永野さんのドライブミュージックニルヴァーナイラスト
文=永野 / 編集=神保勇揮 / イラスト=本 秀康

急なブレイクに病んだ芸人・永野を癒やすニルヴァーナの轟音〈ニルヴァーナ / Pennyroyal Tea〉

お笑い芸人の永野さんがドライブ中に聴いてきた音楽を4曲紹介!
永野

選曲を担当するのはお笑い芸人の永野さん。自身のYouTubeチャンネルでは80〜90年代ロックを偏愛する、音楽好きとしても知られています。今回は永野さんが一番好きなバンドとして愛してやまない、ニルヴァーナをめぐるエピソードを紹介します。

音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。

目次

1. ニルヴァーナ / Pennyroyal Tea

急なブレイクで満身創痍の自分を助けてくれたニルヴァーナ

2016年に大ブレイクをして国民を喜ばせた自分ですが、現在の姿を見るとわかると思うんですけど当時は売れるために常日頃テンションを上げていたので、満身創痍でした。40にもなって売れない生活のままでいたいかと聞かれたらそんな気はサラサラないですが、心の余裕を失った自分はマネージャーが運転する黒のトヨタ・アルファードの中でうつ伏せになり、マネージャーにかけてもらったニルヴァーナのラストアルバム『In Utero』を聴いていました。

急に忙しくなり自分自身のキャラクターも無理していた状態で、以前はアングラでチヤホヤされていたのに急に業界からバカにされるようになったこともあり、その殺伐とした心を癒やすのは緩やかな音楽ではなく、より殺伐とした音楽でした。

このアルバムはギターボーカルのカート・コバーンの病みと闇が暴発したような時間が流れます。中でも9曲目の「Pennyroyal Tea」を聴くと、こちらの殺伐をあちらの殺伐が治療してくれるような不思議な感覚に浸れます。運転上手なマネージャーの快適なドライブでも窓から外を見る余裕もなく、後部座席にひれ伏して聴くこのアルバムは当時の自分にとって大事な音楽、大事な時間でした。

移動中の車でしか本当の姿を出せない状態でしたので、そこはまさに治療室そのもので、高校時代に好きになってから今でも一番好きなバンド、ニルヴァーナと魂を一つにする儀式は、芸能界の荒波で疲れた魂を激しく鼓舞しながら癒やしてくれました。たまにあお向けになり、窓に映るレインボーブリッジを見たり急に東京タワーが出てきたり、今思えば鬱版ジャングルクルーズのようでした。

何度も言いますが、暗い気分でもジャングルクルーズの快適さがあったのは、ひとえに当時のマネージャーのドライビングテクニックの高さによるものだったんだと思います。そう考えると、当時のマネージャーは好きでもない『In Utero』を聴きながらさっきまでハイテンションだった男のうつ伏せの状態を運ぶ毎日だったんですね。これができるならどんな仕事でもできそう。

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永野

ながの 1974年9月2日生まれ、宮崎県出身。1995年、ピン芸人としてデビュー。「ゴッホとピカソに捧げる歌」などのシュールなネタで注目を集め、“孤高のカルト芸人”として人気を博す。ロックフリークとしても注目を集めており、YouTubeチャンネルでの音楽トークも反響を呼んでいる。2021年に著書『僕はロックなんか聴いてきた~ゴッホより普通にニルヴァーナが好き!~』、2023年に『オルタナティブ』を刊行。

公式X:
https://twitter.com/naganoakunohana

公式Instagram:
https://www.instagram.com/naganoakunohana/?hl=ja

永野CHANNEL:
https://www.youtube.com/channel/UCelpgGoLhrM0o2n44z_3Jqw

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