自転車通学で荷物がカゴから飛び出すイラスト

自転車通学で青切符も気になるけれど…そもそも危ない乗り方していませんか?

中高生の「自転車通学」あるある事件簿その1
遠藤まさ子

2026年4月にいよいよスタートした自転車の交通違反に対する青切符制度。春から自転車での通学や通塾、部活動が始まる前に、改めて家庭内で自転車のルールを振り返ったという方も多いかもしれませんね。
今回の特集では、中学生や高校生をはじめ、若い世代に目立つ危ない乗り方や違反行為などに焦点を当て、全3回の記事で紹介します。
初回は自転車で危ない乗り方をした中高生が「自損・単独事故を起こした例」です。


※自転車の青切符の対象は16歳以上になります(16歳未満でも指導警告があります)。

目次

事故は日常の「ふとした瞬間」に起きる

中高生にとって、自転車は最も身近な移動手段のひとつです。通学や部活動、友人との移動などで利用する範囲が広がり、毎日のように使うからこそ、「ちょっとした油断」や「大丈夫だろう」という気持ちが、大きなけがにつながることがあります。

たとえ自損事故で他者を傷つけなかったとしても、入院や通院で出席日数が減る、部活の試合に出られないといった弊害をもたらし、日常生活に戻るまで時間がかかることも考えられます。

これから紹介するのはどれも、いつ誰に起きてもおかしくないもの。「そんなことが起こりうるのか」というリスクを頭の片隅に置きながら、自転車を安全に利用しましょう。

事件簿1: 前カゴから飛び出した荷物が挟まり前輪ロック! 大ケガに…

前後を問わず、カゴ(荷物用バスケット)は「そこに入れれば安全」ではありません。荷物ネットを使う、重いものや不安定なものを無造作に置かない、段差の前ではスピードを落とす。こうした基本動作がまさかの事故防止につながります。

一例として、前カゴに荷物をぽんと置いたまま走行し、スピードを緩めず勢い良く段差を乗り越えたところ、荷物が飛び出してしまったという高校生がいました。飛び出したのは、部活で利用するスポーツ用品。運悪くその荷物が前輪に挟まり、前輪がロックしたことで大きくバランスを崩し転倒、右手を骨折してしまいました……。

これは、「荷物をただカゴに入れただけ」で、誰にでも起こり得る事故です。小さい、もしくは軽い荷物はちょっとした衝撃でも跳ね上がります。ただ落ちてしまうだけならまだしも、今回のように前輪に何かが巻き込まれると、急停止に近い前のめりの状態になり、体勢を立て直すのはとても難しくなります。

部活動などで荷物が多く、リュックに入りきらないこともあるかもしれません。そんなときは荷物が落ちないよう、ロープやネット、シートなどでしっかり固定しましょう。100円ショップでも「自転車カゴ用ネット」などの名前で、簡単に荷物の飛び出しを防ぐアイテムが販売されています。

自転車カゴ用ネット

100円ショップなどでも入手可能な自転車カゴ用ネット

事件簿2: 伸びっぱなしのチェーンが突然外れ、前方に大きく転倒!

スポーツタイプ(外装変速式)の自転車で登校していたところ、段差を乗り越えたはずみでチェーンが外れ、こちらもバランスを崩し転倒し、大けがをした高校生がいました。これは珍しい話ではなく、単独事故の例として全国の先生方からよく聞く話です。

見た目には問題がなさそうでも、自転車の整備不良は重大な事故につながります。とくにクロスバイクやロードバイクなどのスポーツタイプに多い、ギアや変速機が露出している外装変速式の自転車は、チェーンが伸びたまま乗っていると、変速時や衝撃を受けたときにチェーンが外れやすくなります。

ギアや変速機が露出している外装変速式の自転車

ギアや変速機が露出している外装変速式の自転車の例

金属製とはいえ、放っておくといつのまにかチェーンも伸びてしまうのです。その他、ブレーキワイヤーの伸びやブレーキシューの摩耗なども制動力に直結する部分。こまめな点検で事故を防ぎたいところです。

「乗れる」ことと、「安全に乗れる」ことは同じではありません。ブレーキ、タイヤ、チェーン、変速機など、車体に少しでも違和感があれば、そのまま乗り続けず、早めに自転車ショップなどで点検してもらいましょう。

事件簿3: マフラーが後輪に挟まり、急停止。危うく大ケガしそうに

まだ寒い春先や秋冬はマフラーやスカーフなどを首元に巻く人も増えます。それが自転車に乗っているときに風であおられたら……。実際、漕いでいる最中に突然マフラーの一端が外れ、後輪に巻き込まれた高校生がいました。

車輪や変速機に布が急に巻き付くと大きな抵抗力が生じ、自転車は急停止してバランスが崩れてしまいます。この女子高生は非常に低速で走っていたため、なんとか足をついて体勢を立て直すことができましたが、もし転倒していたらクルマに轢かれるところだったといいます。また、首に巻いたものが車輪に巻き込まれてしまうと、首を絞められてしまうことも考えられます。

この事故の恐ろしいところは、「スピードを出しすぎた」とか「信号無視をした」といったわかりやすい危険行為ではないところ。何かが車輪やチェーンに巻き込まれた瞬間、自転車は簡単にコントロールを失います。

2019年から2024年までの6年間で報告があった「車輪への物等の巻き込み事故」だけでも502件も発生しており、そのうち約8割が重傷事故につながったというデータもあります

※NITE:「車輪への巻き込み」が多発! ~安全な自転車ライフを送るために確認すべき5つのポイント~ (2025年4月)

時には、非常に長い丈のマフラーが流行することもありますが、首元を温めたいときにはすっぽり被るタイプのネックウォーマーなどを利用するか、しっかり結んで両方の先端をコートの中に入れ込むといった対処が事故防止につながります。

また、リュックのひもやキーホルダーが外に垂れていないかも確認し、「巻き込まれない工夫」をしてから乗るようにしましょう。

事件簿4: ライトをつけていても路面が見えづらく、水路に落ちた

自転車で夜道を走るときは「ライトをつけていれば安全」と思いがちですが、それだけで十分とは限りません。夜道では、他者から自分が見えにくくなるだけでなく、道のくぼみや段差、細い道の端、水路の存在といった路面状況がわかりにくくなります。

たとえば中国地方や四国地方など、地域によってはまだまだ多くの水路が残っています。柵や溝蓋がないむき出しのところも多く、暗い中では道路との境界線が見えづらいため、自転車のライトでは十分に判別できないこともあるのです。

実際、夜に自転車で帰宅中にライトをつけていたものの、路面の様子が見えず、柵も段差もない水路に落ちてしまったという話は後を絶ちません。また、蓋がされていてもその間隔が広く、隙間にタイヤをとられて転倒してしまったという人もいます。

部活や塾などで帰りが遅くなり、暗くなってから自転車に乗るときは、備え付けのライト以外にライトの数を増やしたり、光の向きを正しく調整し、路面をしっかり照らせるような工夫をしたり、なるべく街灯のある明るいルートで帰ったりするようにしましょう。

ライトの配光調整

なるべく5~10m先の路面を照らすよう、ライトを下向きに調整する

慣れた道でも、暗くなると昼とは別の道のように危険が増えます。前述の水路だけでなく、ガードレールや柵のない農道や傾斜地を通る必要があるときは、クルマから見落とされないよう、ライトの複数使用(照度の高いもの)やリフレクターの追加などの工夫で事故を防ぎましょう。

他にも反射材や明るい色の服の着用、後部の反射器材やテールライトの追加も、安全性を高める大きなポイントになります。

ヘルメットは「もしも」のときに差が出る

自転車乗車中の転倒や衝突事故は、どれだけ気を付けていても100%防げるわけではありません。だからこそ、事故の被害を小さくする備えが必要です。

警察庁によると、自転車乗用中の交通事故で亡くなった人の約5割は頭部に致命傷を負っており、主に頭部を負傷した死者・重傷者では、ヘルメットを着用していなかった人の割合が、着用していた人に比べて約1.7倍高いとされています。

自転車用ヘルメット着用イメージ

2023年4月1日からは、すべての自転車利用者にヘルメット着用の努力義務が課されています。

「近い距離だから」「通学路だから」「ちょっとそこまでだから」と思っても、転ぶときは一瞬です。特に、今回の例のように自分の不注意からけがをする可能性もあることを踏まえ、自分の未来を守るツールとしてヘルメットを被りましょう。

遠藤まさ子

えんどう・まさこ 自転車業界新聞、スポーツサイクル誌の編集などを経てフリーランスに。2015年より自転車の安全利用促進委員会メンバーとして、知っておきたい自転車の選び方から購入後のメンテナンス、正しいルール・マナーなどの情報を発信。全国の教職員、児童生徒、保護者などを対象に自転車通学セミナーも開催し、これまで延べ1万人以上が受講している。

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