高橋克典、日産ブルーバードから始まる至高の愛車遍歴。車に求める「自由な感覚、自分だけの空間」
若き日のアメ車から歴代のメルセデス…そしてこれから乗りたい車を語る歌手で俳優の高橋克典さんは1993年にシングル「抱きしめたい」で歌手デビューし、俳優としてはTBS系「サラリーマン金太郎」シリーズ(1999~2004年)、テレビ朝日系「特命係長 只野仁」シリーズ(2003~17年)などで知られています。
最近ではWOWOW×東海テレビ 共同製作連続ドラマ「ギフテッド Season2」、テレビ東京のドラマ8「ハイエナ」などで危険な匂いもする大人のキャラクターを好演。12月24日にはBillboard Live OSAKAでJAZZライブを開催します。
プライベートでは、車やバイクをこよなく愛する高橋さん。10代の頃からの愛車遍歴や深いこだわりについてお聞きしました。
日産ブルーバードが愛車遍歴の始まり
故障の多いアメ車も「それが面白かった」
――体形も変わらず、いつまでも若々しいですね。秘けつはなんですか?
『特命係長 只野仁』に出演していた時などは役作りとして鍛えていましたが、 今は週に何回かジムに通っている感じです。怪我をしないよう無理なく着実にトレーニングしています。
――早速ですが、免許はいつ取得されましたか?
18歳のときに普通自動車免許を取得しました。バイクも好きだったので、最初は原付に乗って、中型自動二輪、大型自動二輪の免許も取りました。
――最初の車は?
日産ブルーバードSSSです。沢田研二さんがコマーシャルに出ていました。マニュアルでターボエンジンを搭載していた4ドアのクーペ。センターピラーがないモデルです。親を駅まで送り迎えすることを条件に手に入れました(笑)。5、6年は乗っていたんじゃないかな。それから、同じくブルーバードのSSSアテーサ、4WDに乗り換えて、その後は日産マキシマかな。これは親の好み。親の送迎はよくやりましたよ。
――ご自分で選ぶようになってからは?
シボレー・カプリス(5,700cc)、カトラスなど中古の安いアメリカ車に乗りました。
――大排気量モデルですね。
大きなエンジンを搭載した個性的なアメリカ車が好きでした。当時はピカピカに磨き上げて乗るという感じではなくて、普通にボロい感じのものを安く乗るという感じでした。時代が時代だったので、仲間内でいろんな車が回ってくることもあったんですよ。
――でも、大きな車で都内を走るのは大変そうですが……。
確かに都内は大変でしたが、広々とした車内空間が魅力でした。窓に開放感がありましたし、この狭い日本という国でも、車を通して大地の広さを感じる、そんな気分を味わいたかったんです。窓を開けて、高い位置にある窓枠に肘を置いて運転している感覚が好きでした。今の車は窓が小さいので、あの感覚は味わえない。懐かしいですね。
――安いといっても、それなりの価格だったんではないでしょうか。
当時は手頃な価格で手に入れることができたんです。今の旧車ほど高価ではありませんでしたよ。オールズモービルのカトラス(3,800cc)にも乗っていましたが、整備不良みたいな車でした。窓はちゃんと閉まりません、サイドブレーキもないような車で、故障も多かったのですが、それが逆に面白かったんですよね。若い頃はお金もなかったので、必要な部分だけ修理して、ギリギリ直して乗っている。お金はガソリン代に消えるみたいな感じでしたよ。
――故障なども多かったとのことですが、JAFには加入されていましたか?
長い間、お世話になっています。夜遅くに車がバッテリー上がりで止まったり、山奥でのトラブルでも、すぐに来ていただいて、大変助かった思い出もありますね。
タイヤのパンク、それから、内鍵をしてしまったこともありましたね。車のトラブルに遭うと、途方に暮れますよね(笑)。今は車関係の仲間も増えましたけれども、咄嗟の時にJAFは電話一本かければ、どこでも駆けつけてくれる本当に心強い存在です。
息子の誕生を機にポルシェ911カレラに
ベンツC180は1週間で乗り換え
――シボレー・コルベット、ポルシェにも乗られていたそうですね。
先にコルベットに乗って、その後ポルシェです。ポルシェの1台目はボクスター(オープンカー)。息子が生まれて、ポルシェ911カレラ4Sに乗り換えました。ポルシェは息子に乗り継がせたいという思いがあって、最近まで手元に置いておいたんですが、息子のほうはそんな感じでもなかったので、結局、手放してしまいました。
――メルセデス歴が一番長いですか。
仕事用には500Eに乗っていました。500Eはメルセデスがポルシェに開発を依頼したという成り立ちから惚れて、何台か乗り継ぎました。加速もいいし、便利なので、ほかの車は乗らなくなって、手放しました。ベンツは随分乗りましたよ。子供が生まれて購入した、C180のワゴンタイプは1,800ccにパワー不足を感じてしまって……。マニュアルトランスミッションならよかったのでしょうが、オートマだったんです。それにワゴンタイプの車だったので、信号待ちをしているときに急に我慢ができなくなって、1週間で乗り換えてしまいました。
――それは潔い決断ですね。
その後はAMG E63を何台か乗り継ぎ、リース期間満了になって、買い取るか、乗り換えるかという選択を迫られたんです。すぐにモデルチェンジがあることはわかっていたし、コロナ禍で車の流通量も減っていたんで、どうしたものかな、と。
E63は足としても使っていたのですが、大排気量に飽きたのと、今のご時世、地球環境的にもよくないかなと思い始めていたところに、新古車のE200に巡り合いました。ハイブリッド、1,500cc、ターボ、4WD。これがよく走るんですよ。都心で乗るにもいい。古い駐車場にもちゃんと収まってくれる。今、息子がスキーをやっているので、スキー場への送迎でも活躍していますね。
――SUVタイプはいかがですか? スキーなどには活躍しそうですが。
SUVにはなぜかあまり興味がないんです。車高が低い車に魅力を感じますね。地面との距離感が好きです。と言っても、フェラーリやランボルギーニのような車高の車よりもGTタイプが好き。平たい車は昔から高価でしたが、持ってしまうと、メンテナンスにこだわりすぎてしまうので、僕にはあまり向いていないかなと思ってしまいます。
――車のメンテナンスはどうされていますか。
信頼できる整備業者がいるので、頼むことが多いです。今の車はいじるところはほとんどないという印象です。E200にはE-FORCE(電気を除去するパーツ。燃焼を科学的に捉えたチューニングシステムで、出力の向上および燃費効率の向上を促す)を取り付けたり、タイヤに窒素ガスを入れるなど足回りをお願いしました。しっかりとした仕上がりになっていて、これだけでもグレードが一つ上がる感じがします。安定して、走りやすくなりました。
車に求めるものは
「自由な感覚、自分だけの空間」
――将来的に乗ってみたい車はありますか。
いくつもありますよ。やっぱり、旧車は乗ってみたいと思っています。今さらアメ車もいいし、国産なら、トヨタ セリカ2000GT、1600ST、日産スカイラインGT-Rとか。GT-Rをクーペとセダンの2台持っている先輩がいて、「死んだら、俺にちょうだいね」と冗談を言っているんですけど、周りの人が持っているのを見ているだけでも十分かなとは思っています。持っていても、実際乗る時間はあまりないですから。
――車に求めているものは何ですか。
自由な感覚と、自分だけの空間です。車内で音楽を聴きながら、景色を眺めることが好きです。車の中で考え事をするのも楽しいです。
――高橋さんはバイク好きとしても有名です。劇場版『サラリーマン金太郎』のときは70年代カワサキの伝説的なバイク750RS(通称Z2)に乗っていましたよね。
Z2は手放しました。ずっと知り合いのバイク屋さんに預けていたんですが、大切にしてくれる人が身近で見つかったんです。その人は「譲ってくれたら、車庫を建てて、大切にする」とまで言ってくれて。今は、カワサキの角タンクのZ1000Mk.Ⅱに乗りたいと思って、探しているところです。譲ったバイクもありますが、今どこにあるのかわかっているので、いつでも会えるようにはなっているんです(笑)。
――愛車を手放す時も、友人や知り合いに譲るという選択はいいですね。
若い頃から、友人や知人から譲ってもらったり、譲ることも何度かありましたね。やはり深い深い愛着のあるものですから、個人でも業者さんでもそれをちゃんとわかってくれて引き受けてくれる相手じゃないと託す気にはなれませんからね(笑)。
――最近はドライブに行く時間はありますか?
なかなかないですが、14歳の息子がアルペンスキーを始めてからは長距離を走ることもあります。スキー関係の友人たちは本当に長距離ドライブが好きで、北海道、滋賀、富山など遠くまで行く人もいますね。
――息子さんとはどこまで出かけるのでしょうか。
一番多いのは長野です。今年からは福島に足を延ばしています。その道中はいい時間が過ごせます。
――ドライブの時はどんな音楽を聴いていますか?
そう、「5曲選んでください」と言われていたんで、相当考えたのですが、全然選べなくて……。というのも、一人で運転する、家族でいる、息子と行くなどシーンや天気によっても、気持ちが変わると思うんですよね。好きな音楽を聴きながら、その瞬間の気分を楽しむのがいいと思います。
たとえば、カトラスは古くて、なんでもないアメ車なんですけど、すごい気持ちよかったんですよ。そんな古いアメ車に乗って、風が気持ちいい季節だったら、ジム・クロウチやボブ・ディランみたいなフォーク・ソングやイーグルスが聴きたくなるかな。
国内のミュージシャンだったら、山下達郎さん、桑田佳祐さん。雨とか夜なら、キース・ジャレット、チェット・ベイカーなどなど。チェロを弾くようにもなったので、ミッシャ・マイスキーやカピュソン、深夜にはテクノとか、スリップノットみたいなロックも。
――本当に幅広い楽曲をお聴きになっていますね。最近の曲も聴きますか。
息子と一緒の時はKing Gnuですね。一番聴いているかもしれない。聴いているうちに、ピンク・フロイドやイエスとか、70年代のプログレッシブ・ロックにいきたくなる。世界観に広がりがあるんです。息子と聴くのは最近のヒットチャートから少しずつ広がっています。キッスやクイーン、レインボーも好きで、よく聴きますね。
――これは、気分があがりそうです。アクセルを踏みたくなりますね。
それはアウトです(笑)。僕は安全運転を心がけていますよ(笑)。
高橋克典さんが雨のドライブで聴きたい5曲
- マリオ・ビオンディ「This Is What You Are」
ビオンディはイタリアの国民的なシンガー。アルバム『Handful of Soul』に収録されています。静かな展開ですが、熱量もあって、グルーブ感があります。ライブでも歌っています。 - チェット・ベイカー「Everything Happens to Me」
ベイカーは西海岸を代表するトランペット奏者でボーカリスト。この曲はジャズのスタンダード。雨の日はジャズが合う気がします。 - ヴァンゲリス「One More Kiss, Dear」
ハリソン・フォード主演のSF映画『ブレードランナー』(1982年)の挿入歌。チャイナタウンでの場面でかかります。自分が映画の主人公になったような気持ちになれます。 - キース・ジャレット「Be My Love」
ジャズの大御所ピアニスト、キース・ジャレットによるピアノ曲。このバージョンには歌詞はないですが、もともとは映画主題歌で、ライブでもよく歌っています。 - ルー・ドナルドソン「THE LONG GOODBYE」
レイモンド・チャンドラーの探偵小説をエリオット・グールド主演、ロバート・アルトマン監督で映画化した『ロング・グッドバイ』(1973年)のテーマソング。劇中では、アレンジを変えて、旋律が流れてきます。
(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)
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・プレゼント内容:高橋克典さん直筆特製サイン色紙
・応募方法:下記応募フォームをクリックしてログインIDとパスワードを入力。
※応募にあたってはJAFマイページと同じID・パスワードでのログインが必要です。
・当選者数:3名(発表は発送をもって代えさせていただきます)
・応募締切:2024年1月17日
- 応募期間は終了しました。
※オークションサイト、フリマアプリなどでの転売を禁止します。
高橋克典
たかはし・かつのり 1964年12月15日神奈川県出身。1993年にシングル「抱きしめたい」で歌手デビュー。同年に日本テレビ系ドラマ「ポケベルが鳴らなくて」に出演。以降、俳優として数多くの映画やテレビドラマで活躍。代表作にTVドラマではTBS系「サラリーマン金太郎」シリーズ(1999~2004年)、テレビ朝日系「特命係長 只野仁」シリーズ(2003~17年)、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(2020~21年)、NHK「ひきこもり先生」(2021年)などがあり、映画では『サラリーマン金太郎』(1999年/三池崇史監督)、『新 仁義なき戦い/謀殺』(2003年/橋本一監督)、『アウトレイジ ビヨンド』(2012年/北野武監督)など。