軽キャンピングカーだって、無理せず家電を使って快適車中泊を実現!
大容量リチウムイオンバッテリー搭載で軽バン旅の『ガマン』を払拭した注目の3モデルリチウムイオンバッテリーの小型・大容量化が進み、300Ah以上のサブバッテリーを搭載する軽キャンピングカーが登場しています。「お台場キャンピングカーフェア2024」で1500W以上のインバーター、急速充電ができるチャージャーなどを装備した本気で遊びにも仕事にも使える軽キャンピングカーを、キャンプ・車中泊好きのライター・大森弘恵さんが探してきました。
標準装備の冷蔵庫や電子レンジを無理なく使える
ロータスRV販売「ekクルーズ・コモド CVT 2024」
スクラムバンをベースにした「ekクルーズ・コモド」は100Ahの鉛ディープサイクルサブバッテリーと1500Wインバーターを搭載していますが、DCクーラーを選択すれば、セットでリチウムイオンサブバッテリーにグレードアップ。標準の電子レンジやポータブル冷蔵庫にクーラーが加わった快適軽キャンになります。
「ekクルーズ・コモド」のリチウムイオンサブバッテリーを最大300Ahまで増やせば、1泊であればバッテリー容量をさほど気にせずクーラーの使用もOK。
鉛ディープサイクルバッテリーから高価なリチウムイオンバッテリーにわざわざ変えなくても……と考えてしまいますが、リチウムイオンバッテリーは長時間使っていても電圧の変化が少なく安定して家電を使え、消費電力の大きな家電を動かすのも得意。クーラーの使用に向いています。使い方や環境によりますが、充放電回数は鉛バッテリーと比べて6倍ほど長寿命なこともメリットです。
上部に電子レンジとテレビが備わっており、ベッドは幅1100×長さ1820mmのセミダブルサイズ。4人乗車(リチウムイオンバッテリー搭載車は3人)/2人就寝
運転席の後ろにリン酸鉄リチウムイオンサブバッテリーを搭載しています。1500Wインバーターや35Aバッテリーチャージャー、40A走行充電などは後部の床下に設置
運転席側キャビネットのテーブル下にサブバッテリーのモニターがあります。コンセントや12Vのソケットもこちら
標準装備のポータブル冷蔵庫は容量14L。クーラーボックスとはちがって温度管理しやすいので夏の生鮮食品も安全に保管できます
最大300Ah積載可能。ペット旅にうれしいレイアウト
ケイワークス「エクスクルーシブ ミニ バード」
アトレーをベースとする「エクスクルーシブ ミニ バード」の場合、標準で電子レンジを装備しており、サブバッテリーはリチウムイオンで105Ah。
標準装備もなかなかのものですが、クーラーパッケージを選べばDCクーラー設置と同時にリチウムイオンバッテリーは210Ah(最大300Ah)に増量。2000Wインバーターを搭載しているので電気ケトルやIHクッキングヒーターも使え、車内で調理を完結できます。
パッケージオプションで、サブバッテリーチャージャーを50Aへアップグレードできるのも心強い設定。
ベッド後部の幅は1050mm、ペットとのひとり旅でのびのび眠れます。シートの座面床を利用したアウトサイドテーブル、ペットの脚を洗うのに便利な伸縮シャワー付きシンクなど、バックドアを開ければペットと過ごすのに心地いい空間が作れます。2名乗車/2名就寝
オプションのDCクーラーは運転席の後ろあたりに設置。標準のリチウムイオンサブバッテリー(105Ah)で4時間、300Ahにすれば半日以上使えるそう。周辺にはUSBポートやバッテリーの残量を確認できるパネル、スイッチ類が備わっています
外側から見ると、運転席側にはシンクのほかにオプションのFFヒーター(※)を取り付けられることがわかります
※タンク内のガソリンを利用して燃焼させるヒーター
運転席側のベッド下は長物の収納に使うほか、この部分のベッドマットを取り外して横向きに座れるようになっています。キッチンには跳ね上げテーブルが付いているので、車内での調理や食事、そして事務作業に重宝
コンロは備わっていませんが、電子レンジがあれば車内で安全に調理できます。寒い時期にうれしい装備
サブバッテリーの充電は1泊旅であれば走行充電でまかなえますが、同じキャンプ場に2〜3泊する滞在派であればオプションの236Wソーラーパネルを選択すると安心
驚きの400Ahサブバッテリーで一晩中クーラーを稼働しても余裕あり
ATV群馬「RS1ネクスト」
エブリィワゴンの架装を行ってきたATV群馬の意欲作が「RS1ネクスト」です。エブリィバンをベース車とすることで重量のあるバッテリーをできる限り搭載しています。
軽キャンピングカーの場合、大容量というものでも100Ahほどですが「RS1ネクスト」はリチウムイオンバッテリー400Ahを標準装備。
今や当たり前の装備となったDCクーラーを使うとすれば、条件にもよりますがエンジンを止めて12時間ほど稼働させてもバッテリーは半分以上残っているそう。12時間も使えればAC電源ポストのないキャンプサイトでも朝までぐっすり眠れます。
もちろん走行充電が可能で、バッテリーが空になっても6〜7時間走行すれば満充電に。6時間も走行するの? と思われるかもしれませんが、1泊では空にならないので十分実用的と言えます。
あえて2人乗車/2人就寝とすることでベッドメイクは簡単。助手席側にはベッド下に靴を置けるようになっています
助手席側に400Ahリチウムイオンバッテリーと2000Wインバーターを備えています
ライトのほかDCクーラーを一晩中動かしてもバッテリーは半分くらい残るそう。このゆとりは助かります
コンセントやUSBポートのそばにバッテリー残量を確認できるモニターがあります。バッテリー容量に余裕はありますが、それでも機器をつなぐときにチェックできるのが便利
床下の最後部にFFヒーターも。高所自動対応モデルなのでスキー場のキャンピングカーサイトで頼りになります
運転席裏側には長尺物が入る床下収納があります
架装の条件が厳しい軽キャンピングカーですが、大容量サブバッテリー搭載車ならキャブコン並みに家電を使えます。決して広々……というわけではありませんが、車体がコンパクトなのでクーラーやヒーターの効きがいい。ソロや親子ふたりでの気ままな旅がいっそう快適になりますよ。
大森弘恵
おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R