車中泊仕様ハイラックスのキービジュアル
写真=大塚七恵 / 文=大森弘恵

足を伸ばして眠れる自作キャビンでサーフトリップへ! 穴をあけずに作った車中泊仕様ハイラックス

「バンタメフェス2024」で出会ったクルマを、アナタの車中泊カーの参考に!

クルマで寝泊まりしながら旅をするバンライファーはどんなクルマに乗っているのでしょう? 栃木県のオートキャンプ場「那須塩原ニワトコ RVパーク」 で開かれたバンライファーの祭典「バンタメフェス2024」で荷台をベッドにしたハイラックスで趣味の旅をする人を見つけました。

目次

荷台+リアゲート=ベッドにちょうどいい約2000mm

ハイラックス車内。荷台とバックドアの間も板できれいに埋めています

荷台とバックドアの間も板できれいに埋めています

サーフィンやバイクが好きな中島聡さんにとって、ハイラックスはまさに中島さん好み。いち早く手にし、念願のキャノピーを搭載して車中泊ができると意気込んでいました。
ところが、ハイラックスの荷台は長さ1520mm、幅最大1535mm。斜めになればなんとか横になれるけれど、なんだか落ち着かない

「まっすぐ手足を伸ばせるベッドを作ろう」と考えた中島さんが着目したのが高さ480mmのバックドアです。これを倒すことで荷台を含めて全長2000mmのベッドになるというわけ。
荷台のベッド化にあたり、全体をフローリングにしたのですが「基本は載せただけ。だから傷んだ部分があれば簡単に交換できるんです」(中島さん)

ハイラックス車内。シングルサイズのマットがぴったり収まる寝室

シングルサイズのマットがぴったり収まる寝室

ハイラックスバッテリー。ソーラーパネルやサブバッテリー、インバーターも完備。小型のポータブル冷蔵庫も備えた充実ぶり

ソーラーパネルやサブバッテリー、インバーターも完備。小型のポータブル冷蔵庫も備えた充実ぶり

雨や風を防ぐサイドウォールを自作

ハイラックスサイドウォール

サイドウォールと延長バックドアをDIY

十分なベッドサイズは確保できましたが、このままではバックドアは開きっぱなし。後ろから雨も風も吹き込みます。これをなんとかするためにテントを被せるなどの工夫を経て、現在はアルミとアクリル板のサイドウォールと延長バックドアを自作し解決。蝶ボルトでしっかり固定しながら保安部品が隠れないようにしています。

ストライカーを生かしロックが効くようにしています。海に出ている間も、これなら安心

ストライカーを生かしロックが効くようにしています。海に出ている間も、これなら安心

キャビンと荷台の一体化はプロにおまかせ

キャビンと荷台を一体化。窓を大きくあければなんとか行き来もできるそう

キャビンと荷台を一体化。窓を大きくあければなんとか行き来もできるそう

基本的に自分で考え、作りながら修正していくスタイルですが、できないことはプロにおまかせ。
そのひとつが運転席のあるキャビンと荷台の一体化です。

「自分で窓をはずすなんてことはできないのでディーラーにお願いしました。(キャノピーを)一体化することで雨漏りがなくなり、寒いときは間の窓を開けてカーエアコンをかければあたたかい空気が届きます」(中島さん)

ちなみに寒さ対策としてFFヒーター搭載も候補となったそうですが、コンパクトな寝室なので効き過ぎるかも……そう考えて電気毛布などに頼ることにしたと言います。

自作ガード類は安全性を考慮

サイドラダーはキャノピーのウインドー開閉と連動してスライド

サイドラダーはキャノピーのウインドー開閉と連動してスライド

ランプ類を守るがっちりとしたガードやサイドラダーも中島さんが自作したもの。今回は伸ばしていませんが、クルマの脇にタープを張るために市販のルーフキャリア用バーを伸縮できるようにもしているそう。
「ホームセンターを巡り、使えそうなものを探して取り付けました」(中島さん)
溶接の代わりに使っているのはなんとボンド。
「ラダーやガードに重いものを掛けることはありませんが、子どもがよじ登るかもしれません。だから、作ったものはできる限りの力をこめて壊れないか試しています」とのこと。

ルーフキャリアのスクエアバーが走行中、不意に飛び出ることのないようワイヤーでロック

ルーフキャリアのスクエアバーが走行中、不意に飛び出ることのないようワイヤーでロック

スタック対策として持ち運ぶシャベルもクランプで挟んだうえでベルトを巻き付け、さらにシャックルと鍵で固定

スタック対策として持ち運ぶシャベルもクランプで挟んだうえでベルトを巻き付け、さらにシャックルと鍵で固定

車中泊で週末を有効利用

中島聡さん

中島聡さん

自作車中泊カーによって中島さんの生活はどのように変わったのでしょうか。
「クルマの中で手足を伸ばして眠れるようになったので、金曜の夜に家を出て仮眠、土曜いっぱい遊んで日曜の渋滞前に自宅へ帰れます。普段は首都圏の海に遊びに行きますが、一番遠くに行ったのは関西かな。渋滞にはまらずにすむのは幸せです」

寝室は完成しましたが、今も排気が入りにくいようマフラーを横向きにする、エンブレムを自作するなどカスタムは続いています。

2017年よりマフラーを横向きにできるようになったので採用

2017年よりマフラーを横向きにできるようになったので採用

純正から自作TOYOTAエンブレムに変更

純正から自作TOYOTAエンブレムに変更


中島さんはいかに穴あけ加工せずにすむかを考え、ホームセンターで使えそうなモノを見つけては試しているとか。使いやすさとデザイン、安全性を考慮しながら状況に応じて修正しています。サグラダ・ファミリアのように、未完成のままずっと進化するのがDIYのよさと言えそうです。

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

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