BMW、ベンツにプジョー…羽田美智子の歴代愛車は“多国籍”「国柄がすごく出る」 生活に寄り添うカーライフ
25歳で購入した真っ赤なBMWから始まったカーライフ…愛車内はまさに“自分の部屋”女優・羽田美智子さんの人生には、常にクルマが寄り添ってきました。18歳になってすぐに免許を取得し、25歳のときに購入した真っ赤なBMWから始まったカーライフ。ドラマ撮影で全国を駆け抜け、さらには共演者たちとのエピソードにもクルマが深く関わっており、「仕事とクルマは常にセットだった」と語ります。
幸運の赤いBMWから始まった愛車遍歴
クルマ選びは「気持ち」でした
――運転免許を取られたのは?
高校在学中の18歳のときです。父がクルマを運転する姿が楽しそうで、ドライブも好きだったので、自分も早く運転してみたいとずっと思っていました。誕生日が9月だったので、高3の夏休みに教習所に通って、誕生日を迎えてすぐに試験を受けました。11月頃にはもう免許が届いていたと思います。
――教習所での印象的な思い出はありますか?
当時は鬼教官や、ちょっと意地悪なおじさん教官が多くて、上から見られているような感じもありました。たとえば、隣に座っていた教官に急にブレーキを踏まれて、「危ねえんだよ!」って怒られて、「どこが危なかったんですか?」って聞くと険悪な雰囲気になったり……。時代なんでしょうかね(笑)。でも、優しい教官もいて、「大丈夫だよ、いいよいいよ」と声をかけてくれたりもしました。
――最初に乗ったクルマは?
免許を取ってすぐではなく、25歳の誕生日に購入しました。それまでは電車通勤をしていたのですが、いろんな作品にも出させていただく中で、街を歩いていると気付かれるようになってきて、「もうクルマが必要だ」と思って、BMWの3シリーズの325i、真っ赤なボディーカラーを買いました。
走行距離1,000㎞に満たない新古車です。親戚のつてでいいクルマがあると紹介してもらって、安く買えたんです。最初のクルマなので自分でお金を用意できたわけではなく、おばあちゃんと両親が頭金を出してくれました。
――なぜBMWにされたのですか?
バブルの真っただ中で、特に六本木のような繁華街ではタクシーの運転がとても荒くて怖かったんですよ。初心者マークをつけていると、逆に意地悪されることもあって、泣きそうになることもありました。だから、しっかりしたクルマに守られているような感覚が欲しかったんです。このクルマに乗ってから不思議と幸運が続き、占い師さんからも「ツキのあるクルマだ」と言われました。事故も違反も起こさず、仕事も順調に進んでいきました。まさに幸運のクルマでした。
――どんなところが気に入りましたか?
ドアを閉めるときの「バスッ」という音とか、車内のランプが全部オレンジだったり、静かさ、シートの沈み込み具合……。すべてが国産車とは違っていて、とても気に入りました。クルマに乗ることが特別な体験になる、そんなクルマでした。
――そのBMWはどれくらい乗っていたのですか?
5年くらいでしょうか。仕事が忙しくなって、自分で現場にクルマで行くようになり、休憩時間にクルマの中で横になれる空間が欲しくなったんです。後部座席を倒して布団を敷いて寝られるような、広いクルマが必要でした。
――次のクルマはジープ グランドチェロキーでしたね。
30歳のときに乗り替えました。アメリカに遊びに行ったとき、友人が乗っていて「これ、いいな」と思ったのがきっかけです。その頃、日本でも大きなクルマがはやっていて、友人たちがレンジローバーやランドクルーザーなどに乗っていました。同じクルマに乗るのはちょっと……と思って、かぶらないものを探していたときに見つけたんです。
――実際に乗ってみてどうでしたか?
バウンドがすごくて、アメ車らしい乗り味でした。長距離にはあまり向いていないと感じたけれど、撮影の合間に車内で休むにはぴったりでした。
――メルセデス・ベンツ 560SLにも乗られたそうですね?
2台目として乗っていたのですが、俳優の仲間の方から譲ってもらったクルマなんです。その方から「すぐ壊れるよ」って冗談交じりに言われたんですけど、本当にそうでした(笑)。道端で突然止まったり、ステアリングのオイルが切れたり、とにかくトラブル続きで、しょっちゅう入院していました。修理代もかかるし、戻ってきたと思ったらまた故障、の繰り返しでした。
――それでも内装にはかなりこだわったと聞きました。
フェラーリで使用されている革でベージュのシートに張り替えたり、ホイールも交換したりと、とにかく自分好みにカスタマイズしました。でも、どんなに手をかけても「愛せなかった」んです。そこで、自分がクルマに求めているのは見た目や性能じゃなくて、「気持ち」で乗れるかどうかなんだと気づきました。
――最終的にベンツはどうされたんですか?
結局、その方に紹介してもらったディーラーさんが買い取ってくれました。2年ほどは乗っていましたけど、私にはちょっと荷が重いクルマでした。大切なのは、愛着を持てるかどうか。それを改めて実感しました。
プジョー 406は男性ウケが抜群!
エンブレムのライオンが“逃げ出した”ことも…
――チェロキーは2台乗り継いだそうですね。
ワインレッドの1台目のあとに黒の2台目と続けて乗ることになりました。グランドチェロキーは乗りやすかったし、何よりディーラーのKさんが本当に親切な方で、そのご縁を大切にしたかったんです。でもKさんが別のメーカーに移られてしまって、当時は、そのメーカーにあまり興味がなく、欲しいクルマもなくて、相談したら「無理しないでください」と言ってくださって、いったん宙ぶらりんな状態になりました。
――その後どうされたんですか?
37歳のときにクルマ好きの知人に薦められて、プジョー 406クーペに出会いました。奇麗なラインのクルマで、歴代のフェラーリのデザインを手がけたピニンファリーナがデザインしたもの。とても美しい形をしていて、街中で何度も声をかけられました。「そのクルマはあなたのものですか?」って言われたり、マネジャーが運転していると「このクルマの持ち主は誰ですか?」って聞かれたりしましたね。
――プジョー 406はどんな印象のクルマでしたか?
とにかく男性ウケがすごかったです。ドアも一枚のラインでつながっていたから、どこかぶつけると外装が全部交換になるので修理代は結構かかりました。でも、フランス車特有の小粋なデザインがあって、内装もしゃれていてかわいかったです。ホイールの真ん中にあるライオンのエンブレムがよく盗まれるんです。周囲の人から「そのライオン、逃げ出すよ」って冗談を言われていたんですけど、コレクターがいるみたいで、本当に何度も盗まれました。ディーラーの方が廃車予定のクルマから部品を譲ってくれたこともありました。
――その後はどんなクルマに?
ハイブリッド車のプリウスに乗りました。東日本大震災の後にすごくエコモードに変わったというか、「社会にいいことをしたい」って思うようになって、ガソリン車に疑問を持つようになったんです。それで2台目もプリウスを選びました。最初はブレーキが利きにくく感じたけど、スーッと止まる日本車の特徴に慣れると快適に感じました。
――ハイブリッド車の楽しさは?
エコ運転を“ゲーム感覚”で楽しんでいました。ブレーキやアクセルの使い方次第で燃費が変わるので、「どうやって28キロ/Lにできるか」とか、自分で工夫するのが面白かったです。それまで月に2万円くらい使っていたガソリン代が、9,000円くらいに減りました。燃費もよくて、24km/L。年間2万キロ以上走っていたので、3年で6万kmくらい。ロケで全国を飛び回っていましたから。
――ハイブリッドのメンテナンスはどうでしたか?
バッテリー交換のタイミングで高額な費用がかかって驚きました。20~30万円かかると言われて「えっ、そんなに?」と。「もう少しクルマを楽しみたい」と思って、アウディにしようかと考えていたところ、半導体不足で納期が半年~1年後と言われてしまって。そこで思い出したのがジープでお世話になったKさんでした。
問い合わせて連絡を取ったら、Kさんも「もちろん覚えていますよ」と言ってくださって、T-Rocというクルマを紹介されたんです。それがもう完璧に私の条件に合ったんです。しかも1台だけ納期が間に合うという奇跡のような出会いでした。
――今のT-Rocはどうですか?
今乗っているのは2台目で、1台目を3年リースした後に、今回は買いました。ディーゼルで高速走行だと25km/Lくらい出ます。経済的だし、エンジン音も良くて、走っている感覚があって、私にすごく合っています。街中では燃費は9~10km/Lになりますけど、それでもディーゼルの燃料費を考えるとコスパは良いです。
――今のクルマをリースではなく購入された理由は?
リースは満期で必ず手放さなければならないので、自分のタイミングで乗り替えられない。そこが不便だと感じました。やっぱり「自分のもの」として所有して、大事に長く乗りたいと思ったんです。
――Kさんとのご縁は今も?
久しぶりに再会したとき、お互いに白髪が混じっていて「はっ!」ってなって(笑)。でも励まし合える関係なんです。Kさんのほうが私よりも年上ですが、「クルマ業界にはまだいますよ」って言ってくださって、相談に乗っていただける、すごく頼もしい存在です。2台目のクルマを買ったのは、撮影が長く続いていたドラマが終わって、「今後そんなに遠出がなくなるかも」と思ったときで、Kさんに「このまま今のクルマでいいかしら?」って相談したんです。そしたら、「羽田さんは年を重ねても、私たち世代の希望の星なんだから、自分が輝けるクルマに乗ってくださいよ」と言ってくださり、すごく励まされました。
JAFには1991年から入会
「お守りのような存在」
――長く続いたドラマは『警視庁捜査一課9係・特捜9シリーズ』『おかしな刑事』ですね。
『警視庁捜査一課9係・特捜9』(2006~2017年)は約20年間、『おかしな刑事』(2003~2024年)は22年間、続きました。自分でも「すごいな」と思います。どちらも私にとっては人生の大きな柱のような存在です。かけがえのない仲間たちと出会えて、それはもう一生ものの財産です。終了したときはやっぱり寂しかったです。泣かないようにしようと思ったんですけど、現場では大泣きしてしまいました。みんな本当に仲が良かったからこそ、あんなに号泣できたんだと思います。「これはもうしょうがないよね」って皆で言いながら、おいおい泣きました。
――共演者との距離もとても近かったのですね。
移動もほとんど一緒でした。(『特捜9』の)田口浩正さんは自分のクルマで来ていて、そこに吹越満さんや中越典子さんが乗っていたり、私は女性陣を自分のクルマに乗せていたりしました。もちろん安全第一ですが、まるで本当の家族みたいな距離感でした。
――クルマの話をすることも?
みんなクルマ好きで、誰かが買い替えたりすると「何買ったの?」「どうしてそれにしたの?」なんて会話になります。クルマを買うときに「どれがいいと思う?」って相談したりもして。「もっと大きいクルマがいいんじゃない?」という声に「いや、都会は道が狭いので、大きいのは泣きたくなる」と答えたり(笑)、そういうやりとりも楽しかったですね。
――ドラマのお仕事とクルマ選びがリンクしているんですね?
ドラマの撮影現場へは自分のクルマで通うことが多くて、地方ロケもたくさんあるんです。横浜、千葉、茨城、群馬、栃木……毎日違う場所に行くので、クルマは“相棒”のような存在です。年間で2万㎞以上走ることも普通でしたから、まさに“仕事のためのクルマ”でした。
――ロングドライブはされますか?
昔は京都まで自分のクルマで移動したこともあります。プライベートでも、伊勢神宮までクルマで行ったこともあります。途中で静岡で1泊して、次の日に伊勢に向かう。クルマの旅が本当に好きなんです。
――運転中は何を聴いていますか?
ラジオやYouTubeが多いですね。講演を聞くことが多くて、気候変動や円高、新NISAなど、今起きている問題について知るために、ジャーナリストの話を集中して聞ける貴重な時間です。クルマの中は情報収集にも最適なんです。
――いろんな国のクルマを乗ってきましたね。それぞれの特徴はありますか。
ドイツ車は重厚感があり、エンジン音もドアの音も低音で締まった感じ。アメリカ車は大味だけど威勢が良くて、跳ねるような乗り心地。フランス車は小物も含めてとにかくオシャレで、国柄がすごく出てるんです。
――今の愛車のポイントは?
私にとってすごく“ちょうどいい”クルマなんです。体形にも合っていて、外見もかわいいし、威圧感もない。母を乗せることもあるんですが、立ったまま乗り降りできる高さなので、高齢の母でも楽なんです。そういう意味でも、このクルマはとても大切な存在です。
――現在は東京と茨城を行き来する生活とのことですが。
両親が高齢になってきて、特に父が3年前に亡くなってからは、母が一人になってしまって。実家を放っておけなくなって、できる範囲で通うようにしています。週の半分を田舎、半分を東京で過ごせたら理想ですが、なかなかそううまくはいきません。でも、やっぱり親と過ごせる時間ってもうそう多くはないので、悔いのないようにしたいなと思っています。
――次に乗りたいクルマなどありますか?
クルマが好きなので、気になるクルマはたくさんあります。以前は2台持ちしていた時期もあったくらいなので、もう一度そういう生活もアリかなと思っています。ただ、電気自動車にはあまり惹かれません。アクセルを踏んだときの“グッ”という感覚や、エンジン音の響きが好きで、それがないと物足りなく感じてしまうんです。
――JAFにも長年入会されていると伺いました。
さっき会員証を見たら、1991年からでした。私自身はJAFにお願いした経験はなかったのですが、お守りのような存在です。先日、駐車場内で動けなくなったクルマがあって、その時に「JAFを呼んだら」と運転手の方に提案しました。来てくださった方が本当に“神”のようで、1人でジャッキを使って見事に救出してくださったんです。ほかにも、JAFの方の活躍を目の当たりにしたこともあり、本当にJAFには頭が上がりません。
――お休みの日にドライブするとしたらどこへ?
若い頃から神社仏閣巡りが好きで、御朱印も集めていました。今でこそはやっていますが、当時は誰もやっていなくて一人で黙々と集めていました。今は集めていませんが、三峯神社(秩父)や箱根神社に行ってみたいですね。
――最近のお仕事について教えてください。
最近、『羽田美智子のChange of Life』(毎週水曜19時更新/Podcast・YouTubeほか)という、更年期にまつわる番組をはじめました。他にもナレーションやラジオなどのお仕事をしつつ、ドラマの撮影、そして秋には映画の撮影も控えています。また、旅番組のロケが多くて、最近は本当に頻繁に旅をしています。そのため、お休みの日は家で草むしりなど、静かに過ごす時間を大切にしています。
――最後に、クルマとはどんな存在ですか?
私にとってクルマは、単なる移動手段じゃなくて“仕事とセットになっている存在”なんです。だから、クルマを選ぶときもただの趣味や嗜好じゃなくて、「仕事でどう使うか」がベースにあるんです。「相棒」であり、「自分の一部」であり、「自分を表現するツール」です。クルマにはその人の性格や好み、価値観が表れます。自分の人生観が反映されているとも思いますし、まさに“自分の部屋”のようでもあり、“鏡”のようでもあります。どのクルマも好きでしたが、「今のT-Rocが一番」と思います。過去は振り返らない(笑)。それが私の生き方です。
羽田美智子さんがドライブで聴きたい5曲
- Elvis Costello「She」…映画『ノッティングヒルの恋人』の主題歌。穏やかな気分になれて、運転も気持ちよくなります。
- チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」…ドラマ『第二楽章』の役作りで1,000回以上聴きました。集中したいときに最適です。
- サラ・ブライトマン & アンドレア・ボチェッリ「Time to Say Goodbye(タイム・トゥ・セイ・グッバイ)」…サラ・ブライトマンの曲は冬に聴きたいです。どれでも好きですが、あえて一曲挙げるなら、この曲です。
- 大滝詠一「恋するカレン」…アルバム『A LONG VACATION』は兄の影響でよく聴いていました。80年代の大人の雰囲気が印象的。ほかにも、歌謡曲ではさだまさしさん、中島みゆきさんも好きで、最近改めてハマっています。さださんの「防人の詩」などは歌詞に感動しながらよく聴いています。
- ロッドスチュワート「Smile」…しゃがれたハスキーな声が大好きです。いつまでもスタイルを変えないところもかっこいいですし。この人のスマイルは説得力があり、本当に笑顔でいよう! 今日も1日いい日にしよう! と勇気を与えてくれる曲です。
(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)
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・応募締切:2025年10月20日
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羽田美智子
はだ・みちこ 1968年9月24日生まれ、茨城県出身。1988年デビュー。1994年公開の映画『RAMPO』でヒロイン役に抜擢され、「日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞。以降、多数の映画やテレビドラマに出演。主な出演作として『特捜9』シリーズ、『おかしな刑事』シリーズ、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』。自身が「本当にイイ!」と思ったものだけを紹介・販売するネット上のセレクトショップ『羽田甚商店』を2019年4月にオープン。『羽田美智子のChange of Life』をPodcast・YouTubeほかで配信中。趣味:旅行、写真。特技・資格:アロマセラピスト。
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