家より快適!? 走る別荘「キャブコン」の世界。なぜ“キャンピングカーの本命”なのか
キャンピングカー一番人気! 構造、居住性、費用、トレンドまでライターが徹底解説
「キャンピングカーを買うなら、やっぱりキャブコン!」。キャンピングカーの花形ともいえるキャブコンは、レイアウトの自由度が高く、立って歩ける広い居住空間や充実装備で、根強い人気を誇ります。本記事では、その構造や特徴、気になる費用から最新事情まで、キャブコンの基礎知識と魅力を、キャンピングカーライターの伴 隆之さんが初心者目線でわかりやすく解説します。
なぜ「キャブコン」はキャンピングカーで一番人気なの?
コロナ禍を契機に注目が集まり、全国各地で見かける機会が増えた「キャンピングカー」。
思い立ったら時刻表を気にすることなく、家族やペットと旅に出発できる機動性の高さに加え、「RVパーク」と呼ばれる車中泊専用の施設が増加したこともあり、日本国内のキャンピングカー保有台数は年々増加傾向にあります。
そのなかでも「キャンピングカーの花形」と呼ばれ、圧倒的な人気の高さを誇るのが「キャブコンバージョン(キャブコン)」です。
キャブコンの魅力は、機動性の高さだけにはとどまりません。車内レイアウトの自由度が高く、余裕のある室内高を確保できるため、車内を立って歩ける居住空間を実現。キッチンをはじめとした装備も充実しています。
近年ではボディサイズの「コンパクト化」もトレンドで、より扱いやすいキャンピングカーへと進化中。
それではなぜキャブコンが支持されているのか、その理由を具体的に見ていきましょう。
「キャンピングカー」の定義と7つのカテゴリー
キャンピングカーにはベース車や動力源などにより7つのカテゴリーがある
「キャブコン」は「キャンピングカー」のカテゴリーのひとつ。でもそもそも「キャンピングカー」ってどんなクルマが当てはまるのかと言われるとわかりにくいですよね。
いちばんわかりやすいのは、道路運送車両法における「特種用途自動車(8ナンバー)」として登録されているかどうかです。
特種用途自動車とはパトカーや消防車、給水車など、緊急車両や特種運搬車両をはじめ、キャンピングカーにも適用される分類番号8から始まるナンバープレートのクルマです。キャンピングカーの場合は特定の用途に利用するための「構造要件」と呼ばれる基準をクリアしないと登録ができません。
構造要件は大きく分けて、就寝設備・炊事設備・水道設備などがあり、構造や設置方法、寸法があらかじめ定められています。
8ナンバー以外にも、見分けはつきにくいですがワンボックス車やミニバンなど、4ナンバー、5ナンバー、3ナンバーでベッドを搭載して車中泊ができるモデルや、簡単な炊事や水道設備を備えたモデルも多数存在しています。
そして「キャンピングカー」とひとことで言っても動力源をはじめ、ベース車や架装方法などにより、イラストのような「フルコンバージョン/セミ・フルコンバージョン」「キャブコンバージョン」「バスコンバージョン」「バンコンバージョン」「トラックキャンパー」「軽キャンピングカー」「キャンピングトレーラー」の7カテゴリーが存在しています。
「キャブコン」はそんな「キャンピングカー」のなかでもいちばんポピュラーなジャンルなのです。
キャンピングカーの花形、「キャブコン」徹底解説
構造から居住性、ベース車両、費用まで、キャブコンが選ばれる理由を解説します。
キャブコンとは? 名前の由来と基本構造
先述した7つのカテゴリーのところで、「コンバージョン」と呼ばれるタイプが多く登場しましたが、「コンバージョン(conversion)」とは直訳すると「変換」「転換」を意味します。
これをキャンピングカーだと用途に合わせてベース車のシャシーやボディを作り替えたり、部品や機構を「特装・架装」したりすることを指しています。
キャブコンは駆動部分や運転台などを含めたシャシーに居住部分であるシェルを架装
キャブコンバージョンの場合、トラックをベースにしたモデルが多く、運転台であるキャブ(キャビン)にはじまり、エンジンやトランスミッション、足まわりを組み込んだ鋼鉄製の頑丈な枠組みをまとめて「シャシー」と呼び、その上に乗用車でいうところの「ボディ」にあたる「シェル」といわれる居住空間を載せているのが特徴となっています。
車内レイアウトの自由度が抜群に高いのがキャブコンの強み
キャブコンはシェルの形状、ドアや窓の位置、車内レイアウトなどが自由にできるのが特徴
キャブコンの大きな魅力は、シェルの構造だけに留まらず、窓やエントランスの位置、シートや家具レイアウトの自由度が非常に高いということがあります。
シェルはキャンピングカービルダーがパネル材やフレームを使って、断熱性能や耐久性能、安全性能や軽量化などの仕様にこだわりを持っているため、各社の個性が出ているのもポイント。
そもそも、重量物を積むことを前提に作られたトラックのシャシーはとても頑丈なため、許容荷重など架装に対するキャパシティが高いことも注目すべき点でもあります。
キャブコンが“走る別荘”と呼ばれる理由
一般的なトラックではキャブと荷台は分離していますが、キャブコンはキャブの背面パネルを切り取ってシェルと一体化させています。
そのため運転席と居住スペースを行き来できるだけでなく、室内高にも余裕があるため屈むことなく立って歩くことができ、着替えなども楽に行えるのが魅力のひとつ。
また、車内空間に余裕があるため、どのモデルにもキッチンが搭載されています。モデルによってはトイレやシャワールームが備わっているものも多くあり、家で過ごすような感覚で旅ができるようになっています。
キャブコンと同程度のサイズで、ワンボックスをベースにしたキャンピングカーも数多いですが、室内高や空間の広さではやはりキャブコンのほうが優位。おまけに装備についても収納スペースやトイレ、電装システムの設置性の高さなどはキャブコンのほうに軍配が上がります。
こうした居住性、装備性、扱いやすさのバランスの良さこそが、キャブコンが“キャンピングカーの花形”であり、“走る別荘”と呼ばれる理由といえます。
キャブコンのベース車両は、ただのトラックじゃない!?
キャブコンのベース車両の定番がトヨタ・カムロード。写真提供/VANTECH
キャブコンのベース車両として最も一般的なのが、トヨタの「カムロード」。カムロードはトラックの「ダイナ」を、トヨタがキャンピングカー専用にチューニングしたモデルです。リアタイヤのワイドトレッド化や専用のリアリーフサスペンションに加えて、発電量を高めたオルタネーターを搭載。もちろん安全運転支援装置も装備しています。
2025年に多くの注目を集めたいすゞ・トラヴィオ。AT限定の普通免許でも運転が可能
次に注目なのがいすゞ「トラヴィオ」。こちらもトラック「エルフミオ」をベースに、専用サスペンションや150Aオルタネーターを装備したキャンピングカー専用モデル。
国内で唯一、ディーゼルエンジンを搭載したAT限定普通自動車運転免許対応のキャンピングカー専用シャシーで、エンジンは直4ディーゼルターボで6速ATとの組み合わせ。誤発進抑制機能やプリクラッシュブレーキ(直進時)など、充実した先進安全機能も標準装備。
ほかにもトラックベースでは、いすゞ「ビーカム」やフィアット「デュカトトラック」をベースにしたモデルがあるほか、一部、トヨタ「ハイエース」などのワンボックスやSUVのボディをカットしたキャブコンも存在します。
ただし、多くのモデルがトラックベースのため、運転席下にエンジンを搭載するなど乗り心地に関してはベース車の影響があるのも事実。
さらにキャブコンはシェルを搭載したことで全高が高いぶん、重心が高くなってしまうことから、乗用車に比べて運転にも気を使う場面が増えてしまいます。
ただ、運転がしにくいかといえばそんなことはなく、慣れていくことで解決できてしまう部分も大いにあります。
キャンピングカーは「動く別荘」なんて言われることもあり、こうした空間を移動させるための運転には少しだけ時間がかかるものだと思って付き合っていくことが肝要です。
キャブコンはいくらかかる? 費用と維持費のリアル
キャンピングカーは普通乗用車よりもコストを抑えられる項目もある
そんなキャブコンですが、近年の物価高騰と原材料の高騰により年々価格が上がってきており、新車では1000万円を超すモデルがほとんど。
購入に関しては乗用車とほとんど同じで、車両価格(オプション装備含む)に加え、自動車税・自動車重量税・環境性能割といった税金と自賠責保険料が発生。また、登録手続き代行費用や納車諸費用、予備検査費用などがかかることもあるので、購入店にて見積書をもらう際にしっかりと確認しましょう。
また普通貨物自動車での8ナンバー車両の場合、自動車重量税が優遇されているため費用が抑えられるほか、車検に関しても初年度2年・継続2年と貨物車の継続1年という車検費用に比べるとランニングコストの面ではお得。
また自賠責保険料についても普通貨物自動車(自家用) 総重量2t超で25か月2万9300円なのが、8ナンバーだと2万580円になるなどメリットがあります。
任意保険はキャンピングカーの保険を取り扱っている会社の数が普通乗用車に比べて少ないため、加入できる会社を探す手間や手続きなどが乗用車に比べてやや大変ということも覚えておきたいポイントです。
20年近くキャンピングカーオーナーの取材をしてきていますが「欲しいときに買うのがいちばん」と話される人がほとんど。まずは全国各地で開催されるキャンピングカーショーや近隣の販売店に足を運んで、販売員からいろいろと話を聞くのが、購入への第一歩なのです。
キャブコンの最新トレンドは「コンパクト」!
ここまでいろいろとキャブコンについてお話ししましたが、ここ2年ほど各ビルダーから続々と登場しているのがコンパクトモデル。
一般的な国産キャブコンのサイズは、全長が4.7~5.2m、全幅だと1.9~2.1mで全高は約3m。
そのなかでも、長さ5m×幅2mの一般的な駐車場に収まるサイズのものが、「コンパクトキャブコン」と呼ばれています。
この背景にあるのは、普通免許で運転できる車両総重量が3.5t未満という制度によるもの。3.5t以上のモデルを運転するには準中型免許以上が必要になってしまうため、各社ともにサイズや重量のコンパクト化を進めています。
また、フェリー運賃でも会社により全長5m未満、6m未満で運賃が異なるところも多く、料金にかなりの差がついてしまうなどもあって、コンパクトモデルの需要が高いこともうかがえます。
さらに小型トラックをベースにしたいすゞ「トラヴィオ」が登場したこともトレンドを生んだ理由のひとつ。
いままではカムロードベースのキャブコンが主流でしたが、これからはトラヴィオも加わることで市場が活気づいていくと予想されています。
キャンピングカーの装備面においても、リチウムイオンサブバッテリーの普及が進んでいるほか、家庭用エアコン・車載用DC12Vクーラーの装着が増加しており、快適性が数年でグングンと上がってきています。
家族みんなでの旅、夫婦2人旅、ペットとの旅の相棒として、コンパクトなキャブコンはますます注目を集めていくことでしょう。

伴 隆之
ばん たかゆき 自動車専門誌の編集者を経て、その後独立。2年ほどカリフォルニアに住んでいたこともあり、アウトドアと旅が趣味。ニュージーランドでのキャンピングカー旅が特に好きで南北計4回ほど走破。旅やキャンピングカーを中心にライススタイル誌などに執筆している。愛車は1967年式イノチェンティ・ランブレッタに加え、日産エルグランドをベースに自身で製作した車中泊カー。現在はキャンピングカー専門誌にて全国のRVパークを紹介する連載も担当中。
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