夏の車中泊旅は「小型クーラーボックス2個使い」が大正解! プロ直伝の冷たさキープ術と賢い使い方・選び方
車中泊歴約15年の達人が教えるクーラーボックス活用テク保冷力抜群のクーラーボックスは、夏の車中泊旅に欠かせないアイテムです。でも、サイズ(容量)の選び方から保冷材の使い方まで、実はよくわからないことだらけ。そこで、キャンプと車中泊の知識豊富なアルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店の名物スタッフ・中濱恭平さんに、夏に役立つクーラーボックス活用術の秘伝を授かりました。
プロが断言! 夏の車中泊旅に欠かせないクーラーボックスの賢い使い方
車中泊歴約15年のアルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店の中濱恭平さんが伝授!
車中泊の旅やキャンプ、バーベキューなど、アウトドアで過ごす機会が増える夏。楽しみであると同時に、酷暑での食品保存は不安がいっぱい。食品を安全に、飲み物を冷たいまま保管するにはどうすればいいのでしょう?
15年以上車中泊を楽しんでいるアルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店の中濱恭平さんによると、「小さめクーラーボックスを2個使うのが正解です」と断言。その理由は?
初心者必見! クーラーボックスの基礎知識
クーラーボックスの使い方を教わる前に、まずは「クーラーボックスの種類」「必要な容量」を押さえておきましょう。
クーラーボックスの種類
(左)ハードクーラー:シマノ「アイスボックス VL 22L」、(右)ソフトクーラー:アルペンアウトドアーズ「高保冷 ソフトクーラー 25」
クーラーボックスには金属や樹脂の箱型で少々の力では変形しない「ハードクーラー」と、断熱材を挟んだ生地を用いたしなやかな「ソフトクーラー」の2種類があります。
ハードクーラー
◎気密性が高く、保冷力が高い
×かさばって重い
△テーブルやチェア代わりになる。ただしフタが薄く、座れないモノもある
ソフトクーラー
◎軽くて持ち運びが楽
○多少変形するので、わずかに高さが合わない食品であっても収められる
○使わないときに畳めるモデルもある
×ファスナー開閉なので気密性が落ちる
左の断熱材は発泡ポリスチレンで、3日間氷を保持。右はポリエチレンフォーム採用で24時間氷を保持する
保冷力を左右すると言われているのが断熱材の種類と厚み。
クーラーボックスに使われている断熱材は主に下記の4種類。
・真空パネル
・ウレタンフォーム/発泡ウレタン
・ポリエチレンフォーム
・発泡ポリスチレン(発泡スチロール)
ちなみにウレタンフォームはポリウレタン樹脂を発泡硬化させたもので、ソフトクーラーに使われるのは軟質。ハードクーラーにはより断熱性の高い硬質の発泡ウレタンが使われています。
真空パネル(ハードクーラー)
◎抜群の保冷力で同等の保冷力をもつウレタン入りハードクーラーよりコンパクト
×重く、高価格
ウレタンフォーム(ソフトクーラー)/発泡ウレタン(ハードクーラー)
◎真空パネルには劣るが保冷力が高い
△保冷力を優先したモデルはかさばって重い
ポリエチレンフォーム(ソフトクーラー)
○断熱性にすぐれていてソフトクーラーの断熱材として人気が高い
発泡ポリスチレン(ハードクーラー)
◎安くて軽い
×保冷力は弱め
「発泡スチロールとも呼ばれる発泡ポリスチレンは発泡ウレタンよりも保冷力が弱いのですが、最近は劣化しない素材として再注目されています」(中濱さん)
「アルペンアウトドアーズ 高保冷 ソフトクーラー 25」は素早く開閉できる面ファスナー式窓付き
いくら優秀で厚い断熱材を使っていてもフタに断熱材がなかったり、ファスナー部分がむき出しだったりすると万全ではありません。
一方、保冷力が低めの発泡ポリスチレンモデルでも、底に脚を付けるなどして保冷効果を高めているモデルがあります。また、ソフトクーラーのフタに小窓が付いていれば素早く確実に開閉できるし、開く面積が小さくなるので庫内温度の上昇を低減できます。
クーラーボックスの保冷力は、断熱材の素材だけでなく総合的に見る必要があるのです。
容量の目安は?
人数によって容量を選ぶ
容量選びでは、大人1人分=15Lを目安にすれば過不足なし。
デュオなら容量25〜30L、食べ盛りの10代と幼児では大きく変わりますが家族4人なら45〜60Lといった具合です。
ちなみに大人1人分=15Lは食品だけではなく飲み物、保冷材を含めた容量です。夏など飲み物が増えそうなときは、保冷ボトルやジャグ、アイスクーラーを併用するという手もあります。
常識を覆す!? クーラーボックスの意外な使い分け
小さなクーラーボックスがイイってホント?
「アウトドアショップで働いているのだから、ハイスペックなクーラーを使っているんでしょ? とよく言われますが、プライベートで使っているのはごく一般的なクーラーボックス。使い方を工夫すれば猛暑でも事足ります」という中濱さんに最強の使い方を教えてもらいましょう。
「頻繁に開け閉めすると暖かい空気が入ってしまい、保冷力が落ちてしまいます。クーラーボックスが2つあれば、頻繁に取り出す飲み物と、できるだけ冷たい環境をキープしたい食品を分けられるので保冷力を維持しやすいんです」(中濱さん)
キャンプ好きなら「クーラーボックスを分けて使うのは当たり前」と思う人も多いかもしれません。
ところが中濱さんは思いも寄らない提案をしてくれました。それが小さなハードクーラーに肉・魚、大きなソフトクーラーに飲み物を入れるという車中泊旅ならではの使い分け。
ソロやデュオなら15〜20Lのソフトクーラー(飲み物)と10L程度のハードクーラー(肉・魚)、家族4人の場合は25〜30Lのソフトクーラー(飲み物)と20L程度のハードクーラー(肉・魚)といった具合です。
「大型ハードクーラーを食品用とするのが定番ですが、絶対に腐らせたくないのは肉と魚くらい。それに車中泊旅の場合は、旅先の食堂などを利用する機会も多いでしょうから、そこまで大きいハードクーラーは必要ないという考えです。小さめなら車内に置きやすいですし、それにハードクーラーは大きいほど重くて扱いづらくなりますが、小さければ重さだって気になりません」(中濱さん)
使わないときに畳めるソフトクーラーもある
ソフトクーラーは柔軟で軽く、大容量でも扱いやすいのですが密閉力が弱いのが弱点。でも、ペットボトルや缶飲料は多少ぬるくなっても未開封なら問題なし。空いたスペースに“すぐに腐ることはないけれど冷蔵保存が望ましい食品”やお土産を入れておけます。
「大型ソフトクーラーの中に複数の小型ソフトクーラーを入れる製品があります。もし、手持ちのソフトクーラーの保冷効果が気になるなら、ペラペラのクーラーバッグを入れて対策しては」(中濱さん)
ペラペラなのでそれほど断熱効果は期待できませんが、薄いクーラーバッグで仕切ることで口が狭くなり、ファスナーを大きく開いても飲み物や食品までぬるい空気が入りづらくなるというわけ。
手を伸ばせば冷たい飲み物を取り出せる
また、ファミリー人気の高い50Lほどのハードクーラーですが、これだとクルマのラゲッジに載せるしかありません。ですが、後部座席などすぐにアクセスできる場所に置きたいと思いませんか?
保冷ボトルへの詰め替えやSAで購入した冷蔵品を保管するたびに、ラゲッジを開いて上の荷物をどけるのは大変なのですから。
「助手席や後部座席の足元に収まるのは縦型30Lくらいまで。そういう意味でも30L程度のソフトクーラーは使い勝手がいいんです」(中濱さん)
日常での利用価値が高い超小型クーラー
容量4.7Lの超小型クーラーボックス、コールマン「テイク6」が人気
350mL缶が6本入る超小型クーラーボックスは今注目のアイテムです。
自転車カゴに入るサイズで車内に置いても邪魔になりません。食品トレイに入ったままでは厳しいですが、保存用袋に入れ替えれば、そんな超小型クーラーでも1〜2人分の肉やおろした魚が保冷材とともに余裕で入ります。
ソロやデュオの車中泊、キャンプには十分だし、スポーツシーンや毎日のお弁当など日常使いにも適しているので手に入れて損はありません。
保冷材で上下を挟む! 余裕があれば両側にも
保冷材の置き方にもテクがある
クーラーボックスはポータブル冷蔵庫とは違い、食品を冷やせません。あくまで氷や保冷材を入れて冷たさをキープするための入れ物なので、食品や飲み物をキンキンに冷やしてからクーラーボックスに入れるのはもちろん、容量にあった量の保冷材を用意しないと保冷自慢のクーラーボックスであってもすぐに庫内温度が上がってしまいます。
保冷材の量はクーラーボックスの容量の4分の1が目安。
「底に保冷材を敷いてから食品を置きます。冷たい空気は上から下に移動するので最後に保冷材を上に載せて挟むのが基本。余裕があれば両側に保冷材を立てかけておきましょう」(中濱さん)
なお、保冷材の保冷能力には差があります。
アイスクリームを保管できる強力タイプで上下+側面を覆うと冷えすぎてしまいます。強力タイプは説明書で必要な量を確認しましょう。
強力保冷材は完全凍結まで2〜3日かかるが、今年はスピード凍結タイプが登場した
「ロゴスの『超速凍結・氷点下パック』は薄めの保冷材が2枚セットになっていて、完全に凍らせるまでの時間を大幅短縮。それでいて付属のバインダーで重ねて使えば12時間後も表面温度は氷点下を維持します。保冷材は分厚いほど保冷能力が高まるので、このように2枚の保冷材を重ねたり、氷と保冷材を重ねておくのも有効です」(中濱さん)
プロの最強保冷術で夏の車中泊旅を楽しもう!
車中泊の旅には小型クーラーボックス2個使いがおすすめ!
大は小を兼ねると言いますが、クーラーボックスは必ずしもそうではありません。中濱さんが長年の経験で確立した“小型クーラーボックスの2個使い”。みなさんも参考にして、夏の車中泊旅を存分に楽しみましょう。
中濱恭平さん プロフィール
アウトドアショップ「アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店」の名物スタッフ。学生時代からクルマやバイクでアウトドアフィールドを駆け巡っていて、キャンプにも車中泊にも詳しい。
愛車はトヨタ・ハイエース スーパーロング ハイルーフ。DIYでオールペン済み
自作の棚を車内に取り付け、使い勝手のいい車内空間。奥さまと2人で車中泊旅を楽しんでいる
【店舗紹介】アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店
売り場面積は約2,300坪、取り扱いブランドは約450、商品点数10万点以上が並ぶ、世界最大級のアウトドアショップ。3階建てで1階はキャンプ用品、2階はウエアやトラベルギア、3階はスキー・スノーボード、登山などの山関連アイテムのフロアとなっている。展示商品はすべて体験・試着OK。
住所:千葉県柏市風早1-6-1
電話:04-7192-3671(店舗代表)
営業時間:10:00~21:00
アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店ウェブサイト
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