人吉ループ橋・えびのループ橋
写真1 人吉ループ橋は、えびのループ橋より前に建設された。

人吉ループ橋・えびのループ橋(熊本県・宮崎県)。2つのループ橋で険しい山を結ぶ山岳ルート

絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
須藤英一

険しい山を、人吉ループ橋・えびのループ橋(熊本県・宮崎県)の2つのループ橋で結ぶ山岳ルートを走ります。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。

目次

熊本と宮崎をつなぐ貴重な生活道

熊本県人吉市から宮崎県えびの市へ向かうには険しい加久藤(かくとう)峠を越える。現在は九州縦貫自動車道の加久藤トンネルで通り抜けられるが、一般道で越えようとすると国道221号の加久藤トンネルを抜けることになる。そしてこのトンネルの前後には2つの大きなループ橋がある。

写真2 人吉ループ橋の区間は1,190m、橋脚の高さは最高60mになる

今回紹介するのはこの国道221号で、加久藤トンネルの南北にある人吉ループ橋とえびのループ橋という2つのループ橋を走るルート。両県を結ぶ一般道路の大動脈のために交通量は多いが、一気に走り抜ける快走路だ。ループ橋とは急勾配を緩和するためにらせん状に作られた橋で、人吉ループ橋は昭和52年に開通した。ループの直径190mで橋脚の高さは最高60mある。人吉から球磨川(くまかわ)の支流である鳩胸川に沿って走ると山の中に突然ループ橋の橋脚が見えてくる。途中にある駐車スペースに車を停めて下から見上げるとループ橋が見える。さらに走ると今度は上からループ橋を眺めるられる。

回りながら進む貴重な山あいのループ橋

写真3 えびのループ橋からはえびの盆地も一望できる

加久藤トンネルを抜けるとえびのループ橋になる。ループは二重回転になっているが橋とトンネルを組み合わせたために全容を見るのが難しい。かなり大きな円を描いているために、人吉ループ橋のようにループを走っているという感覚はないかもしれない。

写真4 トンネルを抜けると一面に広がる火山跡に形成されたカルデラ地形

しかし橋の上を走っているときは眼下に雄大なえびの盆地の景観を眺められる。その向こうには霧島連山がそびえて、まるで空を飛んでいる気分になれる。えびのループ橋を眺めるには南側にある国道268号を走るといい。

写真5 山あいをほぼ直線で抜ける道のため橋脚を利用した道路だ


人吉ループ橋・えびのループ橋(熊本県・宮崎県)データ

熊本県の人吉市から宮崎県のえびの市をつなぐ国道221号。2つのループ橋は同じ国道にある。熊本県側からのアクセスは国道219号の「道の駅人吉」を目印に国道221号へ入る。道中には休憩スポットもあり撮影なども可能だ。2つのループ橋上には駐車スペースはないので、注意が必要だ。

本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

人吉ループ橋・えびのループ橋近くの日本遺産は、こちらをチェック!

日本遺産 とは、文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通して、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定する制度です。
人吉ループ橋・えびのループ橋が走る熊本県・宮崎県にも日本遺産があります。ドライブの続きで訪れてみてはいかがでしょうか?

須藤英一

1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape

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