アレンジ自在! 自分好みに仕上げるキャンピングカー&車中泊カー
ちょっとだけ手を加えて世界で1台のクルマに仕上げようベース車を購入して自分好みのキャンピングカーを作る……そんな憧れはあっても、DIY初心者には夢のまた夢。板張りや配線の技術はおろか、工具をそろえるのもひと仕事です。
日本最大級のキャンピングカーイベント「ジャパンキャンピングカーショー2025」で、少しだけ手を加えるのにちょうどいい車中泊&キャンピングカー、そして車中泊カーのアップグレードに便利な後付けパーツを、キャンプ・車中泊好きのライター・大森弘恵さんが探してきました。
自分でアレンジできれば
変化する車中泊旅スタイルにも対応
プチアレンジしやすいクルマなら、変化する車中泊スタイルにも対応
車中泊&キャンピングカーは、ユーザーのイメージを伝えることで、世界でたった1台の理想のクルマに仕上がります。けれども実際に車中泊旅をしていると、「この棚はなくてもよかった」「ここに収納がほしい」など、ちょっとした不満が生まれてくるもの。また、年月がたつと旅のスタイルも変わり、好みのレイアウトも変化します。
大がかりな変更はプロに任せるけれど、少しの変更は自分で対応したい……そんな希望を叶えてくれるのが「tac・luc for エブリィ」です。
好きな場所に棚を取り付けられる
ワークヴォックス「tac・luc for エブリィ」
新しいラックシリーズ「tac・luc」。好きな方向にパーツを取り付けられるので好みの場所に棚や机を作れます。ネジでしっかり固定できるので振動が気になる場所でも安定感あり
この話題の「tac・luc」を搭載したエブリィが「tac・luc for エブリィ」。こう見えて4人乗車/2人就寝の車中泊カーです
両側に「tac・luc」を取り付けています。ベッドマットを広げたときに邪魔になる棚をベッド下に移動させるなんてことも簡単
有孔ボードに似ていますが穴の形が"※"。だから専用フックや棚のほか、S字フックやショックコードといった市販の有孔ボード用アクセサリーも取り付けOK。この拡張性が魅力です
マグネット製有孔ボードで
小物整理が簡単&ガタつかない
室内灯の変更も簡単
かーいんてりあ高橋「リラックスワゴン KAKUKAKU」
「リラックスワゴン KAKUKAKU」は標準ルーフのハイエースをベースにしたキャンピングカーで、両側スライドドアを活かしたレイアウトが楽しい1台。
「tac・luc forエブリィ」同様、有孔ボードを採用していますが「リラックスワゴン KAKUKAKU」のボードはマグネット対応。磁石を上手に使えば走行時に発生する吊した小物のがたつきも気になりません。
すっきりとしたレイアウトですが、運転席側の後部窓には磁石がくっつくパネル「まぐねっぴー」を搭載していて磁石付きケースで小物収納が可能。縦型の穴を利用して手持ちの棚やケースを取り付けるのもOK。この「まぐねっぴー」は200系ハイエース用に販売されているので愛車に後付けできるのもうれしいポイント
家庭照明用シーリングアダプターを標準装備。好みの照明にできるのは新鮮です
走行充電システムを搭載していてリチウムイオンバッテリー200Ah、ソーラーパネル160W、インバーター1500W。クーラーやFFヒーターなど快適装備も安心して使えます
運転席後ろに調理台と容量49Lの 冷蔵庫、収納庫。助手席後ろは流し台。作業台の上のライトも交換可能です
インダストリアルなインテリアなら
デュカトだって簡単アレンジ
仕立て済のゴージャスな内装になりがちのフィアット・デュカトも、ホワイトハウスの手にかかればこのとおり。天井や壁、リアゲート、そして家具に至るまでいろいろなところに環境に配慮した有孔ボード「クリップウォール」を貼りつけた「DUCATO CARGO CLIPS」はインダストリアルな雰囲気がプンプン漂っています。
「マルチクリップ」という専用金具を「クリップウォール」に取り付けることで吊す、固定するなど思いのまま。ラック類のオプションも豊富で、好きな位置に取り付けられます。4人乗車/2人就寝。
おしゃれ有孔ボードが新鮮
ホワイトハウス「DUCATO CARGO CLIPS」
あらゆるところに「クリップウォール」が貼られていてレイアウトの可能性が広がります
オーストリア生まれの「クリップウォール」と「マルチクリップ」を採用したデュカト。ラック類の取り付け位置を自由に選択できるだけでなく、羊毛の断熱材を採用しているので遮熱・遮音・調湿効果も期待できます
「クリップウォール」には「マルチクリップ」を使って20cm単位でラックなどを配置できます。オプションには「USBソケット」や「スポットライト」などもあり、設置場所を細かく指定できるのもポイント
【要注目!】
手持ちのクルマで走行充電を可能にするキット
車中泊カー向きの走行充電システム(左)とコンパクトなオフグリッドシステム(右)
ここでは愛車をアップグレードしたい人の助けとなるアイテムをご紹介。
まずは2024年6月に発表されるや大いに話題となったEcoFlowの「オルタネーターチャージャーシステム」です。
余剰電力を利用して走行中に最大800W出力、わずか1.3時間で1000WhのEcoFlow製ポータブル電源に充電できるシステムで、急速充電器・メンテナンス装置・メインバッテリーへの逆充電の機能がひとつになっていて非常にコンパクト。
取り付け自体はDIY知識があれば可能ですが、取り付け位置や配線の処理によってはトラブルに発展する危険があるため販売店など専門家への相談は必須です。
とはいえコンパクトなクルマでも走行充電を後付けできるのは大きな魅力となります。
シガーソケットよりも高速に充電
EcoFlow「オルタネーターチャージャーシステム」
長期の車中泊旅、万一の避難時にもうれしい走行充電システム。スマホのアプリで充電状況を把握できるのもイマドキです
「オルタネーターチャージャーシステム」に対応するのは「DELTA」シリーズのみ
会場内には同システムを採用したキャンピングカーがちらほら。キャンパー鹿児島「BANKONG」もそのひとつです
「BANKONG」の後部には「DELTA3 Plus」とオプションの「エクストラバッテリー」、そして「オルタネーターチャージャーシステム」が設置されていました。ベッドメイク時は「エクストラバッテリー」を床に置くという使い方
2024年11月に発売された「RIVER 3」シリーズも展示されていました。走行充電システムには対応していませんが、コンパクトでありながらAC出力600W(サージ1200W、X-BOOSTで最大900W)、無停電電源装置としても機能する実力派。写真は容量を572Whに拡張した「RIVER 3 MAX」
200系ハイエースのスライドドア用窓を開閉
200系ハイエースの電動スライドドアは窓が開かないし、手動のスライドドアの小窓も使い勝手が今ひとつ。そんな不満を解消してくれるのが4月発売予定のLEGANCE「ガルウインドウ」です。
内側からロックを解除し、軽く押し出すことで窓全体が外側に開く「ガルウインドウ」は、網戸とシェードを標準装備。販売店での取り付けとなりますがドアを閉じたまま換気しやすくなる待望のパーツです。
また、オプションで積極的な換気を助けてくれるファンも用意されるとのこと。あわせて使えば駐車時の車内環境が格上げされそう。
今回は初お披露目のクルマを中心に紹介しましたが、既存の車両も含めるとプチカスタムができる車中泊カーはまだまだあります。
少しずつ自分にとって最高の1台を作りあげる。そんな車中泊&キャンピングカーユーザーの醍醐味を堪能してください。
大森弘恵
おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R
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