軽キャンピングカーの車内に寝袋2つを並べたシーン
文=大森弘恵/写真・構成=後藤ちり

軽キャンピングカーで大人ふたり車中泊! 快適な寝方&過ごし方のコツを徹底解説

大人2名の軽キャン車中泊旅・実体験レポート(3)

軽キャンピングカーの旅は手軽さが魅力。しかし、大人2人が車内で快適に過ごし、しっかり眠るためには工夫が必要。そこで今回は、1泊2日の実体験をもとに「くつろぐ」「寝る」の快適な方法を検証。さらに、荷物の収納の工夫やスムーズなレンタル返却のコツまでリアルにレポートします。

目次

軽キャンパーで大人2名、どこでくつろぐ?

RVパークでオーニング展開している軽キャンパー

無事、軽キャンパーの秘密基地が完成

持参した車中泊アイテムをセッティングし、RVパークに自分たちの秘密基地が完成! いよいよ「大人2名、軽キャンピングカー内で快適にくつろげるのか?」の検証です。

軽キャンピングカーのラゲッジスペースでくつろぐ女性2名

ベッドスペースにてお座敷スタイルでくつろいでみる

答えは、後部ベッドにお座敷スタイルでくつろぐのは可能。

車高が高く、ボックス形状なので、壁にもたれかかったときも圧迫感はありません。

ただ、これはポータブル電源以外に荷物がない状態だからに他なりません。電波が通じるので音量を絞り、タブレットで動画を鑑賞するなんてこともできますが、ずっとふたりで過ごすには手狭。

そして4人乗車ではありますが、親子3〜4人で過ごすにはかなり窮屈と言えるでしょう。

軽キャンピングカーのオーニングの下でくつろぐ女性2名

軽キャンピングカーはオーニングやカーサイドテントがほしいかも

やはり仲良くふたり旅を続けるなら、車外にリビングを作るのが一番です。
春先の夜は寒さが気になりますが、サイドオーニングに取り付ける横幕のオプションを追加するというのもテ。

RVパークの設備の一つである小屋の外観

大人3〜4人がくつろげる広さの小屋

RVパークの設備の一つである小屋の内観

2名での使用なら十分な広さ。電源設備もある

実は今回宿泊したRVパーク西軽井沢には多目的利用できる小屋が2棟あり、有料で貸し出し可能となっています。雨や風が強くてオーニングを出せない日もあるので、こうしたオプション設備があるRVパークならより安心です。

軽キャンパーで大人2名、どこで寝る?

運転席側から見た軽キャンピングカーのベッドスペース

親子、夫婦ならいいけれど……

もうひとつのチェックポイント「ホントに大人2名が車内で眠れる?」について。

キャンピングカーの構造要件であるベッドの規定は、
 ・隙間や凸凹がなく、水平で大人が十分に就寝できる構造
 ・1名あたり長さ1.8m×幅0.5m以上
 ・ベッド上部から上方向に0.5m以上の空間がある

これらを満たせば大人1名分のベッドとして認められます。

この条件はでっかいキャブコンも軽キャンピングカーも同じで、多くの軽キャンピングカーは就寝定員を2名としています。

キャンプ用のマットは50〜60cm幅のものが多く、妥当にも思えます。が、自宅に設置しているベッドに目を向ければシングルは幅100cm、ダブルベッドは幅140cm。

ベッドスペースに並べられた寝袋2つ

車内ベッドで並んで寝ることも考えたが……

ギュッとくっつけば暖かいので真冬はアリなのですが、正直、夫婦でも家族でもないふたりが密着して寝るのはちょっと厳しい……。

それにふたりだと、キャビネットが体に当たるかもしれません。車外に広げたファニチャーやオーニングは、夜間、風にあおられるかもしれず出しっぱなしにするのは危険。たたんで車内に取り込むしかなくさらに就寝スペースが削られます。

ルーフトップテントを展開した軽キャンピングカー

ルーフトップテントと車内に分かれて就寝

結局、上下に分かれて就寝することにしました。

子供はルーフトップテントに登りたがりますが、親子4人なら大人+子供のペアで上下に分かれたほうがいいかも。

車内ベッドは大森の寝室に。

キャビネットにUSBポートがあるので充電しながら眠れるし、ライトのオンオフも楽にできます。

車内のベッドスペースで寝袋に入って就寝

前席の背もたれを直立または前傾させるのを忘れずに

荷室兼用でもあることからベッドマットは硬めで「寝転ぶとクッションフロアをもう少しやわらかくした感じ。キャンプ用マットが恋しくなりました。前席の背もたれを真っすぐ立てていなかったこともあり、仰向けになるとギリギリの印象ですが(身長168cm)、横向きになって少し膝を曲げて寝るクセがあるので長さ的には気になりません。身長170cm以上なら斜めに寝る方がいいかも」(大森)

ルーフトップテント内で天井を触る女性

初のルーフトップテント就寝となった助っ人スタッフ。

「水色のシーツの下にマットが敷いてあり(ともに標準装備)、ゴツゴツ感は一切感じず、持参のマットを使わずにすみました。車内のベッドマットが硬めだと言ってくれれば、大森さんに貸したのに」

ルーフトップテントで寝袋に入り就寝

ルーフトップテントでの就寝は「とても快適でした!」(助っ人スタッフ)

「この日は夜7℃くらい、明け方は約3℃。ルーフトップテントは寒いと言われるので覚悟していましたが、なぜか入った瞬間から暖かく感じて、湯たんぽを使わず電気毛布のみ使用しました」(助っ人スタッフ)

ちなみに、片側が高いルーフトップテントは頭の向きが限定されます。RVパークはほぼフラットですが、キャンプ場では傾斜している場所もあるので駐車する向きに注意しましょう。

クルマの窓を少しだけ開け、ポータブル電源のケーブルをルーフトップテントに通す

延長コードは屋外用を用意しよう

ところがここで誤算が。

「長さ5mの屋外用延長コードを電源ポストに伸ばしたら微妙に短い! サイトは8m×5m。端っこにクルマを寄せずに駐車したのが敗因です。すでにオーニングを出した後でクルマを動かすこともできず、かといって重いポータブル電源を持ち上げることもままならず。窓を少しだけ開けて車内のポータブル電源と接続しました」(助っ人スタッフ)

軽キャンピングカーを斜め後ろから見た光景

明るいうちにラダーからトイレ、水場への動線をチェック

ルーフトップテントへのアクセスは付属のラダーで。ぐらつくことはありませんが、周囲は暗いのでヘッドライトなどの明かりは必須。就寝前のくつろぎ時間も、アルコールの飲み過ぎには注意が必要です。

適材適所に荷物を収納し、車内スペースを確保

軽キャンピングカーの前席を荷物の収納場所にする

就寝時は前席が荷物置き場

軽キャンピングカーの前席を荷物の収納場所にする

キャンプ道具など硬いモノを直接置く場合は、薄手のシートで養生しておこう

荷物やファニチャーを車内に収納する際に活用したいのが、運転席と助手席まわりのスペース。座席の上はもちろん、足元やダッシュボード上など、意外と広い収納スペースが確保できます。

ただし、レンタルキャンピングカーの場合は、車内に硬いものを収納する際に傷がつかないよう注意が必要です。薄手のシートやタオルを敷くなどして、しっかり保護しましょう。

ルーフトップテント内の靴置き場

靴や荷物を保管するためにビニール袋や防水シートを用意しておこう

また、車内ベッドでもそうですが、困るのが脱いだ靴の置き場所。

車内ベッドはスライドドアのステップに置くこともできますが、ルーフトップテントの場合、外はすぐラダー。置き場がありません。

テント内を汚さないよう、靴を脱いでからラダーを上ると置き去りにされた靴が夜露で濡れてしまいます。

軽キャンパーのラダーを上るレンタル店のスタッフ

そういえば出発前のルーフトップテント説明時、スタッフ廣田さんは靴でラダーを上がっていた

「たまたま持っていたビニール袋に靴を入れてテント内に置きました。クルマの返却時に廣田さんに聞いたところ、それで正解。実はテント内に靴袋が用意されていたのですが、その時は気付かず……。翌日の撤収時に発見しました」(助っ人スタッフ)

軽キャンピングカー後部に設けられたルーフラック

見失いがちの収納袋類は場所を決めてまとめておく

ちなみに、慣れないと消灯後のスライドドアの開閉音、寝返りや風による振動が気になるかもしれませんが、それはお互い様。

返却時間にはゆとりをもって現地を出発

レンタル車両のキズをチェックする店員

返却時間は余裕をもって計算

交通が集中する休日は、予想よりも大幅に到着時刻が遅れることがままあります。焦るとろくなことがないので、1〜2時間のゆとりを持たせて現地を出発。

ゴミを残さないよう軽く清掃し、燃料を満タンにしてから返却地に向かうと、スタッフの廣田さんが笑顔で出迎えてくれました。

最後に傷と燃料の残量確認をしてもらったら、レンタルキャンピングカーの旅は終了です。

RVパークのサイトに止められた軽キャンピングカー

軽キャンピングカーの車内はコンパクトで、4名乗車/2名就寝であっても大人2名がゆったりくつろぐのは少々厳しく、オーニングとルーフトップテントはあると快適度がアップする装備でしょう。

また、寒さは寝袋と電気毛布で対応できますが、猛暑は扇風機くらいでは対応できません。宿泊場所によりますが、エンジン停止時にも使えるクーラーはほしいかも。

そして今回はソフトタイプのクーラーボックスで十分でしたが、春〜秋に数泊にわたる旅をするならポータブル冷蔵庫をレンタルしたほうが安全に生鮮食品を管理できます。

キャンピングカーの旅はキャンプ旅に似ていますが、テントよりも断然手間がかからず準備・撤収がスピーディー。とくにゴールデンウィークなど場所を変えながら2泊、3泊するような旅ではその恩恵は計り知れません。

折しも季節は春。新緑がまぶしい今の時期は必要な装備が少なく、大きな失敗もありません。キャンピングカーの旅に興味がある人が一歩踏み出すのにちょうどいい季節ですよ。

取材協力: オフィスアムズ(バンライフレンタカー東京杉並店)

住所:東京都杉並区方南2-5-11 方南町プラザ107
電話:03-5913-8166(平日9時~18時・水休)
料金(クールライダー1号の場合):
当日返却9時間8,778円~、24時間1万2540円~
※平日、休日、ハイシーズンの料金設定あり。レンタル車両により料金は異なります
https://officeams.com/

取材協力:RVパーク西軽井沢

住所:長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1670-113
電話:090-8683-8252
利用可能台数:5台
料金(1泊):3,850円
チェックイン:14時~翌8時
チェックアウト:~11時
駐車場サイズ:長さ8m×幅5m 高さ無制限
トイレ:水洗和式
ゴミ処理:500円(指定袋45リットル袋1枚)
電源:500円(20A)
https://www.kurumatabi.com/park/rvpark/1375.html

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

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