真夏でも車中泊旅がしたい! グッズとテクニックで暑さ対策
車中泊の基本から応用テク、マナー・ルールまで、最小限の準備で始める手軽なクルマ旅をレクチャー夏の車中泊で課題となるのは、暑さ対策。エンジンをかけてエアコンを使用しながら滞在するのはNGですので、第3回となる今回は、車中泊における暑さ対策を、車中泊の専門家であるライトキャンパースタイル編集長・霜田奈緒さんが紹介します。
真夏の車中泊は危険。しっかりとした暑さ対策を
車中泊やキャンプは、日中や夜も過ごしやすい春や秋がおすすめですが、夏はまとまった休みが取りやすいですし、海水浴や花火、お子さんがいれば虫捕りなど、夏ならではの楽しみが多くありますよね。だからこそ、夏も車中泊旅に出かけたい! そして、そのために気を付けておかなければいけないのが、『暑さ対策』です。
夏場の車内温度はものすごく高くなります。JAFが行ったテストによれば、炎天下の中、エンジン停止後わずか30分で車内温度が45℃まで上昇するという結果が出ています。夏場の車中泊旅で、日中車内に留まるということはないと思いますが、日が落ちた後であっても、気温は高く、何の対策もしない場合は、寝苦しくなるでしょう。また、夏は日が昇るのが早いので、寝ている間に車に日が当たれば、車内温度は一気に上昇していきます。
一般的に、夏場快適に寝られる気温は25℃~27℃程度と言われています。暑いからといってエンジンをかけたままで車中泊をするのはNGです。そこで必要なのが車内の温度を下げる、体感温度を下げるための対策です。これから紹介するようなグッズを手に入れて、しっかりと対策をした上で、夏場の車中泊を楽しみましょう。
手軽に買えるグッズで簡単暑さ対策
まずはお手軽に購入できて、簡単に使える暑さ対策グッズを紹介しましょう。どれもが1万円以下で購入でき、リーズナブルなので、夏場の車中泊を考えている人は、ひと通り手に入れておくといいと思います。収納もかさばらないので、夏用グッズ一式として、コンテナにまとめておけば、取り出すのも簡単です。
日差しはおさえて風通し抜群
メッシュカーテン
汎用もしくは車種専用のメッシュカーテン。ウインドーを開けたドアに上から被せるタイプや、窓枠にマグネットで取り付けるタイプなどがあり、どれも簡単に使える。黒いメッシュを採用したものが多く、車外から車内は見えにくい
夏の日差しを反射して車内温度上昇をふせぐ
サンシェード
ガラス面に日差しがあたると、車内の温度は急激に上昇します。それを防ぐためには断熱効果、遮熱効果のあるサンシェードがおすすめです。窓を隙間なくカバーできる車種別設計であれば、より効果的です
電池やバッテリー駆動で簡単に車内換気
ポータブル扇風機
車内でも安心して使えるコンパクトな扇風機。大きな電力は必要なく、乾電池やポータブル電源などでも十分に使いこなせます。上下左右に風向調整できるものや、コンパクトでアシストグリップなどにぶら下げることができるものが便利です。タイマー機能があれば冷やしすぎも防げます
肌触りひんやりで寝心地アップ
冷感マット
ひんやりする肌触りの敷きマット。触り心地が良く、体感温度が下がるので、寝心地が良くなります。同様にひんやりする枕も。基本は家用なので、サイズはシングルやダブルなどベッドサイズです。車内の就寝スペースに合わせたサイズを購入して使いましょう
本格的キャンプギアでしっかりと夏対策
お手軽なグッズでの対策はリーズナブルですが、もっと本格的に暑さ対策を施したいという人は、夏向けのキャンプギアもおすすめです。カーサイドタープは比較的車種を問わず取り付けが可能で、日よけはもちろん、荷物置き場やくつろぎの場としても便利です。そして究極はポータブルクーラー。本格的なものは10万円を超える高価なものですが、うまく使用すれば夏の車内でも快適な空間を実現できます。
車に当たる日差しを遮る
カーサイドタープ
車のサイドやリアに取り付けるタープは、ボディやウインドーに当たる日差しを遮ることで、車内温度の上昇を防ぐことができます。また、車内の荷物をタープ内の下に置いておけば就寝スペースに余裕ができるので、広々と寝られます。ただし、カーサイドタープはどこでも使えるわけではなく、オートキャンプ場など、タープの展開が許可されている場所で使いましょう。道の駅など公共の駐車場で使用するのはNGです
大容量のポータブル電源があれば、クーラーも使える
最近では、持ち運んで使用することを前提に作られているポータブルクーラーも人気のグッズです。電源は付属のバッテリーやポータブル電源を使用します。エアコンの仕様にもよりますが、かなり電力を必要とするモデルが多いので、ポータブルクーラーの使用電力が、ポータブル電源の定格出力を超えないよう、購入時に互いのスペックをチェックしておきましょう。キャンプ場の電源サイトなど、家庭用コンセントが使える場合は、それを使えばOKです。念のため延長コードを持って行くと便利ですよ。
車内外で使用可能なポータブルクーラー。車のエアコンと比べてもまったく遜色のない冷風が出ます。製品によっては、排気ダクトを車外に出す必要があるなど、ちょっとした手間もかかりますが、家でも使えるし、これは便利です。アウトドアショップやカー用品店などで購入できます
ダクトからの熱風を車外に逃がすなど、ちゃんと使いこなせば、車内温度が20℃以下にもなり、春秋のような快適車中泊も実現できます
少しでも体感温度を下げるための『0円』テクニック!
最後はグッズに頼ることなくできる0円対策を紹介します。少しでも安価に車中泊を楽しみたいという方は、ぜひ実践してみてください。とはいえ、これだけでは足りませんので、必要に応じて、グッズは揃えたほうがいいでしょう。
日が当たらない場所に車を置く
夏場の車中泊で少しでも快適に過ごすためには、できる限り日なたを避け、木陰など日が当たらない場所に車を置くことです。ボディに日が当たることを避けられれば温度上昇も抑えられますよ
標高の高い場所で車中泊
標高が100m上がると、気温が約0.6℃下がると言われています。であれば、海のそばで車中泊するよりも、標高1,000mほどの山中で車中泊すれば、約6℃も温度が低いということになります。実際山の中は木陰も多く、風が涼しいこともあるので、夏場の車中泊にはおすすめです
就寝前にエアコンで車内を冷やす
最後は就寝前に、車のエアコンを使って車内の温度を下げる方法です。ただし、こちらは周囲の環境をちゃんと確認して、迷惑にならないかどうかを確認しましょう。もちろんエンジンをかけっぱなしで車中泊するのは、場所を問わずNGですので、就寝時はちゃんとエンジンを切りましょう
さて、今回は夏場の車中泊における暑さ対策をお届けしました。いかがだったでしょうか。昼間の天気や場所にもよりますが、状況によっては、夜間でもまったく気温が下がらないこともあります。危険ですので、就寝スペースへの暑さ対策に加えて、冷感シートやタオル、水、塩分が入ったアメなど、熱中症対策もしっかりとした上で、臨んでください。
霜田奈緒
しもだ・なお 2001年から、月刊誌を中心に、300冊以上の編集に携わってきた自動車専門誌の編集者。子供の頃から車好きで、親が乗っていたボルボ240の音を聞き分け、親の帰宅を察知し勉強を始めていた。好物はジャンル・時代問わずの車のカスタム・チューニング。近年はキャンプにハマり、愛車もアウトドア仕様。ギャラン、レグナム、GTO、アストロ、ボルボC70、トゥーラン、XC70と、とりとめのない愛車遍歴。