ベース車+300万円で買えるキャンピングカーは満足できる?企画のキービジュアル
写真・文=大森弘恵

日常使いと車中泊に最適! ベース車+300万円で買えるキャンピングカーは満足できる?

650万円以下で買えるキャンピングカーを、横浜キャンピングカーショー2025でチェック!

キャンピングカー選びの本命は運転しなれたミニバンを架装したバンコンですが、価格帯は幅広く300万円台から800万円以上のラグジュアリーな車両までさまざま。ベース車両によって異なりますが、だいたい車両価格+300万円程度が多いようです。

「横浜キャンピングカーショー2025」で、車両価格+300万円ほどのバンコンにはどんな装備がついているのかチェックしてきました。

目次

限りある予算でどこまで装備をそろえられるのか

「横浜キャンピングカーショー2025」

ベースとなるクルマにベッドを備えたバンコンは、価格帯が幅広い! 同じハイエースベースでもシンプルな400万円台もあれば、上は1000万円を超える車両も。当然、高価格モデルはバッテリーが強化されてクーラーやFFヒーター搭載は当たり前だし、就寝人数が増え、質のよい材料を用いたステキな内装になっています。

見比べていくうちにどんどん高価なバンコンにひかれてしまい、1000万円のバンコンを見た後には800万円クラスでも割安に思えるのは当然のこと。

限られた予算で満足いく装備を積めるのか?

限られた予算で満足いく装備を積めるのか?

でも現実的な予算には限りがあるわけで……いったいどのくらいを目安にすればソロやデュオの車中泊旅に過不足のないバンコンを選べるのでしょう。

キャンピングカーを見比べていると、ハイエースベースのバンコンは600万円台、タウンエースベースだと400〜500万円がひとつのボリュームゾーンだとわかります。ベース車両のグレードにもよりますが架装部分にかかっているのは300万円ほど。

ベース車両+300万円のキャンピングカーにはどんな装備が備わっている? ベース車両+200万円の装備では満足できない? 「横浜キャンピングカーショー2025」で見比べてみました。

がんばりすぎないお手軽車中泊カー

アルトピアーノ

トヨタモビリティ神奈川「タウンエースバン キャンパーアルトピアーノ」(334万2500円/展示車377万6299円)

タウンエースバンにベッドと収納ラック、コーナーテーブル、LED照明を装備したシンプルなバンコンが「タウンエースバン キャンパーアルトピアーノ」で5人乗車/2人就寝。

タウンエースバンが200万円台で、標準装備は非常にシンプル。その分、価格が抑えられています。日常使いが中心で、ときどき車中泊旅をするならこれに断熱静音加工+遮光スクリーン+網戸2枚(合計約28万円)を加えれば十分ともいえます。

とはいえ真夏や真冬はこれだけでは心もとないのは確か。車内で電気毛布や扇風機、IHを使い、スマホやパソコンの充電もするならやはり電気系の強化はマスト。

オプション表を確認すると、走行充電とサブバッテリーの「基本電源ユニット」や正弦波1500W電源、外部電源差し込み口をまとめて約67万円。クーラーやFFヒーターの設定がないので、予算を500万円とするなら外部電源差し込み口(約14万円)と手持ちのポータブル電源とポータブルエアコンを追加してもよさそう。

アルトピアーノ

テーブルは高さを変えられる。下段は向かい合って座るときにちょうどいい高さ

洗練されたインテリアに装備が充実

スイープ

カトーモーター「Sweep(スイープ)」(440万7700円/展示車545万2700円)

タウンエースにカセットこんろと給・排水タンク、電子レンジ、冷蔵庫を備えたキッチンが自慢。天然木を使ったインテリアもステキです。スライドレール付きで展開しやすいベッド、そして電気系は外部電源と100Ahサブバッテリーなど標準装備だけでもなかなかの充実ぶり。

悩ましいのはAC電源サイトのないオートキャンプ場での対策でしょう。

電子レンジや家電を使うならオプションのインバーター(17万6000円)が必要だし、できればバッテリーを強化したいので200Ahリチウムイオンバッテリー(44万円)が欲しいところ。

これで500万円(タウンエースの車両価格+300万円)ほどになります。

予算を車体価格+300万円とするなら、オプションのクーラー(55万円)とFFヒーター(27万5000円)は明らかに予算オーバー。なんとか予算内に収めようと思うなら、リチウムイオンバッテリーをあきらめ、重くてかさばりインテリアとマッチしない可能性もありますが、手持ちのポータブルエアコンに置き換えるなど工夫が必要です。

スイープ車内

天然木を生かしたインテリア。2列目シートと横向きベンチシートを備え、6人乗車/2人就寝

スイープギャレー

シンクは電子レンジの下に格納されていてスッキリ。給排水タンクはシンクを引き出してから取り出すスタイル。隣には冷蔵庫が収まっている

ペット旅にうれしい大型ケージ対応バンコン

リッツ

リンエイプロダクト「ファシールバカンチェス リッツWAN」(450万円/展示車585万1900円)

リンエイプロダクト40周年記念モデル。ハイエース・ナロー・ロング・標準ルーフを用いたファシールバカンチェスシリーズのペット対応バンコン。大型ケージを搭載できるよう、2段ベッドを搭載して6人乗車/2人就寝になっています。もちろん、小型のキャリーケースであれば2列目や運転席と助手席の間に置いてもOK。

標準装備はカセットこんろ、各10Lの給・排水タンク、走行充電、サブバッテリーなど。ペットケージのスペースを確保していることもあり、装備は厳選されています。

展示車はFFヒーターやコンセントなどを搭載してこの価格。

ペットの健康を考えるとFFヒーターをあきらめ、クーラーと外部電源を追加したほうがいいかも。いずれにせよ装備を吟味する必要があります。。

ベッドマットは比較的軽めで扱いやすい設計

ベッドマットは比較的軽めで扱いやすい設計

リッツギャレー

大型のペットケージもこのとおり。ケージの隣には高さを抑えたコンパクトなギャレー

リッツシンク

小さいけれどシンク付き。後部に備えられておりペット連れには特に使いやすい

必要装備が大体そろって親子旅にも使える

グランドバケイション

キャンピングカーオーゼット「Grand Vacation(グランドバケイション)380 CARAVAN」(612万円/展示車634万9984円)

最低価格が600万円を超えていますが、キャラバン グランドプレミアムGXをベースとしているので、プラス300万円=650万円ほど。

標準装備は各10Lの給・排水タンク、外部充電、走行充電、12Vクーラー、1500Wインバーター、375Ahリチウムイオンサブバッテリーなど。クーラー付きなのが高ポイントです。展示車のオプションは冷蔵庫やオートスライドドア、プラスチックバイザーなど。冷蔵庫以外、居住性への影響は少なめです。

オプションで必須といえるのが6面遮光カーテン(7万9200円)、冬も旅するならFFヒーター(29万8000円)。この2つと冷蔵庫(3万8500円)を選択すれば大体650万円になりました。

それに、2段ベッドのおかげで7人乗車/大人2人・子供2人就寝を実現。少々手狭になりますが親子3〜4人旅にも使えるので子育て世代は一考の価値があります。

マルチルーム付きのタイプR2B、リアエントランスのタイプDCもあります。

グランドバケイション車内

シンプルながら、クーラーやシンクを備えた車内。下段ベッド下はたっぷり収納スペースになる

グランドバケイション電源

走行充電やサブバッテリー375Ahなど電源まわりは充実していて冷蔵庫利用OK

グランドバケイションシンク

後部にちっちゃなシンクを装備。蛇口は伸縮タイプで足の汚れを落とすなんてことも可能

1DK仕様でプライバシーを確保できる

NICO

Dream Drive「NICO」(590万円〜)

NV350・スーパーロング・標準幅・ハイルーフをベースに常設ダブルベッドやサブバッテリー(100Ah)、1000Wインバーター、走行充電、外部電源、タンクなどを標準装備。キャビネットや床、天井などにはVOC(揮発性有機化合物)や化学物質を含まない木材、合板を利用しているのも安心です。

ベース車+300万円=650万円ほどを予算とするなら、オプションを60万円分ほど追加できます。オプションは「FFヒーターパッケージ」、追加バッテリーやソーラーパネルシステムなど電気系を強化する「パワープラスパッケージ」、そしてバグネットや遮光カーテン、マックスファンの「おすすめパッケージ」を用意しています。

価格は明記されていませんが、予算内で全部盛りは厳しそう。サーモウール断熱で車内が快適になる「FFヒーターパッケージ」が本命で、遮光カーテンやバグネットは自作するのが現実的でしょう。

NICO車内

車内を目いっぱい使えるダブルベッドを常設し、3人乗車/2人就寝。オプションのバグネットを使えば風通し良好。ベッドとギャレー部分をカーテンで区切ることも可能だ

NICOギャレー

助手席後ろにシンクを装備。シンク脇にシャワーを差し込めるのでペットの脚や大型の道具を洗うときに重宝する

NICO収納

ベッド下はレールがついていて奥にあるものを引き出せる仕様。後ろに引き出すほか、手前への引き出し、ベッドマットを取り外して上から取り出す収納場所もある

工夫も必要だけどなかなか快適

ストレスなく車内で過ごすために必要なのは断熱施工とカーテン。サブバッテリーやインバーター、走行充電、外部充電差し込み口といった電気系も充実させたい装備です。目的地にもよりますがペット連れならクーラー、積雪エリアではFFヒーターもマスト。

ベース車+300万円ほどですべてをそろえるにはギリギリで、時にはあきらめざるえないものもありますが、ポータブル電源併用など工夫次第で対応できるとわかりました。

なお、今回は展示しているキャンピングカーの最低価格と標準装備でチェックしましたが、ベース車と装備が同じでもファブリックやカラー、床や天井の木材にこだわると価格はどんどん上がります。

キャンピングカー選びで譲れないことはなにか。イベントや販売店に向かう前に強く意識しておけば、“想定外の予算オーバー”を防げます。

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!