ディフェンダーにメルセデス・ベンツSL320、世界に200台だけのGクラス…鶴田真由の“クラシックに惹かれる”愛車遍歴
「ちょっと不便なくらいのほうが愛着が湧く」無骨なクルマへの思い映画やドラマで活躍し続ける俳優・鶴田真由さん。18歳で免許を取得して以来、4台のクルマを愛用し、「気に入ったものは長く乗りたい」と語ります。現在の愛車は、世界200台限定の2015年型メルセデス・ベンツ Gクラス。都内と生まれ故郷・鎌倉を行き来し、ときには岩手までロングドライブを楽しみます。ドライブ中は、教養系のYouTubeを聴いたり、静かな時間を楽しむことも。撮影中のドラマ、写真、お茶、瞑想など、多彩な活動について語っていただきました。
初愛車はBMW 320iカブリオレ
「オープンカーに憧れて」
――免許を取られたのはいつですか?
私は4月生まれなので、18歳になるとすぐに教習所に通い、免許を取りました。当時はクルマを運転するのが当たり前の時代でしたし、みんな「早く乗りたい!」という気持ちが強かったです。
――最初に運転したクルマは何でしたか?
家のクルマを運転していました。でも、当時はまだ慣れていなかったので、たくさんぶつけました(笑)。最初の頃は、とにかく運転するのが楽しくて、友達と一緒にいろいろなところへ出かけていました。私の通っていた学校では、期末テストが終わると、そのまま次の日から長期休みに入ることが多かったので、みんなでクルマを出してドライブに行くのが恒例行事みたいになっていました。
――どんな場所へ行かれていましたか?
冬はスキーに行ったり、夏は友達の家の別荘に遊びに行ったりしていました。私の学校は私立だったこともあって、お金持ちの友達が多かったんです。だから、「うちの別荘においでよ!」って誘われることがよくありました(笑)。本当に恵まれた環境だったなと思います。
――初めて自分で買ったクルマは1989年型のBMW 320iカブリオレでした。
オープンカーに憧れていたんです。ちょうどその頃、このタイプのクルマがはやっていましたし、知り合いがディーラーをやっていたので、お願いして探してもらいました。屋根を開けて、風を感じながら走るのがすごく気持ち良かったです。デザインも好きでした。クラシックで、少しレトロな雰囲気のあるクルマが昔から好きなんですよね。
――その後、BMWからメルセデス・ベンツ SL320に乗り換えました。
SL320に乗ったときは、BMWとはまた違う感覚を味わいました。BMWももちろん良かったんですが、メルセデスは非常に優れたクルマで、運転すると「自分の思いがすぐに伝わる」ように感じました。たとえば、「ここで曲がりたい」「ここで加速したい」と思った瞬間に、クルマが自然についてきてくれるんです。そういう操縦性の良さが印象的でした。
――ベンツのSL320は長く乗られていたんですか?
10年近く乗っていたと思います。とても気に入っていましたし、乗り心地もよかったので、長く乗ることができました。
――結婚を機に、SL320を手放して、2001年型「ランドローバー・ディフェンダー90」に乗り替えました。どんなところが魅力でしたか。
まず、無骨なデザインが魅力でした。どこかクラシックな雰囲気があり、形そのものに味のあるクルマでした。正直、操作性は私にとって決して良いとは言えませんでしたが、だからこそ愛着が湧きました。ちょっと不便なくらいのほうが愛着が湧き、エンジンの音や振動、ハンドルの重さも含めて「クルマを運転している」という実感がありました。
ライフステージによって変化する愛車の形
「その時々の自分の気持ちに合ったクルマを」
――クルマはその時々のライフステージによって変わるものなんですね。
本当にそうだと思います。私はあまり深く考えてクルマを選ぶタイプではないのですが、振り返ってみると、その時々の自分の気持ちに合ったクルマを選んでいたんだなと思います。
――今、乗っているクルマは2015年型のメルセデス・ベンツ Gクラス(G280CDI Edition30)。世界限定200台の希少モデルだそうですね。
ディフェンダーが故障してしまって、修理するか乗り替えるか迷っていた時に、夫がネットで「こんなかわいいクルマがあるよ」と見つけてくれたんです。それを見て、「いいな」と思ってしまって。一目惚れでしたね。
私はこれまでも、無骨でクラシックなデザインのクルマに惹かれることが多かったんですが、このGクラスもまさにそんな一台でした。多少の汚れが気にならないというのもポイントで、むしろ使い込むことで味が出るクルマのほうが好きなんです。私は最新のハイテクなクルマよりも、昔ながらのしっかりとした作りのクルマのほうが好きなので。ディフェンダーもそうでしたが、Gクラスもそういう意味で自分にしっくりくるクルマです。
――鎌倉と都内を行き来することが多いと伺いました。
東京で仕事がないときや夫がいないときは、鎌倉で過ごすことが多いです。もちろん、一緒にいるときもありますが。鎌倉と都内では時間の流れ方が全然違います。鎌倉にいると、リセットされる感覚があります。生まれ故郷でもあるので、落ち着く場所です。
――長距離ドライブの経験はありますか?
一番印象に残っているのは、岩手までクルマで行ったときですね。益子(栃木県)の友人の家に遊びに行っているときに、「明日から岩手の友人の家に行くんだけど、一緒に行かない?」と誘われて、「じゃあ行こうかな」とそのままついて行ったんです(笑)。Gクラスは非常に頑丈なクルマですが、長距離運転にはあまり向いていません。帰りは岩手から東京まで約7時間以上、ノンストップで運転しました。運転自体は好きですが、さすがにこれだけの距離を走るとかなり疲れましたね(笑)。愛犬の「カカ」と二人旅でした。
――ドライブ中に特に気に入っている過ごし方はありますか?
そのときの気分によりますね。音楽を聴くこともあれば、ラジオを流したり、YouTubeを音声だけで楽しんだりすることもあります。
あとは、撮影期間中だとクルマの中でセリフを覚えることが多いですね。映画『ドライブ・マイ・カー』の西島秀俊さんがやっていたように、運転しながらセリフを口に出して覚えることもあります。街中を歩いているときに声を出しているとちょっと怪しい人になってしまいますが(笑)、クルマの中は一人で集中できる空間として最適なんです。
――YouTubeチャンネルはどんなものを観るのですか?
最近は、教養系のYouTubeを、観るというよりラジオ感覚で聴くことが多いです。特に、中田敦彦さんの『YouTube大学』や福岡伸一さんの講義、本の要約チャンネルをよく聴きます。YouTubeを選ぶ際は、話し方の聞きやすさを重視します。中田敦彦さんのテンポの良い語り口は心地よく、学びの時間としても最適です。
本の要約では、アバタローさんのチャンネルをよく聴いています。この方は、さまざまな本を要約して解説してくれるんですが、話し方がとても聞きやすくて、内容もわかりやすいんです。普段、移動時間ってどうしても無駄になりがちですが、YouTubeを活用することで学びの時間に変えられるのがいいなと思っています。
――ドライブ中も有意義に過ごされているんですね。
でも、「何もしない時間」も好きですね。最初は音楽やラジオを流していることが多いですが、途中から何もかけずに無音のまま運転することもあります。静かな空間の中で、クルマのエンジン音や外の音を聞きながら運転していると、気持ちが落ち着くんですよ。
写真や中国茶など幅広く興味
「自然の法則や真実を探求すること」
――現在撮影中のドラマ『あなたを奪ったその日から』(4月21日スタート、毎週月曜午後10時、カンテレ・フジテレビ系)について教えてください。
北川景子さん演じる主人公が惣菜店の食品事故をきっかけに娘を失い、復讐を企てるというものです。私の役は、その惣菜店の経営者の元妻で、北川さん演じる女性に誘拐される娘の実の母親。けれども、家を出てしまったため、娘とは離れて暮らしていたという設定です。親子関係の複雑さや、復讐の中に生まれる親子愛が描かれていて、とても奥深い作品になっています。
――出演する作品を選ぶ際の基準はありますか?
ホラーや、ただの猟奇的な作品は苦手ですね。ストーリーの中に「愛」が感じられることが大切だなと思っています。どんなにダークな内容でも、その人がそうするに至った背景や、人間の感情がしっかり描かれていれば興味が持てます。作者や脚本家がキャラクターをどう見ているか、その視点に愛があるかどうかが大切です。
――鶴田さんは俳優業のみならず、写真やエッセーでも幅広く活動されています。
3月18日から23日まで、『花織 - Hana Ori』という写真と香の展示会を開催しました。昨年は私が撮影した蓮の花の写真に合わせて、調香師の方が香りを調合してくれましたが、今年はさらに発展させて、蓮の花の香りを抽出する過程を撮影した作品とその香を展示しました。蓮の花は、一番香りが美しいのが「1日目に咲いた後、2日目の朝を迎えた花が咲く前」なんです。そのタイミングで摘み取った花を解体し、香りを抽出していくんです。その過程自体がとても美しく、命が水に移っていくような神聖さを感じ、その「命の移ろい」を写真を通して表現したいと思いました。
――瞑想も長く続けているとお聞きしました。
瞑想は長年続けています。朝と夜の2回行うのが理想ですが、午前中にできなければ夜にすることも。瞑想をすると、心のブレが少なくなりますね。やらない日が続くと身体や心が詰まってくるように感じます。
今は台湾の先生から中国茶を学んでいます。月に一度、先生のもとに通っていて、その先生の師匠が来日される際にはお茶会のお手伝いをすることもあります。お茶を淹れるという行為の中には、自然の理(ことわり)が詰まっているんです。たとえば、お湯の注ぎ方一つで味もエネルギーもまったく変わってしまう。重力に沿うように天から地へと、ただ素直にお湯を落とす。それが最もお湯の気を生かす方法なんです。ただ単に飲むだけでなく、お茶を通して自然の法則を学んでいるような感覚ですね。
――いろんなことに興味を持っていらっしゃるんですね。
表現の方法は違っても、私の中で表現したいことは一つ。それは、自然の法則や真実を探求することなんだと思います。女優業をしながら、そのように「道」を歩んでいけたらいいですね。
――最後に、これからやってみたいドライブの計画はありますか?
本当はフェリーで九州に行き、帰りはクルマで東京まで戻るという旅をしてみたかったんです。道中で車中泊をしながら、ゆっくり戻ってくるような旅ですね。でも、愛犬が高齢になってきたので、今はちょっと難しいかなと思っています。
鶴田真由さんがドライブで聴きたい5曲
- Synfilums, 当真伊都子『Birthday』…夕方、太陽が沈んだ後でもまだ明るさが残る時間帯に聴くと心地よい曲です。
- Bibio『Sleep On The Wing』…「翼を休める」という意味のタイトルのように、木漏れ日がキラキラと輝く並木道をドライブするイメージで聴きたい曲です。
- 坂本龍一『LIFE, LIFE』…夜中の高速道路を一人で走るときにぴったりで、非現実感があり、暗闇の中で違う場所へ移動しているような感覚になります。
- East Forest『Limitations』…昼間の明るい時間帯に合っていて、車窓から流れる景色を眺めながら聴くのが気持ちよい曲です。
- Fahrenhaidt, Alice Merton『In The Beginning』…小旅行の出発時にワクワクした気持ちで聴きたい曲で、これからの出会いや出来事を想像しながら、旅のテーマソングとして楽しんでいます。
(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)
JAF会員限定 鶴田真由さん直筆サインプレゼント
鶴田真由さん直筆の「インタビュー My Garage」特製サイン色紙を、抽選で3名様にプレゼントします。
・プレゼント内容:鶴田真由さん特製サイン色紙
・当選者数:3名(発表は発送をもって代えさせていただきます)
・応募締切:2025年5月19日
- ※オークションサイト、フリマアプリなどでの転売を禁止します。
鶴田真由
つるた・まゆ 神奈川県鎌倉市生まれ。1988年に俳優デビューし、ドラマ、映画、舞台、CMなど幅広く活躍。代表作にドラマ『妹よ』『君と出逢ってから』、映画『半落ち』『梟の城』などがある。96年、映画『きけ、わだつみの声 Last Friends』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年ではドラマ『らんまん』『誰かがこの町で』、映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』『ノイズ』など話題作に出演。また、旅番組やドキュメンタリー番組にも出演し、2008年にはアフリカ開発会議の親善大使も務めた。著書や写真集も多数出版し、近年は音楽家などとのコラボレーション活動やエッセーイ執筆など多方面で活躍している。4月21日スタートの連続ドラマ『あなたを奪ったその日から』(毎週月曜午後10時、カンテレ・フジテレビ系)に出演。
インタビューMy Garageの記事一覧

池畑慎之介が魅せる壮大な愛車遍歴!シトロエン・ベルランゴ ロング&フィアット・500 エレットリカで駆け抜けるクルマの旅
2025.03.17
武田真治、愛車は超希少アメ車、ダッジチャレンジャー・モパー10!「クルマも、バイクも乗ってこその楽しみがある」
2025.02.17
西内まりや、パートナーのレンジローバー・ イヴォークと登場。「クルマに乗っているときが一番自分らしい」
2025.01.17
池内博之、愛車ジープは「力強い相棒で、大人の基地」。アウトドア志向を追求するクルマとの日々
2024.12.17
大原優乃、ランクルやキャンピングカーにも挑戦。YouTubeでクルマ愛発信中!
2024.11.17
関根勤の人生を豊かに彩った愛車たち。カローラ1100からポルシェ・カイエン、そして現在の一台へ
2024.10.17
筧 美和子、スーパー銭湯のための免許取得とサウナドライブライフ
2024.09.17