車中泊カーからステップアップ! 扱いやすさと広さを両立した小さなキャブコン5選
リーズナブルで駐車場探しもしやすい!キャブコン(運転席はそのまま、後部にシェルを載せたキャンピングカー。キャブコンバージョンの略)は居住空間が広く、バンコン(ミニバンやワンボックスをそのまま利用したバンコンバージョン)や乗用車よりもはるかに断熱性にすぐれていてストレスなく過ごせるのが特徴です。高嶺の花のイメージがありますが、バンコンと同じような価格帯のモデルもチラホラ。11月2日に開催された「お台場キャンピングカーフェア2024」でコスパがよく、扱いやすいキャブコンを、キャンプ・車中泊好きのライター・大森弘恵さんが探してきました。
自慢の充電システムを搭載したちょっぴりスリムなキャブコン
ナッツRV「Jeepney EVOLITE X」
大きなシェルを載せたキャブコンはいかにも運転しづらそうですが、「Jeepney EVOLITE X」のサイズは全長4990×全幅2000×全高2800mm。高さこそ600mmの差がありますが、シェルの出っ張りを抑え、全幅と全長はバンコンのベースに選ばれるハイエースとほぼ同じ。一般的な駐車場に収まる5m以内の大きさです。
また、ベース車のカムロードは最小回転半径4.8mと小回りが効きます。高さ、そして『急』がつく動作を避けることを心がければ、運転しづらいとは感じません。
「Jeepney EVOLITE X」はスリムなシェルを搭載することで後方確認がしやすくなっています
背が高く、壁は天井近くまで垂直なので圧迫感がありません。後部の常設ダブルベッドはウッドスプリングを採用していて寝心地良好。上位モデルでも採用されている高断熱コンポジットパネルのおかげで、暑さ・寒さが軽減され快適に過ごせます
たとえ電池の充電が尽きても3~5時間走行すればフル充電できる電装システム『エボライト』と、家庭用エアコンや電子レンジ、60L冷蔵庫を標準装備。エンジンを切っても8時間ほどエアコンを使用できるのは大きな魅力
下駄箱の上方にはバッテリーの残量計が備えられています。数字で見えるのは安心
ベッド下にはクラス最大級の収納スペースを確保。外からは3方向、そして室内からもアクセスできるのが便利です。キッチンの給排水用タンクもこちらから
アクティビティを支える大きなマルチルーム付き
TOWA MOTORS「MOBBY R2B」
「MOBBY」シリーズはナッツRV「Jeepney EVOLITE」シリーズと共同開発されたキャブコンで、サイズや基本装備はほぼ同じ。当然、こちらも小回りが効いて操作性良好です。
「Jeepney EVOLITE X」は後部がダブルベッドですが、「MOBBY R2B」は常設2段ベッド。ベッドが占める面積が抑えられたおかげで防水仕様のマルチルームが備えられています。
マルチルームはシャワーやトイレとして使うほか、スキー板やウェットスーツなど濡れモノの保管にも便利。FFヒーターダクト付きなので乾燥室のような使い方もできそう。アクティブなファミリーに使いやすいレイアウトです。
壁・床・天井に35mmもの断熱材を用いた室内は、標準装備の家庭用エアコンとオプションのFFヒーターを搭載すれば言うことなし! 写真奥に見えるのがマルチルーム(※)です
※収納にするほか、防水を施していればトイレやシャワーとしても使える小部屋
室内灯や水道ポンプなどの電源は、冷蔵庫脇のパイロットランプ付きのスイッチパネルで制御
給油口は運転席側にありギリギリまで寄せやすい!
リバティらしさを小さなボディに凝縮
アネックス「リバティ50DB PowerPlus4800」
アネックスを代表するキャブコン「リバティ」シリーズのスモールタイプが「リバティ50DB」です。全長4990×全幅1950×全高2830mmという小柄ボディですが、「リバティ」の名を冠するだけありインテリアは上質。
標準装備にFFヒーター(※)を追加するだけでもいいですが、"PowerPlus4800 by Renogy System"を選択すれば家電利用に不安がありません。しかも電装系リン酸鉄リチウムバッテリー400Ahとインバーター2000Wで電装系をアップグレードできるほか、エアコン、85L冷蔵庫、電子レンジなどの装備も込みなのですから。
※タンク内のガソリンを利用して燃焼させるヒーター
明るくエレガントなインテリア。リア2段ベッドとダイネットベッドで大人が3名、バンクベッドに子ども2名が眠れます
シンクは深めで縦型のポットに水を汲みやすくなっています
給水、排水はどちらも20L
ダンパー付きで軽い力で持ち上げられるバンクベッドを搭載。跳ね上げればソファでくつろぐときに頭をぶつける心配がありません。それにこれだけ大きな空間が確保されているので、車中泊中に運転席に置き忘れた小物を取りに行く……なんてときもスムーズ
全幅1784mmのスリムボディにでっかいバンクベッド
キャンパー厚木「Puppy 481.0」
カムロードをベースに全長4880×全幅1740×全高2750mmとスリムに仕上げています。幅が狭いと走行が不安定な印象を受けがちですが、後輪はダブルタイヤ。安定感があります。
観光地などに見られる狭い道、駐車場でも運転しやすいサイズですが、家庭用エアコンや冷蔵庫、FFヒーター、走行充電システム、トリプルサブバッテリー、マルチルームなど装備は充実。2024年よりバンクベッドの構造を見直すなど進化を続けています
スリムボディですが対面式ダイネット、冷蔵庫と一体になったテレビ台などうまくまとまっています。バンクベッドは側方折畳み式になりました
作業台を跳ね上げるとコンロが登場。下ごしらえで調理台を広く使えるのが便利です
給水タンクは20L、排水タンクは47L
低重心なNV200ベースは乗り降りも楽ちん
AtoZ「ACE-F」
ベース車両にNV200バネットを用いているおかげで運転席の乗り降りが楽。運転席からシェルへもウォークスルーでアクセスしやすくなっています。サイズは全長4985×全幅1980×全高2660mmとコンパクトですが、マルチルームまで搭載していて欲しい装備が盛り込まれています。
対面ではないのでテーブルを外せば広めの通路が生まれます。運転席の高さを見てもわかるとおり、後ろから前まで大きな段差はなくだれもが歩きやすい設計です
エコモード搭載のコンパクトな12VクーラーとFFヒーターを選択可能。どちらもオプションですが、暑くて寒い日本の夏・冬にはマストと言えます
ソファを運転席側、助手席側には49L冷蔵庫、電子レンジを備えたキッチンというレイアウト。ソファを横並びにすることで、足もと広々。調理もしやすくなっています
一般的な駐車場に収まるサイズでありながら、ゆとりが手に入る『ちょっと小さなキャブコン』。自宅の近くに広い駐車場がない……とあきらめていた人、出先で駐車場探しに苦労しそうと考えていた人は、一度レンタルしてみてはどうでしょう。
大森弘恵
おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R