ポータブル電源とクルマで使える調理家電で車中泊がより便利&楽しくなる!
車中泊の基本から応用テク、マナー・ルールまで、最小限の準備で始める手軽なクルマ旅をレクチャー手軽なクルマ旅の手段として需要が高まる車中泊。さまざまなノウハウやアイテムで車中泊はより楽しく、快適になります。今回はエンジンをかけなくても電気製品が使えるポータブル電源と、車内で使える調理家電をクローズアップします。指南役は車中泊の専門家であるライトキャンパースタイル編集長の霜田奈緒さんです。
ポータブル電源は用途に合わせた容量で選ぶべき
大容量のバッテリーと、家庭用のAC電源やUSBソケットを備えていて、コンセントがない場所でも、家電が使えたり、スマートフォンの充電ができるポータブル電源。ここ数年、災害時の備えとしても注目されていて、一家に一台とも言われている便利アイテムです。
車中泊という特別な時間においても、ポータブル電源は非常に便利です。車中泊をするときは、周囲の迷惑や環境も考えて、エンジンOFFが基本です。となると、電気機器の使用や充電はクルマの装備ではできません。そこで活躍するのがポータブル電源なのです。
普段の外出時にスマートフォンの充電に使われるモバイルバッテリーも同様の機能ですが、モバイルバッテリーはスマホなどの充電に特化しており、基本的にはUSB端子のみを備えていて、バッテリーの容量も出力も小さいため、家庭で使うような出力の大きな家電は使えません。車中泊時の家電利用においては、ポータブル電源が必要なのです。
ポータブル電源の選び方
ポータブル電源は、家電量販店やアウトドアショップ、通販ショップで購入が可能ですが、さまざまなメーカーから販売されていて、種類が多いため、初めて購入する人は、どれを買ったらいいのか迷うと思います。そこで購入時のポイントを整理しましょう。
まず1つ目は「容量」です。容量とはバッテリーの大きさで、満充電の状態で使用可能な電気の量を示します。もっともわかりやすいのはWh(ワットアワー)と呼ばれる単位で、1時間あたりの消費電力を表します。たとえば、1,000Whのポータブル電源であれば、定格で100Wを必要とする家電を10時間使えるということになります。容量を決める際は、車中泊時にどんな家電を使うのかを考えるといいでしょう。車中泊で使う家電となると、ある程度限られますので、自分がどんなものを、どのくらいの時間使いたいのかをはっきりとさせてから、容量を選びましょう。もちろん、家でも使いたいという人は、容量の大きなポータブル電源が必要となりますが、容量が大きくなると、ポータブル電源の重量が増し、大きくもなります。車内の置き場や持ち運びの利便性もあわせて考えておきましょう。基本的な1泊程度なら500〜600Wh、2泊以上する、または消費電力の高い家電を使う場合は、1,000Wh以上のモデルを選ぶといいでしょう。
調理家電や冷蔵庫など熱や冷気が必要な家電は比較的消費電力が高いです。使用する場合は、しっかりと消費電力を把握しておきましょう
電気毛布の消費電力は比較的小さいですが、長時間使う前提なので、それを考えた上でポータブル電源の容量を選びましょう
さほど容量を必要とせず、電子機器の充電程度でよければ、こんなコンパクトなポータブル電源もあります
車中泊に便利なコンパクト家電の消費電力の目安
製品 | 消費電力(W) |
炊飯器(1合炊き) | 約100〜200W |
電気調理鍋(1Lクラス) | 約600〜800W |
ポータブル冷蔵庫(30Lクラス) | 約30〜50W |
ホットプレート | 約1,000〜1,200W |
ホットカーペット(1畳サイズ) | 約100〜200W |
電気毛布 | 約100W |
ドライヤー | 約1,000〜1,200W |
モバイルプロジェクター | 約30〜100W |
2つめのポイントは「端子の種類」です。基本的には、いわゆる家庭のコンセントで使うAC電源と、スマホなどの充電に使うUSB端子が付いていますが、検討すべきポイントは、AC電源の端子の数と、USB端子の種類および数です。AC電源の端子は、できれば2個以上あるほうが便利です。
家電をメインで使っているときも、たとえば電子機器の充電に使うなど使い勝手が良くなります。またUSB端子は現在主にUSB-AとUSB-Cの2種類が使われていて、スマホの充電などはUSB-Cが増えています。古いタイプのポータブル電源だと、USB-A端子のみの場合もありますので、自分の充電環境を考えて選びましょう。
AC電源に加え、USB-A端子、USB-C端子を備えたポータブル電源。モデルによっては、シガープラグが使えるものもあります
3つめのポイントは「給電方法」です。基本的には旅に出掛ける前に自宅のAC電源から給電すると思いますが、車中泊で長旅をする際、できれば移動中も給電ができると便利ですよね。
その際は車載のシガーソケットから給電できるコードが付属しているものを選びましょう。また、オプションでソーラーパネルが設定されているポータブル電源もあります。車中泊の間、キャンプ場などで過ごす方は、ソーラーパネルを使うのもアリですね。
車中泊で使う場合は、ACでの給電に加えて、シガーソケットからも給電できるコードが付属していると便利です
モデルによっては、オプションで給電用のソーラーパネルを設定しているものもあります。車中泊だけじゃなく、キャンプにも使うという方は持っていると便利です
写真右がUSB-A端子、左がUSB-C端子。最近の電子機器はUSB-Cの使用が増えています
車中泊ならこんな調理家電が使えます
さて、ポータブル電源を手に入れるとすると、スマホの充電だけに使うのはもったいないですよね。そこで、車中泊におすすめの調理家電を紹介していきましょう。車内で電気調理をするメリットは、火を使わないから安全ということです。当然ですが、車内でガスコンロを使うには、しっかりとした換気をしないと一酸化炭素中毒の危険性があり、そもそも不安定な場所にコンロを置くことすら危険です。それでも温かいもの、できたてのものを食べたいですよね。そんな時に活躍するのが調理家電なのです。いまは車中泊がブームということもあり、車内で使えるコンパクトな調理家電が多くラインナップされています。調理家電を活用できるようになると食事のバリエーションが増え、車中泊の楽しさも増していくはずです。
炊きたてのご飯が食べられる「炊飯器」
1合分だけ炊けるコンパクトな炊飯器。炊きたてのご飯が車内で食べられるのは幸せです
最近はお一人さま向けの調理家電が増えていますが、それらは車中泊で使う家電としても便利です。まずは炊飯器。1合炊き炊飯器は、サイズもコンパクトで、車内で使っても場所をとりません。水と米(無洗米ならさらに楽チン)を用意するだけでOKだし、15分程度で炊けるものもあります。旅先でおいしそうなご飯のおかずを買えば、簡単に炊きたてのどんぶり飯が食べられますよ。
お一人さま鍋が簡単に作れる電気調理鍋
電気調理鍋はとっても使い勝手が良い調理家電。車中泊向けに1〜2人用サイズとして売っているものは1万円以下で購入でき、お手軽です
電気で調理が可能な電気調理鍋。火を使わないので、車内で使用しても一酸化炭素中毒の心配をすることなく、温かい鍋や麺類が簡単に調理できます。
写真は1人前のインスタントラーメンに、メンマ、チャーシュー、卵をトッピング。ご当地のインスタントラーメンを車中泊で食べるのも楽しいですよ。おすすめは保温機能を持ったもの。できあがった鍋を最後まで冷めることなく食べられるのは、冬の車中泊ではとってもありがたいです。
キンキンに冷えたビールも飲めるポータブル冷蔵庫
夏場はとくに便利なポータブル冷蔵庫。食材が悪くなる不安がなく、安心して旅を楽しめますよ
ポータブル冷蔵庫は、とくに夏場の車中泊において、とても便利な家電です。ものによっては、スマホで温度設定や確認ができたり、冷凍室を備えていたりと多機能なものも多いです。ただし、容量が大きければその分消費電力は大きいですし、温度を低く設定すれば、さらに消費電力が大きくなります。長時間使う家電と考えると、ポータブル電源の容量はかなり余裕を持っておいたほうがいいです。現地で購入した食材の保冷はもちろん、キンキンに冷えたビールやジュースが飲めるのはポータブル冷蔵庫ならではの楽しみです。
車内で焼き物が楽しめるホットプレート
20㎝角程度のコンパクトなホットプレート。車内で使うにはちょうどいいサイズです。油を使う場合は、フタ付きだと周囲が汚れずに便利です
ご当地のお肉や魚、野菜を焼きたいとなれば、ホットプレートが必要ですよね。これも電気調理鍋同様に、ひとつ持って行くと車中泊飯の幅が広がります。写真のホットプレートは、電気調理鍋の上部分を交換してホットプレートにできるもの。荷物を減らすためには、こういった一石二鳥な調理家電を見つけるのもポイントです。なかにはたこ焼き用プレートがオプションで購入できるようなものもありますよ。車中泊でタコパなんて楽しそうですよね。
手持ちの鍋が使えるIHクッカー
手持ちの鍋やケトルだけじゃなく、IH対応の鍋付きインスタントうどんなども調理できるのがIHプレートの魅力です
車内でさまざまなものを加熱調理したいという場合は、IHプレートがおすすめです。食事を作るための鍋から、食後のコーヒーやお茶をいれるためのケトルまで、この家電一つでこなせるという点で、とっても便利です。写真はプレート部の面積が20㎠と超コンパクトなサイズで、車内で使っても邪魔になりません。火力調節ができて、保温機能が付いていると、さらに便利ですよ。
調理家電を使うときはフラットな場所に置く
車中泊スペースが不安定な場合は、テーブルなどを使って、安定感がある場所を用意しましょう。
火を使わないとはいえ、鍋を倒すなどトラブルが起こればヤケドの危険性も大いにあります。汁ものが多少こぼれても車内を汚さないよう、縁のあるテーブルがおすすめです。
当たり前ですが、運転中に調理家電を使うのは危険ですので絶対にやめましょう。
いかがでしたでしょうか。今回紹介したポータブル電源と、調理家電があれば、滞在場所でエンジンをかけなくても、電源付きのオートキャンプサイトに行かなくても大丈夫なので、車中泊の楽しみ方の幅を広げてくれます。ぜひ、自分の車中泊スタイルに合ったモデルを探してみて、最高の『車中泊食』を楽しんでみてください。
霜田奈緒
しもだ・なお 2001年から、月刊誌を中心に、300冊以上の編集に携わってきた自動車専門誌の編集者。子供の頃から車好きで、親が乗っていたボルボ240の音を聞き分け、親の帰宅を察知し勉強を始めていた。好物はジャンル・時代問わずの車のカスタム・チューニング。近年はキャンプにハマり、愛車もアウトドア仕様。ギャラン、レグナム、GTO、アストロ、ボルボC70、トゥーラン、XC70と、とりとめのない愛車遍歴。
簡単・快適!車中泊マニュアルの記事一覧

冬の車中泊、寒くて眠れない原因は寝袋にあり!? プロが教える寝袋の選び方
2025.01.30
計算された居心地の良さ。 車内を広く見せる車中泊カー作りのポイントとは?
2024.11.27
足を伸ばして眠れる自作キャビンでサーフトリップへ! 穴をあけずに作った車中泊仕様ハイラックス
2024.11.26
車中泊カー作りのヒントがここに! ちょっと手を加えるだけでゴキゲンな車中泊ライフ
2024.11.25
車中泊のベストシーズンとなる 秋・冬の『寒さ対策』
2024.11.23
車中泊旅の重要な着替えや移動が楽! 車内で立ち上がれるバンコン3選
2024.11.16
軽キャンピングカーだって、 無理せず家電を使って快適車中泊を実現!
2024.11.15