自動車整備技術で日本一に挑む! 自動車整備技能競技大会の舞台裏
広告:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

自動車整備技術で日本一に挑む! 自動車整備技能競技大会の舞台裏

安心・安全を支える自動車整備士たち【第2回】

「もっと広い視野で自動車整備に携わりたい」そんな整備士としての思いがチャンピオンの座を射止めた。自動車業界は今、100年に一度の大変革期にあると言われるようになって久しい。そんな時代に整備士としての道を極め、2024年11月開催の「第24回 全日本自動車整備技能競技大会」で優勝を果たしたのが、北海道/北見地方代表の廣井晃彦さん(湧別町農業協同組合)と、佐々木昭弘さん(清里町農業協同組合)のお二人だ。

今回はその一人、廣井晃彦さんにクルマを整備する上で心掛けている思いを伺った。

目次

穏やかな表情の中に整備士としての思いが芽生えた高校時代

国道238号沿いの車両整備工場

湧別町農業協同組合の車両整備工場広々とした街並みが続く国道238号沿いにあった

廣井晃彦さんの職場は湧別町農業協同組合の車両整備工場。湧別町は“オホーツク海とサロマ湖を望むチューリップのまち”として知られ、その場所は北海道らしい広々とした景色が続く国道238号沿いにあった。

整備工場に着くと廣井さんが出迎えてくれた。訪れた当日は小雪が舞っていたため、何気に「さすがに寒いですね」と挨拶すると、廣井さんからは「今日はだいぶ暖かいですよ」と笑顔で返されてしまった。冬は氷点下10度を下回ることも珍しくない土地柄、この挨拶はやぶ蛇だったようだ。

さて、まずは廣井さんの人物像から触れてみたい。お目にかかるとその穏やかな表情からも優しそうな廣井さんの人物像がうかがい知れる。

その廣井さんの出身は湧別町のお隣、遠軽町。中学校の時からバイクが好きで、高校に通う頃になるとその興味がますます強くなっていったそうだ。それだけに、高校卒業後の進路として整備士への道を選んだのは自然だったのかもしれない。

廣井さんはその第一歩として札幌の専門学校へ進学し、そこで自動車整備士になるための勉強に勤しんだという。ここで整備士の資格も取得。卒業後はそのまま湧別町に戻って自動車ディーラーに就職。その後、ディーラーで12年間、整備士としての腕を磨いた。

「もっと広い視野で自動車整備に携わりたい」そんな整備士としての思い

優勝に輝いた二人

「第24回 全日本自動車整備技能競技大会」で優勝に輝いた二人。北見地方代表の廣井さん(左)と、佐々木昭弘さん(右)

そんな中で34歳の時、転機が訪れる。ディーラーで働く日々では、取り扱い車種が限られるし、なによりも指示された範囲内での整備しかできない状況であった。そんな状況に行き詰まり感をおぼえたのだろう。廣井さんはもっと広い視野で自動車の整備に携われないかと考えるようになっていたのだ。

そんな矢先、廣井さんに“神の声”がかかる。過去に同じディーラーで働いていた同僚から「欠員が出たので一緒に働いてみないか」との誘いがあったのだ。農協の整備工場であれば、いろんなメーカーのクルマと関われるし、古いクルマや農業用トラクターなども対象となる。何よりも自動車整備士の資格を取得して積み上げてきた実績が活かせるのは大きい。廣井さんはこの誘いに二つ返事で応じたそうだ。

そして、湧別町農業協同組合で働き出して6年が経ち、整備士としては通算で18年が過ぎた中で、一級小型自動車整備士の資格を取得。そんなある日、2022年開催の「第23回 全日本自動車整備技能競技大会」への参加を勧められる。最初は期待されるだけの成績が残せるか不安はあったそうだが、日本中の整備士たちが参加する中で自分の実力を試す良い機会になると捉え、参加を決めた。ただ、この時の競技大会では残念ながら成績は振るわなかったという。

しかし、その経験は2024年開催の競技大会で見事に開花する。前述したように、「第24回 全日本自動車整備技能競技大会」において、佐々木昭弘さん(清里町農業協同組合)とともに優勝を果たしたのだ。廣井さん曰く、「最初は再びうまくいかなかったらどうしようとの思いが先行した」というが、前回の反省を踏まえ、担当分けをしたことで手順を効率よく進めることができたことが勝因につながったようだ。

「業務に穴を開けない迅速な整備を心掛ける」廣井さん

信頼も厚い整備の技術

コツコツと積み上げてきた整備の技術力は上司からの信頼も厚い

そんな廣井さんの現場での仕事ぶりはどうなのか。今回は、整備工場内で作業する廣井さんの姿を取材させていただくことにした。

お話ししていると笑顔が印象的な廣井さんだが、現場に入るとその表情は一変。視線が整備する一点に注がれ、その様子はまさに不具合箇所は見逃さない! と訴えているかのようだ。そんな廣井さんが整備する上で重視しているのは、「お客様の業務に穴を開けないように、できる限り迅速に整備して車両をお返しすること」だという。

穏やかな表情で接客

お客様と接するときの廣井さんはいつもの穏やかな表情に戻っていた

お客様は一般の方もいらっしゃるとはいうものの、農協系の整備工場だけに持ち込まれる車両は業務で使われることが多い。業務で使っている車両にトラブルが発生すれば、それは“お金を生まないクルマ”になってしまう。そんな状況にならないためにも、可能な限り短時間で修理や整備を済ませることが重要というわけだ。

もちろん、状況によっては整備が完了できない場合もある。特に北海道という土地柄、取り寄せる部品の到着にはどうしても時間がかかる。ディーラーであれば「部品待ち」の対応になる可能性が高い。しかし、お客様の業務状況を把握している「農協系の整備工場で同じ対応はできない」と廣井さんは話す。

その対応は「応急的ではあるが、こうすれば何とか使える」という提案を行うこと。後日、再度整備工場に入庫してもらう条件付きであるにせよ、これによって業務が継続できるのであれば、それはワラにもすがる思いで依頼してきたお客様にとってはまさに“天の助け”。「そんな期待に応えるためにも普段からの蓄積が重要」と廣井さんは力を込めて語った。

一方で、現在の車両の大半は制御が電子化されており、その異常を調べるには従来の経験則だけで対応できるものではない。そこで活用されているのが「スキャンツール」と呼ばれる外部故障診断装置だ。これを自動車のECU(エンジンコントロールユニット)やその他の電子制御ユニットと接続し、故障コードやデータを読み取って修理や整備に役立てるのだ。今は多くの整備工場で導入されており、それは廣井さんの整備工場でも同様だ。とはいえ、こうした最新の技術の活用も、過去から積み上げてきた整備があるからこそ、成り立っているとも言えるだろう。

車両の電子化、状況を眼で確認できる

車両の電子化は整備の現場を大きく変化させているが、状況を眼で確認できるメリットも加わった

廣井さんによれば、「ディーラーとは違い、ここでは様々なメーカーや年代の異なるクルマが数多く入庫する」そうで、これこそ頼られている証し。この頼られる整備士としての力量があるからこそ「第24回 全日本自動車整備技能競技大会」での優勝につながったのだ。

取材時に笑顔で応えてくれた廣井晃彦さん

取材時に笑顔で応えてくれた北海道/北見地方代表の廣井晃彦さん(湧別町農業協同組合)

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