楽しみたいならばオートキャンプ場に泊まるなど、目的に合った場所で車中泊を楽しんでください。

車中泊のマストアイテムと、意外と知らないルール&マナー編、いかがでしたでしょうか。最終回となる第4回は、地震や大雨など災害が発生した際に車を避難場所として使う「車中泊避難」について。東日本大震災や熊本地震をきっかけに注目された災害時の車中泊ノウハウを紹介します。

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