池内博之、愛車ジープは「力強い相棒で、大人の基地」。アウトドア志向を追求するクルマとの日々
クラウンバンからシボレー・タホ、ジープ・グラディエーター ルビコン…アメ車好きが辿った愛車遍歴『イップ・マン 序章』(2008年)やジョン・ウー監督の『マンハント』(17年)、Netflixの韓国映画『夜叉 -容赦なき工作戦-』(22年)などアジア映画でも活躍する俳優の池内博之さん。最近ではWOWOW連続ドラマW『ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』やABEMAオリジナルドラマ『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』の出演も話題です。プライベートではジープ・グラディエーター ルビコンを愛車とし、キャンプや車中泊を楽しむアウトドア派としての顔を持ちます。少年時代から自然に憧れ、現在はキャンプや家庭菜園を通じて自然との調和を大切にしています。愛車の思い出や自然との触れ合いについて語ってくれました。
アメ車に憧れた高校生時代から
ついに理想の一台との出会い
――クルマの免許はいつ取りましたか?
茨城の高校を卒業して18歳のときに、友人と一緒に秋田の合宿免許で取りました。1週間から10日間の日程で、特に田舎道はクルマ通りが少なく運転しやすい環境だったので、都会での運転が不安になるくらいでした(笑)。
――若い頃に憧れていたのはどんなクルマですか?
高校時代はカスタムしたシボレーのピックアップトラックのようなアメ車に心惹かれていました。免許を取った後、すぐにトヨタのクラウンを購入しました。後部が広いバンタイプで、アメ車っぽい雰囲気が気に入ったんです。
――初めてのクルマでのドライブはいかがでしたか?
免許を取ったばかりの頃、国道6号線を使って都内までドライブしました。地元から上野まで行きましたが、標識がわかりづらくて戸惑い、途中で引き返した記憶があります(笑)。都内の運転は非常に緊張しましたね。
――その後の愛車遍歴を教えて下さい。
クラウンバンは2年くらい乗って、2台目はアメ車にいきました。シボレー・タホです。その後はフォルクスワーゲン・トゥアレグ、トヨタ・初代プリウス、ポルシェ・パナメーラ、一瞬だけメルセデスベンツ・ゲレンデヴァーゲンに乗って、三菱・アウトランダーPHEVです。
――プリウス以外はアウトドア志向のSUVタイプですね。クルマ選びの基準やこだわりについて教えてください。
やはり荷物がたくさん載る、大きなクルマが好きです。キャンプやゴルフなどの趣味を楽しむため、アウトドア向けの仕様が重要ですね。少しカスタムして、タイヤを大きくしたりリフトアップしたりすることもあります。
――歴代の愛車で特に思い出深いクルマはありますか?
2台目のシボレー・タホは印象深いです。前席がベンチシートだったので3人で座れるほど広くて、乗り心地がとても良かったです。使い勝手もよく、お気に入りのクルマでした。
――クルマで最も遠くに行った場所はどこですか?
北海道まで行きました。大洗から苫小牧までフェリーを使ってクルマを運び、10日間かけてキャンプをしながら各地を巡りました。自然の中での旅はとても素晴らしい体験でした。
――車中泊もしますか?
アウトランダーに乗っていたときにはよく車中泊をしました。アウトランダーのPHEVモデルは後部が広く、さらにクルマから電源を取ることができるので便利でした。長距離だと燃費はいいんですが、普段の使用では12km/L程度でした。
――現在の愛車について教えてください。
実はつい最近、乗り替えたばかりです。ジープ・グラディエーター ルビコンです。ピックアップ・トラックで荷物をたくさん積むことができ、4WDとアウトドアにぴったりの仕様です。今後、さらにカスタムして車中泊ができるようにテントを積む計画もあります。
――ルビコンの魅力は何ですか?
とにかく個性的でパワーがあります。高校時代に机に描いていたような理想の形を思い出させるクルマで、ついに30年越しでその夢に出会えた感じがします。特に上部や後部がオープンにできる点が気に入っています。軽いハードトップで、開放感が素晴らしいです。
――ルビコンで行ってみたい場所はありますか?
北海道に行きたいですね。クルマにサップボード(SUP:スタンドアップパドルボード)やキャンプ道具を積んで、大自然の中で過ごす旅をやってみたい。アウトドアの楽しみとクルマの相性は抜群です。キャンプでは、よくハンモックを使っていますが、冬にはテントを持参することもあります。ただ、やはりハンモックが一番快適ですね。いずれは車体にハンモックを直接つなげて使うようにしたいと考えています。
遠出のときは積極的に
運転を楽しんでいます
――クルマを運転する頻度はどのくらいですか?
現在のクルマは長距離専用として使っているので、頻繁には乗りません。ただ、遠出する際には積極的に運転を楽しんでいます。クルマを大切に長く乗るためにも、短距離の運転は控えるようにしています。
クルマの全長が5mを超えるので、都内の狭い駐車場では収まりきらないこともあります。ただ、運転そのものは好きなので、内輪差を気にしながら丁寧に運転しています。狭い場所では他のクルマの迷惑にならないよう配慮しています。
――池内さんはYouTubeでキャンプ動画を公開していますが、キャンプ好きは昔からですか?
ずっと興味はあったのですが、始めたのは結構、最近なんです。きっかけがなかったというか……。最初は番組のドキュメンタリーの仕事でキャンプをしたのが始まりです。それからアウトドアの魅力に惹かれて、少しずつ道具をそろえ、本格的に始めました。ゲレンデに乗っていたときはルーフテントを取り付けたりしました。
――サップを積むことはありますか?
海用のサップボードは鎌倉に置いていますが、インフレータブル(空気で膨らませるタイプ)のものを使う時は畳んでクルマに積むこともあります。キャンプに行く際には荷物をたくさん積めるので非常に便利です。
――バイク免許も持っているんですか。
小回りの利く移動手段として興味があって、数年前に免許は取りました。ただ、周囲から危険だからやめたほうがいいとアドバイスを受け、結局バイクは購入していません。以前、番組や雑誌の連載で電動バイクやトライクなどに乗った経験があって、トライクの購入も検討しましたが、同様の理由で見送りました。
電動バイクは面白かったですが、自分が実用的だと思ったのは電動自転車でした。スポーティーなタイプの電動自転車を使用しています。実用性とスタイリッシュなデザインを兼ね備えたもので、とても満足しています。坂道が多い自宅周辺で便利に使っています。
アウトドアを通じて感じるものが
『ゴールデンカムイ』の役とリンク
――池内さんは元々自然派だったのですか?
そうですね。生まれ育ったひたちなか市では、海産物が豊富で自然が身近でした。海も山も好きで、子供の頃から自然の中に行きたいという気持ちが強かったです。ただ、親が連れて行ってくれることは少なく、その思いが溜まって今、40歳を過ぎてあふれた感じですね。
――家庭菜園もやっているそうですね。どんな野菜を育てていますか?
今は唐辛子やヨウガ(ショウガ)を育てています。手間がかからないものを中心に作っています。夏はキュウリやトマトなども育てていましたが、成長が早すぎて手が回らず、今は控えています。
――自然とのふれあいが生活の中でどのような意味を持っていますか?
自然とともに生きることが自分にとってとても心地よいです。山や海、太陽や風を感じるだけで、「生きてて良かった」と思える瞬間があります。当たり前のように感じるこれらの自然との触れ合いが、感謝の気持ちを育ててくれるんです。
――キャンプはソロ派ですか、それとも友人と行くことが多いですか?
基本的には友人と行くことが多いです。ただし現地集合が多いので、それぞれが別々のクルマで向かうスタイルです。
――キャンプとクルマの生活を始めて変わったことは何ですか?
焚き火が好きになりました。また、YouTubeを始めたり、新しい趣味が増えました。焚き火の暖かさや、そこで飲む飲み物のおいしさなど、自然と一体になる感覚がとても心地よいです。焚き火は、まるでサウナのように部分的に暖かく、それが寒さとのコントラストを生むところが心地よいです。また、焚き火の匂いや揺れる炎を見ていると癒やされます。一緒に飲み物を楽しむとさらに良い時間が過ごせます。
――『ゴールデンカムイ』の撮影について教えてください。
ほとんどが森や山の中での撮影で、特に北海道でのロケが多かったですね。移動距離が長くて大変な部分もありましたが、自然の中での撮影は貴重な体験でした。クランクイン前に資料館や「ウポポイ」を訪れてアイヌの歴史を学びました。アイヌの方々が自然を神聖なものとして尊び、共存してきた文化に感銘を受けました。すべてのものにリスペクトを込める姿勢や、食事をいただく際の感謝の心がとても素敵だと感じました。
――キャンプやクルマの趣味が『ゴールデンカムイ』の役作りに影響しましたか?
自然やアウトドアを通じて感じるものが役とリンクする部分も多く、いいタイミングでこの役に出会えたと感じます。役作りをする中でも、自然とのつながりが生かされました。
知床国立公園はプライベートでぜひ訪れてみたい場所です。電線もなく何もない場所で朝日を眺めることに憧れます。車中泊をしながら、数百キロを旅してみたいですね。
クルマは大人の基地
本当に頼れる相棒です
――池内さんは海外作品での撮影参加経験も豊富ですね。そこからの気づきはありますか?
日本の食文化の素晴らしさに気づきました。中国ではパンがとても甘かったり、火鍋が毎日続いたりと、日本の食事とは違う環境で、日本の和食や豆腐のありがたさを再認識しました。
――海外の撮影現場で感じた違いは何ですか?
撮影スケジュールが非常にきっちりしていることです。特に韓国では労働時間が明確に決まっていて、長時間労働はありません。その点では日本も最近、徐々に改善されてきていると感じます。
――言葉の壁を感じたことはありますか?
ほとんどの場合、通訳がいますが、一人で行動するときには言葉の壁を感じることがあります。その場合は英語で乗り切ったり、少しワイルドな対応で何とかしています(笑)。
――最後に再びカーライフについて聞かせてください。JAFに加入していたことはありますか?
はい、JAFを呼んだことはあります。ただ、いつ頃だったかは忘れてしまいましたが、困った時に頼りになる存在ですね。
――ジープに乗るようになって運転のスタイルは変わりましたか?
スピードを出すクルマではないので、高速道路でも左車線をずっと走る感じです。これは良い変化だと思っています。以前乗っていたアウトランダーやゲレンデはスピードが出るクルマだったので、ついついスピードを出してしまいそうになることがありました。でも、今のジープに乗るようになってからは、自然と穏やかな運転になりました。
――クルマは池内さんにとってどのような存在ですか?
クルマは「力強い相棒」であり、大人の基地のような存在です。カスタムを重ねてより快適なアウトドア仕様にしたいと思っています。クルマとともに旅をし、キャンプや自然の中での体験をさらに深めていきたいです。冬のキャンプではマイナス20℃にもなることがありますが、クルマがあれば荷物や食料を運べるし、万が一の時には車内に避難することもできます。災害時にも同様で、本当に頼れる相棒です。
池内博之さんがドライブで聴きたい5曲
- Maxwell『Ascension』…都会へ向かうときに聞きたくなります。
- Black Coffee『Ready for you(feat. Celeste)』…サンセット時にピッタリの曲です。
- 手嶌葵『瑠璃色の地球』…癒やしを求めているときに聞くことが多いです。
- Zhané『Request line』…朝仕事へ向かうときに聞いて気持ちを高めています。
- 『Champagne Supernova』…泣きたい気分のときに聞いています。
(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)
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池内博之
いけうち・ひろゆき 1976年11月24日、茨城県出身。98年、ドラマ『GTO』で注目を集める。主な出演作品にドラマ『ビューティフル・ライフ』(2000)、『八重の桜』(13)、『S -最後の警官-』(14)、映画『アウトレイジ 最終章』(17)、『トップリーグ』(19)、『セイレーンの懺悔』(20)、『ギバーテイカー』(23)、『ゴールデンカムイ-北海道刺青囚人争奪編-』『インフォーマ-闇を生きる獣たち-』(24)など。『イップ・マン 序章』(08)、『スイートハート・チョコレート』(13、日中合作)、『レイルロード・タイガー』(16)、『マンハント』(17、香港中国合作)、『鳳梧洞戦闘』(19、韓国)など海外作品にも多数出演。