車内で立ち上がれるバンコン3選企画のキービジュアル
写真・文=大森弘恵

車中泊旅の重要な着替えや移動が楽! 車内で立ち上がれるバンコン3選

運転しやすいサイズなのに車内は広々。その理由は天井の高さ

軽自動車や5ナンバーサイズの車中泊&キャンピングカーは運転しやすく、ソロやデュオで旅をする人たちに人気です。ただ、室内高は1200〜1400mmに留まり、移動中や車内でくつろぐ、眠るには十分な広さでも、着替えやベッドメイク作業で窮屈だと感じることも。

コンパクトだけれど車内で立ち上がれるモデルはないか、「お台場キャンピングカーフェア2024」で、キャンプ・車中泊好きのライター・大森弘恵さんが探してきました。

目次

FRP屋根+サンルーフをあければ最大室内高は約1740mm

RVグランモービル「Beaute5」

RVグランモービル「Beaute5」

タウンエースをベースとした「Beaute5」は全長4065mm、全幅1665mmという扱いやすいサイズですが、全高に注目。FRPの屋根を架装していて2470mmまで高くなっています。タウンエースの全高は1930mmですから540mmも高い!

おかげで室内高は1650mmで、身長170cmほどの人であれば少しかがむだけで立ったまま移動可能。さらにサンルーフを跳ね上げれば1700mmを超えるため、スキーウェアやウェーダー、ウェットスーツに着替えるのも楽々。

立体駐車場のように高さ制限がある場所には進入できないし、立木の枝や看板の位置には十分注意する必要がありますが、ポップアップルーフのようにいちいち広げなくても圧迫感はありません。遮音性や断熱性も分があります。

グランモービル車内

運転席側はシートベルトを備えた横向きのソファ、助手席側にキッチンを設けていて乗車定員6人/就寝定員2人。天井が高くなった分、収納スペースが増えていてブランケットや寝袋といった軽いけれど嵩張るモノをしまっておけます

グランモービルサンルーフ

屋根の中央あたりにサンルーフ、後部にも採光用の二重窓があり室内が明るい! サンルーフを跳ね上げればさらに開放感あり。ちなみにサンルーフは網戸付きなのも安心

グランモービルのクーラー

後部にDCクーラーをかけています。見た目はコンパクトですが、冷房能力1800Wと家庭用エアコンに負けないパワーを誇ります。リチウムイオンバッテリーは標準で200Ahですが、300Ahに変更可能。もちろんFFヒーターの取り付けにも対応しています

グランモービルのキッチン

助手席側に電子レンジ(500W)が組み込まれたミニシンクキッチンが備わっています。インバーターは1500Wなので家電利用も安心

グランモービルの冷蔵庫

引き出し式の冷蔵庫はソファ下に。容量30Lとなかなかのものです。ベッド展開時には隠れてしまうのが残念ですが、ベッドマットを1枚取り除けば冷蔵庫にアクセスできます

グランモービルのオーニング

うれしいことにサイドオーニング(※)も標準装備。キャンプ場でのんびりすごすときも、引き延ばすだけでよく準備も撤収も手間いらず
※クルマのサイドに引き出す日よけ

小さなポップアップを展開すれば、立って調理できるほど背が高い

ニッサン「クラフトキャンパー スペースキャンパーNB-COOLs」

ニッサン「クラフトキャンパー スペースキャンパーNB-COOLs」

日産東京販売直営のキャンピングカープロショップ、日産ピーズフィールドクラフトが手がけた「クラフトキャンパー スペースキャンパーNB-COOLs」は、ぴょこんと飛び出す小さなポップアップが印象的。

ベース車はキャラバン GRANDプレミアムGXという標準ルーフ、標準幅。架装なしだと荷室の高さは1325mmですが、ちょうどキッチンの前がミニポップアップルーフなので立って調理ができるというわけ。

かつてはキャンピングカーとして登録するにはキッチン前に1600mm以上の高さが必要でしたが、2022年より調理台の高さが850mm以下であれば高さは1200mmあればいいと緩和されました。とはいえ立って調理できれば下部収納庫のトビラをあけるときに動きやすいし、座って作業するにも開放感があって気持ちいい。

また、ベッドメイク時でも、ベッドマットを持ち上げる作業は立って行うほうが楽ですから「クラフトキャンパー スペースキャンパーNB-COOLs」のポップアップは大歓迎。大げさじゃなくササッと展開できるのもイイですね。

ニッサン室内

コンパクトなベース車に装備を詰め込んでいますが、思いのほかスッキリ。幅1320mmで7人乗車/2人就寝

ニッサンポップアップ

運転席のすぐ後ろにミニシンク付きキッチン。その部分だけポップアップするのでのびのび調理できるし、一部分でも天井が高いとソファに座っていてもゆとりを感じます。ポップアップルーフはメッシュにして換気を促すほか、生地を閉じて冷気が入らないようにしておけます

ニッサンのレンジ

ミニシンクのほかに電子レンジ、18L冷蔵庫などが装備されています。リチウムイオンサブバッテリーは100Ahが3個、インバーター2000W、100Wソーラーパネル2枚も標準装備で電装系は申し分なし

ニッサンのクーラー

キッチン脇に一体型クーラーが取り付けられていますが、出っ張りはほぼなし

ニッサンの室外機

クーラー部分は出窓にすることで室内側の出っ張りを抑えています。使用時は跳ね上げれば室外機の動きを邪魔することはありません。ちなみにFFヒーターも標準装備なので一年を通して快適に眠れます

横開きポップアップは開放感が違う

スマイルファクトリー「オフタイムBASE(フルパッケージ)」

スマイルファクトリー「オフタイムBASE(フルパッケージ)」

「オフタイムBASE(フルパッケージ)」はエブリィをベースとした軽キャンパーです。コンパクトですがポップアップルーフを搭載することで4人乗車/4人就寝を実現しています。

ポップアップルーフを採用した軽キャンパーはさほど珍しくありませんが、「オフタイムBASE」が採用したポップアップは横向き。さらにテント内のポールが外に押し広げるので、ボックスに近い空間を生み出しテント内のデッドスペースは少なめ。もちろん下段のリビングだって開放感抜群です。

また、軽キャンパーにありがちなふらつきや停車時の揺れを軽減するよう足回りを強化していることも特筆すべきポイント。同時に8cmほどリフトアップしていて、悪路や雪道でもグイグイ進めるようになっています。

オフタイムの車内

ベッドは余裕の幅1200mm。ロフトベッドを採用していて、4名就寝時でも荷物置き場を確保します

オフタイムポップアップ

ポップアップルーフの開口部は大きく、また、テント内の高さが十分なのでどこに座っても圧迫感はありません。ベッドからポップアップルーフの高さは約2000mm

走行充電のモニターやUSBポート、コンセント

走行充電のモニターやUSBポート、コンセント。装備はシンプルに見えますが、リチウムイオンのサブバッテリー、インバーター1500Wを備えているので小型調理家電を積んで出かけるのもいいでしょう


たとえ一部でも室内高が1700mmほどあれば、小さなバンコンにありがちな圧迫感から解放されます。車内でのボトムの履き替えが楽になるので、アクティビティを思う存分楽しむためにキャンピングカーを探している人は、購入条件のひとつに加えてみてはどうでしょう?

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

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