写真1 麦草峠では心地よい涼風を夏でも味わえる(撮影エリアは地図1を参照)

国道299号麦草峠(長野県)。季節ごとの魅力が味わえる、標高2,000m超のパノラマルート

絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
須藤英一

季節ごとの魅力が味わえる、標高2,000m超のパノラマルート、国道299号麦草峠をドライブします。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。

目次

季節ごとに魅力が味わえるメルヘン街道

麦草峠(むぎくさとうげ)は長野県茅野市(ちのし)と佐久穂町(さくほまち)を結ぶ峠道にあり、最高地点の標高は2,127mある。この場所は麦草峠よりも佐久穂町側に数百m進んだ地点で、日本の国道では国道292号の渋峠に次いで2番目に標高の高い場所となる。国道299号は「メルヘン街道」の愛称でよく知られているが、今回紹介するのはその一部。春には新緑、夏には豊かな緑、秋には紅葉が楽しめ、季節ごとの魅力が味わえるルートだ。

写真2 針葉樹に囲まれた道の向こうには北アルプスの山々が見られる(撮影エリアは地図2を参照)

写真2 針葉樹に囲まれた道の向こうには北アルプスの山々が見られる(撮影エリアは地図2を参照)

メルヘン街道の茅野市側から進むと、まずは蓼科(たてしな)高原内の別荘地の中を走る。美しい針葉樹に囲まれたルートで、青々とした森林が目に飛び込んでくる。曲がりくねった道を走っていくと、やがて遠くに雄大な景色が広がった。稜線が連なる絶景は、南アルプスや八ヶ岳の山々。場所によっては御嶽山(おんたけさん)から北アルプスまで見渡すことができる。峠には駐車場があり、車を止めて神秘的な白駒池を散策するのも楽しい。

写真3 真っすぐ縦に伸びた木立の道を抜けると、美しい浅間山の稜線が現れる(撮影エリアは地図3を参照)

写真3 真っすぐ縦に伸びた木立の道を抜けると、美しい浅間山の稜線が現れる(撮影エリアは地図3を参照)

自然をそのまま切り取ったような自然園

麦草峠を越えて、佐久穂町の八千穂高原へ。峠からの下りは急なカーブの連続となるが、それが終わると浅間山方面の眺めが楽しめる。八千穂高原スキー場を過ぎると、自然をそのまま切り取ったような八千穂高原自然園になる。シラカバやカラマツ、ミズナラなど変化に富んだ自然林の木立や清らかな渓流と滝があり、散策すれば気持ちもリフレッシュできるだろう。特にこの一角には、東洋一とも言われる約50万本のシラカバ林がある。


国道299号麦草峠(長野県)データ

茅野市から埼玉県入間市を結ぶ国道299号のうち、八ヶ岳を東西に横断する国道299号(メルヘン街道)のほぼ最高地点区間である麦草峠は、北八ヶ岳の丸山と茶臼山の間に位置する。国道292号の渋峠(標高2,172m)に次ぎ、日本の国道では2番目に標高が高い。峠付近は比較的なだらかな道が続くが、それを過ぎると両側とも勾配が厳しく、狭いヘアピンカーブが続く。関東からそう遠くはない割に、景色や気温の変化による秘境感が手軽に味わえる。冬期(11月~4月)は通行止めになるので事前に茅野市の公式ウェブサイトで確認しよう。中央自動車道・諏訪ICから国道299号経由で麦草峠駐車場までは約30km。

本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

須藤英一

1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。

日本の絶景・Japan Beautiful Landscape

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