奥出雲おろちループ
写真1 高低差105mを駆け上がるループは1982年の着工から10年の歳月をかけて完成した(撮影エリアは地図1を参照)

奥出雲おろちループ(島根県)。製鉄文化が生んだ唯一無二の輸送ルート

絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
須藤英一

人里離れた山々に囲まれた製鉄文化が生んだ、唯一無二の輸送ルート。奥出雲おろちループ(島根県)をドライブします。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。

目次

日本最大級の二重ループ方式

島根県東部にある奥出雲町(おくいずもちょう)は豊かな自然と歴史文化が息づく山あいの町。東側に鳥取県、南側に広島県が接している。古くから鉄の産地として栄え、日本刀の鋼材になる「玉鋼(たまはがね)」を生産するための古代からの製鉄法「たたら製鉄」が有名。現在も町内にはたたら製鉄の遺跡や資料館などが残されており、当時の様子をうかがい知ることができる。

写真2 上りのひとつめのループは半径100m、ふたつめのループは半径200mと円が大きくなる構造だ

写真2 上りの1つ目のループは半径100m、2つ目のループは半径200mと円が大きくなる構造だ(撮影エリアは地図2を参照)

この奥出雲町を南北に走るのが国道314号で南側の広島県とはかなりの高低差があるために、坂根と三井野原(みいのはら)区間に日本最大規模の二重ループ方式道路ができた。大小11の橋と3つのトンネルから成るループ方式道路は日本神話の「ヤマタノオロチ」から「奥出雲おろちループ」と名づけられた。

写真3 三井野大橋の赤色とループの湾曲した弧を表現した石碑は、奥出雲おろちループ展望台の新平家(しんへいけ)橋近くに設置されている(撮影エリアは地図3を参照)

写真3 三井野(みいの)大橋の赤色とループの湾曲した弧を表現した石碑は、奥出雲おろちループ展望台の新平家(しんへいけ)橋近くに設置されている(撮影エリアは地図3を参照)

奥出雲の製鉄文化が生んだ貴重な輸送経路

広島県から向かった場合、JR木次線三井野原駅を過ぎて短いトンネルを出ると目の前の視界が広がり橋の上を走りながら下に円を描いて下っていく道路が見る。道路は緩やかなカーブで大きな円を描いて回りながら下っていく。大きな円のために全貌を一度に見ることはできないが、途中にある「道の駅奥出雲おろちループ」や「おろちループ展望台」でこのループ方式道路を楽しむことができる。


奥出雲おろちループ(島根県)データ

島根県仁多(にた)郡奥出雲町・出雲横田の市街地から約12kmほど南下すると、国道314号は八岐大蛇(やまたのおろち)よろしくループを始める。広島方面へ進み、JR三井野原駅までの約3kmが「奥出雲ループ」とされ、ループ頂上付近には道の駅奥出雲おろちループがオープンしている。

本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

須藤英一

1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape

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