西内まりやさんキービジュアル
取材・文=平辻哲也(ENCOUNT)/ 撮影=荒川祐史/ ヘアメイク=池田奈穂/ スタイリスト=讃井理絵子(シャツ、ビスチェ、パンツ=FETICO)

西内まりや、パートナーのレンジローバー・ イヴォークと登場。「クルマに乗っているときが一番自分らしい」

ザ・ビートルから始まる愛車遍歴と、独立して8年の現在地

「クルマは単なる移動手段ではなく、人生のパートナー」。そう語るのは、俳優・アーティストとして活躍する西内まりやさん(31)です。18歳で運転免許を取得して以来、人生には常にクルマが寄り添ってきました。幼少期に家族とドライブで訪れた温泉や山々、初めての愛車フォルクスワーゲン・ザ・ビートルでの冒険、そして、今の愛車レンジローバー・ イヴォークまで、そのクルマ遍歴には彼女の価値観やライフスタイルが色濃く反映されています。

目次

クルマ好きは四駆乗りの母の影響
車中泊の家族旅行も

――スタジオの駐車場に停まっているレンジローバー・イヴォークが今の愛車ですね。とてもきれいに乗っていますね。西内さんの雰囲気に合っています。

ありがとうございます。昨日、慌てて洗車してきました(笑)。小回りも利くし、カジュアルさがピッタリだなと思って、気に入っています。3年くらい乗り続けていますが、背伸びしすぎない、というか、クルマに乗っているときが一番自分らしいなと思えるんです。

――イヴォークの話は後ほど詳しく聞かせてください。まずはクルマに興味を持ったきっかけは?

小さい頃から車や新幹線など電車、メカニックなものが好きだったんです。女の子はリカちゃん人形やセーラームーンが好きな子は多く、靴やバッグが欲しいという人もいると思います。でも、私はあまり興味がなくて、機械系のおもちゃを欲しがる子でしたね。今もカメラが大好きで、ハマっています。YouTubeでも、クルマやバイクのエンジン音をずっと聴いたりしています。

――意外ですね。

両親がクルマ好きで、特に母が四駆好き。昔、(トヨタ・)ハイラックスサーフに乗っていました。小さい頃は週末になると家族で福岡から温泉や山にドライブに出かけていました。真夜中の2時、3時に出発して、後部座席を倒してお布団を敷いて車中泊をしながら朝日を見て温泉に入る、そんな体験が本当に楽しくて……。クルマの中で過ごす時間が特別な思い出として心に残っています。その影響で、自然とクルマへの憧れが芽生えました。

――自動車免許を取得したのはいつですか?

18歳のときに教習所に通い始めましたが、取得までに1年半ほどかかりました。当時はとても忙しい時期だったのですが、「絶対に免許だけは取りたい」と決めていたんです。忙しい合間を縫って教習所に通っていたので、友達と会う時間もなく、とにかく免許取得に集中していました。

――初めて購入したクルマは何ですか?

フォルクスワーゲンのザ・ビートルです。もともとクルマに詳しいわけではなく、特定のモデルに憧れがあったわけでもありませんが、出会った瞬間、直感で「これだ!」と思ったんです。オープンカー仕様で、赤のデザインが入った特別なモデルでした。周りの人たちからも「素敵なクルマですね」と褒めてもらえることが多かったです。次のクルマを買ったときに母とシェアしたので、5年くらい乗ったと思います。


――ドライブでよく行った場所は?

最初のドライブは鎌倉や湘南の海沿いでした。その後も箱根の温泉や群馬方面に出かけることが多かったですね。遠出も大好きで、片道3~5時間くらいのドライブなら平気です。九州までは船を使うことがありましたが、ドライブそのものが旅の一部として楽しいので、長時間の運転も苦になりません。

FJクルーザーで「泥まみれになるぞ!」
本質は自然派なんです

正面を向く西内さん

――クルマ遍歴について教えてください。

その後はランドローバー・ディスカバリースポーツ、ポルシェ・718ケイマン、トヨタのFJクルーザーから現在のレンジローバー・イヴォークへと移りました。母は事故、命に関わることには厳しくて、小さいクルマはあんまり勧められなかったんです。JAFさんにも加入しています。幸いにも、今までお世話になったことはないですが、入っていることで安心感がありますね。

――こちらが質問する前にJAFのことをおっしゃってくださって、ありがとうございます! 2台目のランドローバー・ディスカバリースポーツを選ばれた理由は?

当時22、3歳で、実用性と自分のライフスタイルに合うクルマがいいと思いました。当時は仕事で遠出することも多く、大人数で乗ることもあったり、空港を頻繁に使う機会もあったので、荷物がしっかり入るクルマが必要でした。

――この時はポルシェ・カレラと2台を所有されていたんですね。

いろんなクルマを体験してみたい、と思っていました。ポルシェ・カレラは見た目の美しさとエンジン音に惹かれました。特に色がすごく好きで、青緑っぽい、グレーっぽいという独特のニュアンスのあるカラーに一目惚れしました。乗るたびにエンジン音にワクワクして、運転するのが楽しくて仕方なかったです。

――2台持ちはどれくらいの期間でしたか?

それが1年くらいしか乗っていないんです。事情があって、2台とも売ってしまいました。クルマがなくなった時期は、何よりも、つらかったです。だからこそ、また自分でクルマを購入できるように頑張るんだというのがモチベーションになりました。今思えば、20代前半でそう思えたのは、いい経験だったと思います。2、3年、クルマがない時期を経て買ったのがトヨタのFJクルーザーでした。

――FJクルーザーはトヨタが北米向けに販売していました。海外での人気を受け、日本でも発売されました。今は生産終了していますが、根強い人気がありますね。

FJクルーザーはたくさん荷物を積めるので、山道を走ったり、キャンプに行って、「クルマが泥まみれになるぞ」というときに使っています。色は真っ白なんですけど、ちょっと色を変えたり、ホイールを変えたりしたいと思っています。生産が終わったクルマなので、長く楽しみながら乗っていきたいと思っています。今は母が主に使っています。

――アウトドアもお好きなんですね。女性の中には虫が苦手、焚き火やバーベキューの煙が苦手という人もいますが……。

むしろ、焚き火の匂いは大好物ですよ(笑)。私、本質は自然派なんです。これは、幼少期からで、両親のおかげです。福岡には海も山も近くにありましたし、少し足を延ばして、熊本・阿蘇や大分の高原などに出かけて、山の中で遊んだり、川で泳ぐのは当たり前でした。

ヒールのついた靴とか、メイク、ネイルのほうが自分の本質よりちょっと格好をつけた自分という気がします。「都会に行って、染まっちゃったよね」みたいな自分なんです(笑)。芸能界ってきれいで華やかな世界なので、一時期はそうしなきゃいけない、と思っていました。

クルマも理想としては、小さい頃に両親がやっていたようなスタイルです。後ろがベッドになるように改造して、子供が産まれたら、そこでワイワイガヤガヤと楽しむ空間にしたい。“走るお家”みたいにしたいんですよ。友達の中には古いランドクルーザーを改造して、楽しんでいる人もいて、うらやましいと思ったりしています。

私の中では、都会と自然が半々といったライフスタイルが理想なんです。自然の中にいると、メイクもしないし、靴もスリッパやカジュアルなものだけ。きれいな服も着ないし、本来の自分に戻ることができる。その両方を実現するためには、クルマは不可欠なんです。

フルカスタムの愛車は
試乗車をイギリスからお取り寄せ

椅子に座る西内さん

――ランドローバー・イヴォークはどういう経緯で購入しましたか?

いろんなクルマの試乗をしてきましたが、これは3年前に購入しました。コロナの影響で自動車の半導体が不足している時期でした。このクルマは試乗車だったんです。そのお店の店長さんが「フルカスタムで注文したものがイギリスにあります」と教えてくれて、「では、それを買います!」と(笑)。

カジュアルさ、スポーツ性を兼ね備えていて、すごくバランスがいい。エンジン音もいいですし、乗り始めると、意外と静かです。車内はタッチパネルになっていて、安全装備も充実しています。インパネはちょっと近未来的な感じもあります。一人で乗ることも多いので、サイズ的にもちょうどよく、都内のコインパーキングでも大きすぎず、困ることがない。不満は一切ありませんね。

――西内さんはインスタグラムで愛車の写真をアップしていますが、反響は大きいんじゃないですか?

「いいね」を押してくれる人が多いですね。信号待ちのときに手を振ってもらったこともあります。私はクルマ同士のちょっとしたコミュニケーションは好きなので、ちょっとうれしい気持ちになったりします。友人、知人からも「昨日見かけたよ」と連絡をもらったりもします。

――車内では音楽をかけますか? ラジオですか?

プレイリストを作っていて、その時の気分で選ぶこともあります。運転中に「あ、これ聴きたいな」と思ったら、「Hey Siri ◯◯をかけて」と言って、流すことも多いです。後は無音のときも。気が付いたら、音もなく、1時間半とか運転していたりとか、そういう時間も好きです。あとは鳥のさえずりをひたすらかけているときもあります。

――西内さんは、ロサンゼルスでも運転する機会があるそうですね。そういうときはどんな車をレンタルするのですか。

海外では、車種はこだわりません。結構、一人でオフとして行くことが多いので、現地でも目立たないクルマを選ぶことが多いかもしれません。高級車に乗っていると、狙われることもありますから、乗りやすい日本車を選ぶことが多いです。アメリカで運転するときは現地のラジオを聴いています。

――インスタグラムからも楽しげな雰囲気が伝わってきました。

海外に行くようになってから、いいバランスが取れたんです。私は周りの目を気にしちゃう性格だったんですけど、海外にいると、すごくおおらかになれて、心地がいい。文化も常識も違いますよね。そこで、すべてのことは自分で選択できると気づかせてくれた気がします。海外での時間は、自分を見つける時間にもなりますね。

独立してつらい時期も。
今は「過去の自分を抱きしめたい」

ソファーに座る西内さん

――仕事の面では、大手事務所からフリーになりました。環境による変化はいかがですか。

もう8年ぐらいたちます。20代のほとんどを殻に閉じこもった状態で過ごしてきました。フリーになってからも、コロナ禍もあって、ちょっとつらい時期もありました。自分の中でストレスが溜まってきて、どうすることもできないことも。ただ、これを受け入れるしかないという境地に達したときに、自分自身が変わることができました。すると、自分のことも周りの世界も大切に思えてきました。他人も嫌い、自分自身も嫌いで、ただ殻に閉じこもっていた過去の自分を抱きしめたい気持ちになりました。

――そんな気持ちになったのはいつ頃ですか?

昨年、30歳になった頃です。自分でも、「人格が変わったのかな?」と思うくらい変わりました。ただ、つらかったときの感情、経験は今も消えてないし、ちゃんと自分の一部として残っています。こうして成長できたのも、いろんな出会い、経験があったからこそ。だから、今はみんなに感謝の気持ちがあります。自分の選択と自分の考え方が自分の全部を作っているんだと思った瞬間に、ポジティブに過ごしていくことが絶対心地いいと思えるようになりました。

だから、事務所には感謝しています。いろんな経験をさせていただき、いろんな世界を見させていただきましたし、人間としても強くさせてもらいました。社長さんとも今も良好な関係が続いています。20代の頃の経験があったから、今の幸せがあるんだと思っています。

――今は自分自身で人生のハンドルを握っている感じですね。

そうですね。実際、きょうも自分で運転して来ましたから(笑)。ドラマの撮影現場にも、自分のクルマで、自分で運転して行きます。マネージャーさんを途中でピックアップしてから現場に行くこともあります。以前は、全部マネージャーさんに送迎してもらっていましたから、逆ですね。でも、今のスタイルが自分にとっては自然体でいられます。こういうことは、いい、悪いではなく、時代の流れでもあるんだと思います。個々にいろんな選択肢があることは、いい時代になったんだと思っています。

――2025年の抱負をお聞かせくだい。

自分で創造していく一年にしたいと思っています。表現者としても活動を続けていきたいですが、何かを制作する側としても携わってみたい思いがあります。具体的には、20代のときに自分自身が心のバランスを取るのが難しかった経験を生かして、メンター事業の準備を進めています。日本には、そういったことが少ないと思ったんです。そのために、カウンセラーの資格も2つ取りました。今は、友達の相談を受けて、個人的にアドバイスしていますが、「大きな気づきがあった」と聞くと、うれしく思っています。自分は、誰かの幸せになってほしい、とお芝居や歌に取り組んできましたが、それだけが方法ではないかな、と思っています。

――最後に、クルマに対する思いを教えてください。

クルマはただの移動手段ではなく、自分自身と向き合える特別な空間です。運転中に歌ったりセリフを覚えたりすることで気持ちを整理する時間になります。私にとって車は、忙しい日常の中で「自分に戻れる場所」。心を落ち着かせて、自然と都会とのバランスを取り戻すために欠かせない存在です。

窓辺に立つ西内さん

西内まりやさんがドライブで聴きたい6曲

  • 小田和正 『キラキラ』…家族とのドライブで、父がいつもこの曲を流していました。この曲を聴くと、幼少期がよみがえります。特に冬の季節には、車内で自然とこの曲を選んでしまいます。
  • Alicia Keys 『Underdog』…おしゃれな気分を演出してくれる一曲。遠出のドライブを始めるときにぴったりで、気分を上げすぎず、ちょうどいいテンションを作ってくれます。
  • YUI『CHE.R.RY』…学生時代を思い出す懐かしい一曲。小学生の頃にこの曲をよく歌っていました。聴くたびに純粋だった自分を振り返りながら楽しい気持ちになります。日常のドライブでよく流すお気に入りです。
  • HIMI 『Allday』…友人であるシンガーソングライターHIMIさんの楽曲。特に夕暮れのドライブにぴったり。メロウで落ち着いた雰囲気が特徴のこの曲は、夕日の景色と相性抜群。感性を刺激する時間を作るための特別な一曲です。
  • Dua Lipa 『Illusion』…最近のポップソングとしてお気に入り。彼女の楽曲はエネルギッシュで、流行を感じさせるアップテンポな曲調が特徴です。来日したデュア・リパさんとお会いしたことがありますが、人間としても尊敬できる方です。
  • Lolo zouaï 『Encore』…私の心をくすぐるアーティストの最新曲です。ちょっとミステリアスな空気もありつつ、ポップでもありつつ、ちょっとヒップホップみたいな曲です。

(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)

JAF会員限定 西内まりやさん直筆サインプレゼント

サインを持つ西内さん

西内まりやさん直筆の「インタビュー My Garage」特製サイン色紙を、抽選で3名様にプレゼントします。
・プレゼント内容:西内まりやさん特製サイン色紙
・当選者数:3名(発表は発送をもって代えさせていただきます)
・応募締切:2024年2月18日

  • オークションサイト、フリマアプリなどでの転売を禁止します。

西内まりや

にしうち・まりや 1993年12月24日、福岡県福岡市生まれ。10代でファッション誌『二コラ』『Seventeen』の専属モデルとして活躍し、その後俳優、アーティストとして幅広く活動。2014年には歌手デビューを果たし、シングル「LOVE EVOLUTION」で注目を集める。主演ドラマや映画での活躍もあり、特に『スイッチガール!!』や『ホテルコンシェルジュ』などの作品で多彩な役柄を演じている。縦型ショートドラマプラットフォーム「UniReel」の配信ドラマ『殺せなかった妻』が配信中。趣味はキャンプやカメラ、音楽鑑賞。

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