群馬県道33号渋川松井田線。榛名富士を望む雄大な直線道路と、ワインディングを求めて
絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け伊香保温泉から森の中のワインディングロードを上っていくことしばし、突然現れる直線道路を爽快にドライブできる群馬県道33号渋川松井田線を、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。
榛名富士、榛名湖、そしてうっとりするほどの紅葉
上毛三山(赤城・榛名・妙義)の一つ榛名山(はるなさん)は、山頂にある別名榛名富士とも呼ばれる円すい形の美しい山と榛名湖が見事だ。この湖は周囲4.8km、水深約15mの火口湖で、遊覧船やボートでのんびり遊ぶこともできる。目の前には湖に映る榛名富士がそびえ立つ。秋に見るその見事な紅葉は圧巻だ。カエデ、モミジ、ヤマウルシ、カラマツ、桜などが鮮やかに色づき、山全体が紅葉となる。
写真2 伊香保温泉で湯あみを楽しみ、快走路で風を楽しむ。(撮影場所は地図2参照)
この榛名山の中腹には有名な伊香保温泉がある。伊香保の名前は万葉集にも詠まれているほどで温泉として400年以上の歴史がある。石段街がシンボルの温泉地で大正浪漫の雰囲気が漂うノスタルジックな温泉街だ。ここから榛名山頂へ向かう県道33号線は、漫画のモデルにもなった道路で多くのファンが走りに来る。また関東でも珍しい気持ちのよい直線路があることでも知られている。
写真3 上毛三山の一つに数えられる榛名山。秋は彩りに満ちた美しい姿が見られる。(撮影場所は地図3参照)
旅のクライマックスは湿原の中を駆け抜ける雄大なストレート
伊香保温泉方面から榛名湖へ向かうと、森の中のワインディングロードを上ってゆくことになる。最初の見どころは高根展望台だ。下には伊香保温泉、東に赤城山、北には谷川岳を眺めるパノラマ風景が楽しめる。さらに進むとやがて長い直線路が目の前に現れる。ここがこの道のハイライトで、榛名富士を右に見ながら湿原の中を駆け抜ける爽快感はたまらない。やがて湖畔の道となり、紅葉の中を湖に映る榛名富士を眺めながら進む。榛名山にはロープウェイがあり、晴れていれば山頂から関東平野や上州の山々が一望できる。
ドライブルート 県道33号榛名山(群馬県)
伊香保温泉から榛名山(はるなさん)に向かって延びていく約15 km区間の道路。しげの秀一の漫画作品『頭文字D(イニシャル・ディー)』の主要な舞台にもなったことでも知られる。伊香保温泉から上毛三山の一つ榛名山山頂まではヘアピンカーブが連続する森の中の峠道となっており、週末は多くのドライバー、ライダーが走りを楽しみに訪れる。山頂部は視界が開けたロングストレート、榛名神社までは再び細かいワインディングとなる。榛名湖は冬にはワカサギ釣りのメッカとなり、春から夏にかけては湖周辺に彩り豊かな花々が咲き、秋は見事な紅葉が楽しめ、観光地としての見どころとなる。関越自動車道・渋川伊香保ICから伊香保温泉までは、約12km。
本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。
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須藤英一
1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape