鳥海ブルーライン(秋田県・山形県)。海岸線から標高1,000m超まで一気に駆けあがる
絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。今回は、秋田県と山形県にそびえる鳥海山の8合目へ向けて、海岸線から一気に登る鳥海ブルーラインを走ります。
鳥海山の残雪や新緑、紅葉が楽しめるドライブルート
美しい稜線をもつため「秋田富士」「出羽富士」とも呼ばれる鳥海(ちょうかい)山。その5合目へ向かう観光山岳道路が鳥海ブルーラインだ。
写真2 5合目の鉾立付近。空に向かって上っていくかのような道路が続く(地図2)。
秋田県にかほ市象潟(きさかた)町小滝から鳥海山5合目・鉾立(ほこだて)を経由し、山形県遊佐町吹浦に至る道路だ。見どころは、実は鳥海山ではなく眼下に広がる日本海の展望だ。象潟は松島と並ぶ景勝地として知られ、松尾芭蕉が訪れた最北の地としても有名。現在は田んぼのなかに小山が点在する風景だが、かつては田んぼは海で、入り江に島々が浮かぶ地形だった。
写真3 山形側から、夕日が日本海に沈む姿を望む。ここだから見られる雄大な光景だ(地図3)。
鳥海ブルーラインは以前、有料道路だったため、路面がよく整備されていて安全かつ快適に走ることができる。そして海抜0mの海岸から一気に1,000mを超える高さまで上る豪快さはたまらない。
鳥海山の影が日本海に届く“ 影鳥海”が見られることも
山形県側は4合目に大平展望台があり、このあたりからの展望は庄内海岸から酒田方面がみごと。秋田県側は5合目の鉾立展望台(写真4)やビジターセンターから日本海の雄大な眺めを楽しめる。特に日本海に沈む夕陽は格別。また山頂が海岸から15kmしか離れてないため、朝日を浴びた鳥海山が日本海に三角形のシルエットを映す「影鳥海」と呼ばれる現象があるが、なかなか見ることはできないようだ。
ドライブルート 鳥海ブルーライン(秋田県・山形県)
秋田県と山形県にまたがる鳥海山の中腹まで上る鳥海ブルーラインは、延長約34km。例年11月中旬から翌年4月までは冬季閉鎖となる。日本海東北道・象潟ICから秋田側の起点までは約3km。日本海東北道・遊佐比子ICから山形側の起点までは、約9km。
本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。
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須藤英一
1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape
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