大洲松川ライン(福島県)。太平洋の海と宇多川の流れが生んだ唯一無二の海岸道路
絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
太平洋の海と宇多川の流れが生んだ唯一無二の海岸道路、大洲松川ライン(福島県)を走ります。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。
福島県唯一の潟湖(せきこ)「松川浦(まつかわうら)」を望む
福島県相馬市にある潟湖が松川浦。潟湖とは湾が砂州(さす)によって海から隔てられた地形で、松川浦も汽水湖になっている。大小の島や岩が点在し、風光明媚(ふうこうめいび)な眺めが楽しめ、日本三景の松島にも似ているエリアだ。古くは万葉集にもうたわれており、江戸時代には相馬中村藩主の行楽地となっていた。現在では日本百景の一つに選ばれ、県立自然公園にも指定されている。
写真2 風光明媚な文字島の近くは、海苔(のり)の養殖も盛んだ
松川浦を海から隔てる砂州の上に5kmほどの直線路がある。大洲松川ラインと呼ばれ、真っ平らで遮るものが何もない。この海岸線を、潮風を受けながらのんびりと走るのは至高の時間だ。波の打ち寄せる荒々しい太平洋と、静かな潟湖の入り江となっている松川浦との美しさの対比は見事で、相馬の美しい景観を眺めながら気持ちの良いドライブが楽しめる。
美しい紺碧(こんぺき)の海を望む鵜ノ尾(うのお)岬
写真3 波が高いため、灯台近くのカゲスカ海岸はサーファーに人気の場所だ
鵜ノ尾岬の南側は防潮林や防風林としてクロマツが植栽されているが、北側は堤防が築かれ漁港となっている。鵜ノ尾岬には夕陽の広場があり、ここから松川浦の向こうに夕日を望むことができる。人気の眺望スポットとして、昭和28年に建てられた白亜の鵜ノ尾埼灯台もあり、遊歩道の階段を上っていくと岬の上から松川浦や太平洋を望むことができる。
大洲松川ライン(福島県)データ
大洲松川ラインへのアクセスは、常磐自動車道・東北中央自動車道の相馬ICから国道115号で相馬市街方面へ。県道38号相馬亘理(そうまわたり)線に接続し尾浜方面へ進む。大洲松川ラインまでの道中にある松川浦漁港付近は、地場の食堂などがある観光エリアとしても人気だ。
本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。
大洲松川ライン近くの日本遺産は、こちらをチェック!
日本遺産 とは、文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通して、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定する制度です。大洲松川ラインが走る福島県の近くにも日本遺産があります。ドライブの続きで訪れてみてはいかがでしょうか?

須藤英一
1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape
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