ハマ･オカモト（OKAMOTO’S）がドライブ終盤で聴きたい、2024年K-POPの一曲〈NMIXX / Love Is Lonely〉

運転をするのはほとんどがプライベートのときで、クルマで仕事場に行くことはほとんどありません。駐車場探しや渋滞など、予期できないことで人を待たせるのも嫌ですし、事故にでもなったら大変なので。だから僕にとってクルマの中は本当に個人的な空間です。変な例えですが、自分は結構トイレで本を読むタイプで、それに近いというとちょっと語弊があるけど、目的地についても駐車してすぐ降りずに曲やラジオを聴いてたりする時間が多いです。

体験しないとわからないことっていうのがクルマっていうスペースの中にはある。クルマ好きの人にはきっと多いと思いますけど、もしかしたら家にいるときより安らいでいる瞬間もあるかも。これって体験しないと意外とピンとこない話ですよね。

自分はバンドの中でも内省的というか、自戒を込めて言うなら新しいカルチャーをちゃんと咀嚼（そしゃく）できていないたちだと思っているんです。新しく生まれてくるものをワーッと取り込むよりも「こんな曲がこの時代にあったんだ」というものに魅力を感じることが多い性格で、昔の音楽を聴く時間のほうが圧倒的に長い性分でした。

でした、と書いたのは近年、自分の音楽的な趣味や保守性が変化していることに自分自身が驚いたから。非常事態宣言下、コロナ禍真っただ中のときに「Nizi Project」が日本で放送されて、そこから韓国の音楽だったり、ドラマ『愛の不時着』が注目されました。自分は興味を持たないだろうと思っていたんですが、意外にも持つようになって、韓国のドラマや映画、音楽を聴くようになりました。あの時期から韓国アイドルとK-POPと呼ばれるジャンルに純粋な気持ちでのめり込み始めました。

ある晩、眠る前にYouTubeを見たらトップに「NMIXX」というグループの新曲が表示されて、それが3分前にアップされた動画だったんです。「寝る前にちょっと聴いてみよう」なんて再生したらこれがめちゃくちゃ格好良かった。もう、びっくりしちゃって（笑）。何回も繰り返しそのビデオを見て、調べたらデビューして日も浅かったので過去の楽曲も全部聞いて、今も現役で応援しているグループです。他のグループは洋楽志向だったりアイドルに振り切ったものだったりするなか、彼女たちはどこにも属さないグループ・オリジナルな楽曲が多くて、そういうところが格好良くて好きなんだけど、今回選曲した「Love Is Lonely」はいきなりスタジアムロックみたいな曲になってて、「えっ!?」と思った直後にグッときた（笑）。みんなでシンガロングする、みたいなね。プレイリストの中では家に帰って来ている時間帯に流れる曲です。

ハマ･オカモト（OKAMOTO'S）

1991年3月12日、東京生まれ。OKAMOTO’Sのベーシスト。ベーシストとしてさまざまなミュージシャンのサポートも行い、2013年に日本人ベーシストで初めて米国フェンダー社とエンドースメント契約を結ぶ。ラジオやテレビ・雑誌など各方面でレギュラー番組を担当し、あらゆるフィールドで活躍する。2020年5月には自身のムック本『2009-2019“ハマ･オカモト”とはなんだったのか？』を発売。TOKYO FM『THE TRAD』のパーソナリティーを担当中。音楽ナタリーで細野晴臣とnever young beachの安部勇磨との鼎談連載「細野ゼミ」開講中。雑誌GINZA「私的なオノマトペ」連載中。レギュラー番組『ハマスカ放送部』（テレビ朝日）、『沼にハマってきいてみた』（NHK）放送中。