写真1 広大な阿蘇外輪山と九重(くじゅう)連山を望む道(撮影エリアは地図1を参照)

阿蘇パノラマライン(熊本県)。世界最大級の火山を望む、九州随一の絶景ドライブウェイ

絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
須藤英一

世界最大級の火山を望む、九州随一の絶景ドライブウェイ・阿蘇パノラマライン周辺をドライブします。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。

目次

現在も活動中の世界最大級の火山・阿蘇山

阿蘇山は単体の山ではなく、巨大なカルデラの中の活火山群(阿蘇五岳)の総称。阿蘇五岳を中心とした中央部の山々とその周辺に広がる外輪山までを含めると、南北約25km、東西約18km、周囲約128km、面積380km2もある世界最大級の火山だ。この外輪山の中には阿蘇市・高森町・南阿蘇村がある。火山の中に3つの自治体があることで、その大きさがわかる。五岳のひとつ阿蘇中岳は現在も活動を続けており、激しく噴煙を上げる様子には地球の力強い息吹を感じる。

写真2 広々とした草原の中、草を食む牛の姿が見られる(撮影エリアは地図2を参照)

写真2 広々とした草原の中、草を食む牛の姿が見られる(撮影エリアは地図2を参照)

阿蘇パノラマラインはこの阿蘇中岳の西側を縦断するルートで、九州でも最も人気のあるドライブルートのひとつ。JR豊肥本線の阿蘇駅前から出発すると、道はすぐに上りはじめる。やがて中腹の牧場地帯を走るが、このあたりの眺めが美しい。カルデラの中にある阿蘇市の町並みや内牧の温泉街、そしてそれを囲むようにそびえ立つ外輪山の全貎、その向こうには、くじゅうの山々がそびえる。牛や馬がのどかに遊ぶ草原など、いつまでも見ていて飽きない雄大な眺めが広がる。

写真3 草千里から道路を挟んで向かい側に広い駐車場がある。遠くには阿蘇山の火口が見える(撮影エリアは地図3を参照)

写真3 草千里から道路を挟んで向かい側に広い駐車場がある。遠くには阿蘇山の火口が見える(撮影エリアは地図3を参照)

阿蘇中岳を望む、緑まばゆい草千里

おわんを逆さまにしたような火山の米塚(こめづか)を過ぎて森の中をしばらく進むと、やがて草千里の展望所に出る。阿蘇パノラマラインのハイライトである草千里は、元々は千里ヶ浜火山の火口跡が緑の美しい草原となっており、広い駐車場がある。噴煙を上げる阿蘇中岳はすぐ目の前だ。草千里を越えると阿蘇山上広場に着く。ここから阿蘇山公園道路で中岳の火口まで行けるが、火口周辺は警報 が出ると規制されて立入禁止となる。


阿蘇パノラマライン(熊本県)データ

阿蘇パノラマラインは、熊本県の阿蘇カルデラの中央に位置する登山道路の総称。緑の草原の中を爽快に走り抜け、現在も噴煙を上げる中岳まで間近に迫ることができるとあって、九州随一の人気ドライブウェイとなっている。北側から延びる県道111号阿蘇吉田線(通称:坊中線)、同県道111号で南側から延びる南阿蘇ルート、西側から延びる県道298号阿蘇公園下野線という3本の路線で構成されている。全体の区間総距離は約37km。中岳火口に至る有料道路の阿蘇山公園道路(軽・小型・普通自動車1,000円)へのアクセス道路にもなっている。道の駅 大津から阿蘇駅までは、国道57号経由で約21km。

本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

須藤英一

1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape

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