キャブコン選びの本命は普通車の駐車場に収まるサイズ
居住性が抜群にいいうえ運転しやすくて駐車場探しにも困らない!初めてのキャンピングカー選びでは、バンにキャンピングカーの機能を詰め込んだ「バンコン(※1)」か、それともベース車に居住空間(シェル)を架装した居住性良好な「キャブコン(※2)」のどちらを選ぶか悩むところ。近頃続々登場している“普通車サイズの駐車場に収まるちょっとコンパクトなキャブコン”は、居住性と扱いやすさを両立した注目株。初めてのキャンピングカーにいかがでしょう。
※1 バンベースのキャンピングカー
※2 主にトラックベースのキャンピングカー
断熱性抜群&車内で直立できる! キャブコンのいいところそのままにサイズダウン
コンパクトなボディーでも車内では立って移動できます(写真はファンル−チェ「ウラル」)
快適なクルマ旅を望むなら、バンコンよりも居住専用空間を備えたキャブコン! なんといっても断熱性が高く、エアコンやFFヒーターの効きが良好。それにたとえベース車のサイズが同じでも、キャブコンのほうがワイドでゆったり空間を得られます。車内では大人が直立できるので、移動もベッドメイクも楽ちんです。
ただし、ゆったりした空間=大きくて運転しづらい&駐車場探しに困りそうという不安がつきもの。そんなユーザーの不安を払拭すべく、近年は多くのビルダーが“ちょっとコンパクトなキャブコン”を手がけています。
7月26~27日、東京ビッグサイトで開催された「東京キャンピングカーショー2025」で、サイズ由来の不安を払拭する“全長5m以下、幅2m以下”の小さいけれどもゆったり過ごせるキャブコンを探してきました。
超急速充電システム搭載で3〜5時間走行すればフル充電
ナッツRV「ジョリビー グランデ X」(798万6000円〜)。全長4790×全幅1960×全高2720mm、乗車定員7人(4WDは6人)/就寝定員5人
カムロードベースで居住部分のはみ出しを抑えた「ジョリビー」シリーズ。中でもサブバッテリーを3個に増やし、家庭用エアコンや冷蔵庫を標準装備しているのが「グランデ」です。レイアウトは常設2段ベッド+マルチルームの「タイプW」もありますが、RVパークやキャンプ場を利用するのでトイレ不要と考える人のために「タイプX」も用意。「タイプX」はマルチルームがない分、圧迫感がなく広々と過ごせます。
ナッツRV自慢の電装システム「エボライト」が標準装備されているのでRVパークに着いたらエンジンを止めてエアコンのスイッチオン! 8時間ほどエアコンを使えるうえ、翌朝にはサブバッテリーの電力がからっぽになっていても、3〜5時間走ればフル充電になるので快適な旅を続けられるんです。軽くて断熱性の高いパネル構造と相まって酷暑の夏でも、激寒のスキー旅でも車内は快適です。700万円台からという価格も見逃せません。
対面ダイネットはエキストラベッドへの展開も素早くできます
外部シャワーにもなる蛇口付きシステムキッチン。グランデは60Lの冷蔵庫を装備
3方向からアクセスできるラゲッジスペース。遊び道具を出し入れしやすいんです
山小屋っぽい車内はクラス最高の6名就寝
MYSミスティック「レジストロ トゥカノ」(899万4700円〜)。全長4900×全幅1870×全高2730mm、乗車定員7人/就寝定員6人
MYSミスティックのキャンピングカーは幌(ほろ)馬車みたいなシェルと山小屋風インテリアが特徴で、「レジストロ トゥカノ」もその流れを踏襲しており車内はちょっとレトロな雰囲気。落ち着きます。
このクラスのライバルたちが4〜5人就寝なのに対し、「レジストロ トゥカノ」はスライド拡張式バンクベッドに大人3人(1780×2000mm)、ダイネットベッドも大人3人(1790×1800mm)と大人6名が余裕で就寝可能。後部エントランス脇のキッチンは広く、食べ盛りの子供たちとの旅にも十分対応します。
DC12Vルーフクーラー標準装備ですが、オプションでよりパワフルな家庭用エアコンに変更可能です。
対面ダイネットと横向きソファを備え、家族みんなでテーブルを囲めるレイアウト
キッチンの隣には扉付きのマルチルームを搭載。外部からのアクセスも可能で収納庫としてもいいかも
コンロ(オプション)とシンクを備えた大型キッチン。コンロの隣に見えるのは49L冷蔵庫
寝室にもプライベート空間にもなるマルチスペース付き
バンテック「アストラーレ トリアス480(L)」(1104万8000円〜)。全長4800×全幅1960×全高2700mm、乗車定員6人/就寝定員4人+オプション1人
モジュール式のインテリアでシーンに応じて簡単にレイアウト変更ができる小さめキャブコン。ベース車はカムロードです。
特徴的なのは後部のマルチスペース。常設2段ベッドを扉で仕切れるようにしているだけに思えますが、ベッドマットを組み替えることでプライベートスペースのようにひっそりくつろげるんです。家族旅行中、ひとり静かにメールチェックをするなんてときにも重宝しそう。扉付きなので万一のときはポータブルトイレを置けるのも◎。
サブバッテリーは、バンテックがエコフローのモジュール型電源システムをベースに最適化した「イリス」で2000Wh×3個と大容量。標準装備の家庭用エアコンや電子レンジ、冷蔵庫の使用も心配ありません。
濡れたモノやゴミの持ち運びにうれしい外部収納付き
3人掛けと1人掛けソファを用いたダイネット。ワイドな二重窓、バンクベッドの採光にうれしいルーフウインドー(オプション)など明るく開放的
キッチンの奥がマルチルーム。扉で仕切っても窓が付いているので圧迫感は低減されます
スライドドアとスイングアップ式リアバゲージは正義かも
バンテック「アストラーレ CC1 ビーナス」(1403万2000円〜)。全長4960×全幅2070×全高2740mm、乗車定員6人/就寝定員3人+子供1人
「アストラーレ CC1 ビーナス」のボディサイズは厳密には2×5m以内ではなく幅が70mmオーバーしますが、キャラバンNV350をベースにしていてエントランスはスライドドア。そしてリアバゲージもスイングアップ式でどちらもイージークロージャー機能付き。つまり、混雑した駐車場でも乗り降りしやすく、荷物の積み込みだって楽にできるというわけ。
観光地の混雑した駐車場はもちろん、壁の迫った駐車場しか選択できない場合でもスムーズに出入りできます。
車高を比較的低めにすることで横風による影響を低減しているなど、運転しやすさも見逃せません。
後部の常設2段ベッドとダイネットベッドと合わせれば家族3〜4人での旅に対応。2段ベッドの脇には着替えや収納に便利なマルチルームを備えています
コンロはありませんが、電子レンジと冷蔵庫、シンクを装備し簡単な料理ができます。調理台の下にゴミ箱を備えているのも親切
高剛性と多層断熱シェルで安心・安全・快適! シンプルな内装も好感度大
ファンルーチェ「ウラル エイジア」(1135万8820円〜。ベース車マイナーチェンジのため価格変更の場合あり)。全長4825×全幅1920×全高2690mm、乗車定員6人/就寝定員大人2人+子供2人
ハイエース スーパーGLの後部を切り離して住居スペースを架装していますが、フレームと多層断熱シェルを採用することで外気温の影響を受けづらく、剛性もアップ。決して派手さはありませんが、見えないところに手を掛けた安心・安全なキャブコンになっています。
車内はマルチルームなしで後部にダブルサイズの常設ベッド(1200×1820mm)を備えているほか、ダイネットのテーブルを取り外して950×1750mmの子供用ベッドを作れます。ダイネットベッドにした際、仕切り等がなくいつでも子供の様子を確認できるのは安心。
後部に常設ベッドと家庭用エアコンを備えたシンプルなレイアウト。すっきりしていて使いやすいと評判です
常設ベッドの下は大型のラゲッジスペース。車内のバンク部分もビッグな収納になっていて車内をスッキリ整理できます
65Lの冷蔵庫、大型のシンク、電子レンジ(オプション)を備えたキッチン。調理台を拡張できるし、常設ベッドにモノをチョイ置きできて使い勝手よし
今回ご紹介した5つのモデルは、ボディーサイズこそコンパクトですが各社工夫をこらしたレイアウトで快適に過ごせます。旅先での駐車場はもちろん、自宅周辺での車庫探しにも苦労しない小さめキャブコンを、キャンピングカー探しの選択肢のひとつに入れてはどうでしょう。
大森弘恵
おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R
簡単・快適!車中泊マニュアルの記事一覧

バンコンに家族4人就寝!? アイデア満載のベッドに注目
2025.08.28
ソロ車中泊旅にちょうどいい、技ありのバンコン7選
2025.08.27
夏の車中泊旅は「小型クーラーボックス2個使い」が正解!プロ直伝・保冷術&選び方完全ガイド
2025.07.15
2025年夏の車中泊旅に! 暑さ対策&快適グッズ最新10選【達人厳選】
2025.07.11
夏の車中泊、暑い夜でも快眠!車中泊歴15年の達人が教える涼眠テク
2025.07.09
軽キャンピングカーで大人ふたり車中泊! 快適な寝方&過ごし方のコツを徹底解説
2025.04.13
軽キャンピングカーで1泊2日の車中泊旅! 初心者向けRVパーク解説&快適グッズ紹介
2025.04.12