バイクに跨る平嶋夏海さん
取材・文=中村彰洋(ENCOUNT)/ 撮影=松橋晶子 / ヘアメイク=天野優紀

モトジムカーナに耐久レース…限定モト・グッツィ乗り平嶋夏海のどっぷりバイクライフ

「一人だけど孤独じゃない」バイクの魅力
目次

AKB48の1期生として活動した平嶋夏海さんは現在“バイク女子”として多数のメディアで活躍しています。身長154㎝と小柄な体形ながらも、愛車は大型バイクのMOTO GUZZI V7 III Racer 10th ANNIVERSARY。取材当日も愛車で颯爽と登場し、お気に入りポイントを明かしてくれました。

YouTubeチャンネル「はしれ!なっちゃんねる」ではバイクの魅力を発信し続けています。平嶋さんにとって、父親とのコミュニケーションツールだったというバイクへの思いを余すことなく語ってもらいました。

父とのタンデムでバイクに開眼!
AKB48時代にナイショで免許取得

微笑む平嶋さん

微笑む平嶋さん

――早速ですが、バイクに興味を持ったきっかけを教えてください。

小学生のとき、2人乗りタンデムで父にツーリングに連れて行ってもらったことがきっかけです。その頃からツーリングが楽しかったので、自分で運転したいなと思うようになりました。中学1年生のときにAKB48のメンバーとして芸能の仕事を始めたんですけど、練習の送り迎えを父がバイクでしてくれたんです。一人で電車を使って帰るよりも楽しい時間でしたね。年賀状にも家族とバイクの集合写真を使ったり、とても身近な存在でした。

――バイクが家族の中心にある生活を送っていたんですね。

家族の中心ではないんですけど、父がバイク好きだから、家族にも好きになってもらいたくて、中心にさせていたのかもしれないです(笑)。

――初めての免許はいつ取得されましたか。

全日制の高校を卒業してすぐに中型バイクの免許を取るために教習所に通い始めました。学校に使っていた時間を教習所の時間に充てました。

――当時はアイドル活動をされていたかと思いますが、バイクに乗ることへの抵抗はありませんでしたか。

私はまったくありませんでした。ただ、その時のマネジャーさんに「バイクの免許を取ってもいいですか?」と聞いたら「危ないからダメだよ」と言われてしまいましたね。「じゃあ黙って通うしかないか」と思って内緒で通い始めました(笑)。免許を取ってからマネジャーさんに報告したら「え、乗らないでよ」って。

乗るのを控えるつもりはなかったのですが、当時は1人でバイクに乗りたいというよりも、父とツーリングに出かけたいという気持ちが大きかったので、バイクに乗るときは、常に父と一緒でしたね。20歳頃は、友達と遊ぶことが楽しい時期でもあったので、バイクに乗るといっても年に2回ぐらいでした。頻繁に乗るようになったのは、23歳ぐらいからでしたね。

――最初の愛車について教えてください。

父が私の免許取得祝いでホンダのVTR250を中古で買ってくれたので、それにずっと乗っていました。今もモトジムカーナというタイムアタックの競技用として乗っています。

愛車試乗の日はまさかの大雨!
V型エンジンがお気に入り

エンジンを紹介する平嶋さん

――平嶋さんは大型バイクの免許も所持されていますね。

中型免許を取ってから5年後ぐらいに取得しました。バイクの仕事をするようになって、いろんなバイクを目の前で見たに「かっこいいな」と思っても、自分には大型の免許がないので乗ることができない。その状況がすごくもったいないと感じたんです。

――大型免許を取得して、初めて自分のお金で購入したバイクが今日も乗ってきていただいたMOTO GUZZI V7 III Racer 10th ANNIVERSARYですね。

父に買ってもらったVTR250があったので、何の不便もなかったんですけど、ツーリング用の大型バイクも欲しいなと思うようになりました。当たり前かもしれませんが、周りの“バイク女子”と呼ばれる人たちは自分のお金で買っていたんですよね。「甘えすぎているな」とも考えるようになって、自分でバイクを買おうと決めました。

――MOTO GUZZIというイタリア車を選んだ理由を教えてください。

試乗した日が大雨でものすごい天気が悪かったんです。そんな環境下でも楽しく乗れたんです。レーシーなスタイルなのに楽しくツーリングできました。元々気になっていた一台で、10th ANNIVERSARYの限定車なんです。メーカーの人に相談したら、「限定車で年が変わったらもう販売しないよ」と背中を押されて、3年半前に購入しました。父が“ホンダ党”だったので、父が買わないようなバイクにしたいなと思ったのも理由の一つですね。

――実際に乗られてみていかがですか。

外国車に対して壊れやすいイメージを持っている人も多いと思うのですが、一度も故障することなく乗れています。私ももっと苦労するかなと覚悟はしていたのですが、全くそんなことはありませんでした。走っていてもツーリング向きな乗り味なので、楽しいですし、限定車なので人と被ることもほぼないですし、買ってよかったです!

――お気に入りのポイントを教えてください。

エンジンと赤いエンブレムです。MOTO GUZZIはV型縦置きエンジンが特徴的なんです。エンジンを見て「あ、MOTO GUZZIのエンジンだ!」となるような象徴的な部分です。

――バイクをご自身でカスタムすることはありますか。

最初にエンジンガードなどを付けたりはしましたが、乗り味に関わるような中身の部分のカスタムは何もしていないです。外身のパーツもいろいろ付けたいなとも思ったのですが、限定車だから初めから付いているものが多いんですよね。逆に変えたら地味になっちゃうので、ほとんど触っていません。

でも、VTR250はモトジムカーナという競技をやっているので、それ用にめちゃくちゃ換えています! フロントサスペンションのインナーカートリッジをNSR250(ホンダ)のものに変えたり、ハンドルの向きだったり、サスペンションのバネのセッティングもイジってみたり……。シートのアンコ抜きやステップの位置を上げたりと自分の体形に合うようにしています。でも、保安部品や灯火類はちゃんと付けているので公道も走れます。

モトジムカーナでバンク練習中
膝を擦れるようになりたい!

椅子に座る平嶋さん

――そんなモトジムカーナを初められたきっかけは?

警察が主催する安全運転講習会にたまに行っていたんですけど、自分が乗っている姿を客観的に見たときに「下手くそだな」と感じて……。もっと周りの人が見ていて安心できるように、ライディング技術を磨きたいと思って始めました。父も娘に乗らせている以上、安全に乗ってほしいという気持ちも強かったと思います。私が半年に1回ぐらいしか乗らなかった頃は、講習会に参加してからツーリングに出かけていましたね。

父は最近ツーリングにはあまり行かなくなってしまったのですが、モトジムカーナの練習のときはハイエースに2台積んで、一緒に行っています。娘と一緒に来る人はほとんどいないので、父は友達に「いいね」ってうらやましがられています(笑)。最近はみんなに「今日はなっちゃん来てないの?」って言われるから、一人で練習場に行くのが気まずいって言っています(笑)。

――まるでマスコットキャラクターですね(笑)。2023年にはMotoフェスティバルで3人チームでの耐久レースにも出場されていましたね。

雑誌の企画で出場して、ライディングスーツを着て走り切りましたね。25歳ぐらいのときから何度か大会には出場させてもらっていますが、バイクって見た方向に進むんだなと実感しています(笑)。「ぶつかる!」と思って、壁が近くなるとそっちの方向を見たくなりますが、それだと、曲がりたい方向に曲がれなくなってしまうんです。大クラッシュはまだ経験していないですが、初練習のときは壁にぶつかりそうになって、急ブレーキをかけてコケたことはあります。恐怖に打ち勝たないとダメだなと体感しました。

まずは、膝を地面に擦れるようになりたいんです。しっかり膝を広げないとダメなんですけど、膝を擦ることができると「ここまでバンクできる」といった目安になるので、運転が安定するんです。膝を閉じていると、どんどん倒れていって限界を超えちゃうので、転倒しやすくなっちゃうんです。

――そのためには練習が必要なんですね。今後も挑戦は続けられるのでしょうか。

自分でレース用のバイクを購入したり保管することは難しいのですが、オファーをいただければやりたい気持ちはあります!

――現在はバイクを何台所持されていますか。

MOTO GUZZI V7 III Racer 10th ANNIVERSARYとホンダVTR250。父からもらったVRX400。昨年、ハンターカブを父への感謝の気持ちを込めて購入したので、合計4台です。

――乗り分けが大変そうですね。

長距離はMOTO GUZZI、都内だったらハンターカブ、モトジムカーナでVTR250といった感じです。VTR250は常にハイエースに載せていますね。VRXは乗ることがほとんどなくて、ガレージの中に数年眠っています(笑)。

――新しいバイクを購入する予定はありますか。

今、2台ぐらいで迷っているんです。大型のミドルクラスを買おうかなと思っていて、MOTO GUZZIも手元に置いたまま、増車したいなと考えています。MOTO GUZZIはカスタムをほとんどしていないので、たくさんカスタムできるような一台にしたいなと考えています。年内に買えたらいいですね。

――これだけバイクに熱中していると、お父さまも喜んでいるのではないでしょうか。

MOTO GUZZIを買ったときも自分のお金で欲しいと思えるバイクに出会えたことに喜んでくれました。初めて一緒に行ったツーリングは富士山だったんですけど、教習所では3速までしか使うことがなくて、何を間違ったのか、私は3速までしか存在しないと思い込んでいたんです。高速道路のサービスエリアで嘆いたら「何速まであげてる?」と聞かれて、「ちゃんと3速まであげてるよ!」って答えたら、「3速でスピード出そうとするんじゃねえ!」ってめちゃくちゃ怒られました(笑)。「車種によっては壊れるからな」って。しかもそれに気づいたときはもう帰り道だったんです(笑)。

結婚、出産をしても
リターンライダーに

インタビューに応える平嶋さん

――平嶋さんはどういうときにバイクに乗りたくなりますか。

暖かくなってきた時期の夕方から夜の時間帯は最高ですね。路面のモワッとした空気を感じながらも、風は涼しいみたいな。辺りもちょっと茜色に染まってきたぐらいが本当に気持ちいいです。

バイクは、移動手段で乗ることはないので、本当に趣味ですね。リラックスというよりも遊ぶ感じです。YouTubeをやっているので、ツーリング=撮影ってなっちゃうんですよ(笑)。「どうせ行くなら撮影しよう!」って。なので、「動画のストック作るために乗らなきゃ」ってなるときもありますね(笑)。

――いつまでバイクに乗っていたいですか。

250ccぐらいの小型バイクをカスタムして乗っているおばあちゃんになりたいんです。今後、もしかしたら結婚したり、出産を経験するかもしれません。そのときは育児もあるので、バイクから離れてしまうだろうなとは思っています。でも、30~40代でバイク離れして、40代後半からリターンライダーとして復帰する人も多いので、私もそうなりたいなと思っています。私が20代半ばのときに人気で、リターンライダーになった頃には絶版になっているようなバイクを手に入れて、カスタムして乗りたいです。

――YouTubeでその様子が紹介される日を待っています(笑)。バイクについてSNSなどで発信する際に意識していることはありますか。

「女の人や小柄な人でもバイクに乗れるんだよ」ということを伝えられたらいいなと思っています。結婚や転勤などがきっかけでバイクが好きだけど乗らなくなってしまった人たちがリターンライダーとして戻ってくるきっかけにもなれたらいいなと思います。

バイクライフが広がるようなことを発信したいと常に考えています。実際に私がツーリングで行った場所を“聖地巡礼”してくださる方だったり、「なっちゃんがきっかけでバイク免許取ります」という声ももらえてうれしいです。

――街中でもすぐ「平嶋さんだ!」とわかってしまいそうですね。

そうなんです(笑)。この間も湾岸道路を走っていたら、後ろにいたバイクが前に来て、「なんだろう?」と思ったら、めちゃめちゃ手を振られたんです。それから1週間後ぐらいに私のイベントが箱根であったんですけど、そこで「湾岸で手を振ったの僕です!」って声を掛けてもらいました。珍しいバイクに、今日も着て来たジャケットで走っていたので、すぐわかっちゃったみたいです(笑)。

――平嶋さんは車に乗りたいと思うことはありますか。

車に乗りたい気持ちもあります。中型の免許を取得した後に、車の免許も取得しました。だけど、今はペーパードライバーで3年ぐらい乗っていないんです。オートマの免許しか持っていないので、初心者講習がてらマニュアルの免許を取り行きたいなとも考えています。女性でマニュアルって驚かれることも多いと思うので、そうなりたいんです(笑)。

――今回のインタビューはJAF Mate Onlineに掲載されますが、JAFの印象は?

私は入っていないのですが、周囲にめっちゃ勧められます。いろんなバイクに乗る仕事も多いですし、車にも適用できて便利なので、加入を考えています。

――最後に平嶋さんが思うバイクの魅力を教えてください。

乗っているときにデジタルデトックスができる点がいいなと思っています。何か考え事をしたいときや頭をとりあえず空っぽにしたいときに、一人で誰にも話しかけられることもなく、携帯の着信やメールに邪魔されることもない。でも周りには走っている車がいたりするので、孤独なわけでもない。それがバイクに乗っていて魅力に思う瞬間ですね。

バイクは、私にとって家族とのコミュニケーションツールになっています。実家にバイクを置いているので帰るきっかけにもなっていますし、父と話すことも増えました。どれもバイクのおかげですね。

平嶋夏海さんがツーリングで聴きたい5曲

  • Omoinotake「幾億光年」…早朝出発の時、1曲目に選ぶことが多いです。
  • Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」…ヘルメットの中で大声で歌いながら青空の下を走りたいです。
  • AKB48「夕陽を見ているか?」…帰り道に夕陽をみながら聞くのが好きです。
  • 緑黄色社会「花になって-Be a flower」…イントロ聞こえた瞬間テンション上がります。
  • サザンオールスターズ「希望の轍」…海沿いを走るときにサザンは欠かせません!

(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)

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応募期間は終了しました。

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平嶋夏海

ひらじま・なつみ 1992年5月28日、東京都出身。2005年にAKB48の1期生としてアイドル活動をスタートし、12年まで在籍。その後はグラビアアイドルやタレントとして活動。小柄な体格ながらも“バイク女子”として多数のメディアに出演中。YouTubeチャンネル「はしれ!なっちゃんねる」では、精力的にバイクの魅力を発信し続けている。

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